チート魔法を駆使する女性
「昏睡状態にしておいたわ。これなら何でも答えてくれるわ。あ、貴女達が聞き終わった後、私の奴隷として献上して貰うわねー。出来ればそっちの2人も欲しいんだけど…メリーの意地悪。」
暫し沈黙が続いた。
「あれ?なにも聞かないの?」
「あ、えーっと…シュウ君。マイちゃんに口元だけツルをほどくようにお願いできる?」
「あ、えーっと、お姉ちゃん?出来そう?」
「出来なくはないけど…良いの?私、あの女信用してないんだけど。」
「う、うん。」
「そう。」
私はツルを操作し、口元を自由にした。2人ともなにもしゃべらない。ボーッとした顔になっている。
「えーっと、じゃあ…誘拐ターゲットと理由を教えて。」
「はい。最近幼い女の子が闇取引で高く売れます。なので、そこの小さい子を狙いました。」
「半年ほど前、魔法に優れた公爵家の娘を仲間が売ったら金貨数枚になりましたし、その後も女の子は色々需要があるので高く売れます。」
暫し沈黙が走る。
「これが昏睡状態…恐ろしい状態異常ね。」
チート魔法過ぎだろ!
「あらー、研究材料に使っていたマリアちゃんも入ってるじゃないー。メリー、さっきの話は撤回。こいつら献上してー。」
「マリア様?」
「そうそう、あの子も私の研究材料だったのよ。貴女を手放した後、良い材料が見つからなくてねー。数年前ここに来たら良い子がいるじゃないって思って。」
「で、誘拐したんですか?」
「誘拐なんてしないわよ。材料は自然観察が普通じゃない?」
私が突っ込むが話が噛み合わない。
「師匠の研究って私も良く分からないんだけど、実力者の教育と言う感じなの。私も師匠に鍛えられてここまで強くなったし。」
「そうそう。メリーちゃんは久し振りに良い研究結果が得られたわー。」
「だから、師匠は誘拐なんてしないよ。ただ、とんでもない魔法を簡単に使っちゃうから私の部屋にも急に現れたりして困ったこともあったけど。」
「そう怒らないでよー。良いじゃない、同じ女の子なんだし…着替え中に入っちゃったこともあったけどさ。」
プライベートってなんだっけと言う女性かこいつは。
「まあ私の話は置いておいて、折角研究材料が手に入ったのに誘拐されて行方不明って言うのは癪にさわるじゃない?こいつらあの子の場所知ってるかもだし、貴女達が他に聞くことないなら貰いたいんだけど、どう?」
「行方不明ってアリア様のこと?アリア様もこの人たち知ってるの?」
「あ、そうね。少女誘拐なら彼らなにか知ってるかしら?」
シュウ君が呟いたので彼らに聞いたが、アリア様や伯爵令嬢とかについては知らないとのこと。
「アリアって誰?私はマリアちゃん探しているんだけど。」
「あ、師匠。実は今、アリア様って言う伯爵令嬢が行方不明なんです。その痕跡を調べていて…昨日、向こうの方に連れ去られたまでは分かっているんですけど、急に消えちゃったとか。」
「うーん、念のためだけど…それってマリアちゃんと関係あったりする?ここの国民には公爵令嬢って言われてるみたいだけどさー。」
「話を聞くとアリア様の従姉がマリア様みたいですけど。」
私が発言する。アリア様からの話的にそんな感じである。その時、女性がニターとした。
「チャンス、これは研究材料が増えるチャンス!メリー、後全員!皆来て!」
その途端、ここら辺近傍に魔方陣が展開される。足元に。ここにいる全員が巻き込まれた。
「え?!」
シュウ君が叫んだ時には私達全員何処かの森の中にいた。小さな木造の家が側に1つある。他は全部木である。
(土は腐葉土?魔物がそばにいたりしない?)
植物達は
『またなんか現れた。』
『あの魔女また変なのも連れてきたな。』
『いつも一人なのに。』
とか言っている。私の暗黙ルールで新天地の植物には挨拶をすると言うものがあるが…今後助けてくれるので…あまりの出来事に植物の声を聞くだけになってしまった。
「あ、こいつらはもう貰って大丈夫よね。ありがとう!」
と言うと、誰の返答もなしにツルで束縛されていた2人は消え去ってしまった。
「ほら早く来てよ!」
そう言うと女性は小屋の方へ歩き出した。
「シュウ君、マイちゃん。行こう。師匠待たせると面倒臭いし、あそこ師匠のお家なんだ。私、昔ここら辺で師匠と修行したの。」
「う、うん。」
「信用して大丈夫なのかしら…?」
メリーさんの後ろに私達は着いていく。女性と一緒に小屋に入ると聞き慣れた声が聞こえた。




