表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一輪の花による「花」生日記  作者: Mizuha
公爵令嬢の真偽
235/367

貴族達から見た希少種生物の取り扱いについて

「まずはこの通りだ。娘が迷惑をかけた。すまない。」


 ここは公爵様の仕事場である。仕事場の前にはソファーがあり打ち合わせとかに使うらしい。テーブルを挟んで公爵様と対しては伯爵様、並びに伯爵夫人様が座っている。アリア伯爵令嬢はマリア公爵令嬢の部屋で遊んでいるらしい…まあ、心情的に遊べないとは思うが…仕事場は子供が来て良い場所ではない。いや、別に来ても問題ないが…今の話し合いに参加すべきではない。


「いや、謝罪なら後でアリアにお願いしたい。アリアが一番落ち込んでいてな。」

「そうだな。マリアとアリアは仲が良かったからな。」


 男性2人が静かに会話をする。娘を失った辛さはあるだろうが…寧ろそれで妻が再起不能になってしまっているが…公爵様はそれで落ち込んでいるわけにはいかないのであった。


「それで、話を要約すると…公爵様はこの事件に一切関与していないと言うことで宜しいでしょうか?」

「ああ…娘が4ヶ月程前に行方不明になってしまってな。陛下にも相談し、捜索したのだが…」

「誘拐される前、マリア様に何か変化とかはあったりしたのでしょうか?」

「いや。全くだ。ただ、マリアの部屋を見る限り寝込みを襲われた様でな。部屋には鍵が掛かっていたし、ガラスも破壊されていたから奇襲だったと思われる。向こうが計画していた可能性は否定出来ないが。」


 その時扉を叩く音がした。公爵様が許可をすると、執事が入ってくる。


「旦那様。あー、マリア様の死因についてなのですが…」

「構わん。話せ。」


 執事が躊躇いながら声をかけると公爵様が応答した。


「はい。どうやら頭を強く打っておりそれが原因かと。後、首を紐の様なもので縛られた様な跡がありました。」

「そうか…。」

「ちょっと聞いても宜しいかしら。」

「はい。奥様。いかがなさいましたでしょうか?」

「それ以外何もなかったのかしら。」

「それ以外と申されますと?」

「私達の護衛をしていたハンターの1人が言っていたのよ。彼女の体を調べた方が良いって。」

「あ、いえ…流石にマリア様ですので…見ただけで分かる範囲としまして…。」

「だったらここにマリア様を連れてきてくださらない?抵抗があるなら私がやるわ。」

「おい、ムサビーネ。相手は公爵様の娘だぞ?」

「だから?それで真実を隠すならマリア様に一番失礼じゃない?アリアはマリア様の死を一番悲しんでいたわ。黒白はっきりつけるのが母親としての努めよ。」


 ムサビーネ夫人が立ち上がりかけていたのでリグルト伯爵が止めにかかる。公爵様は少し黙認したが口を開いた。


「私が許可を出そう。マリアの死因だけでなく体も調べてくれ。」

「…畏まりました。」


 執事は帰って行った。夫人はソファーに座り直す。暫し誰も喋らない。


「そのハンターは何故そう言ったのだ?」


 公爵様が声を発した。


「そうね…そのハンターは私と同じテイマーなんだけど、ちょっと彼の従魔が優秀過ぎてね。軽く調べた様なのよ。彼女に何があったのか。ただ、流石に調べた結果全てをテイマーが理解したとは思っていないんだけど…体は調べた方が良いって言ったのよ。」

「優秀な従魔か。お前、確か白銀狼も飼っていたな。あの魔物も物凄く希少種で人語を喋ることは聞いたが…そう言うレベルなのか?」

「…まあ、それで良いでしょう。」

「そこまで優秀な魔物が何故そこいらのハンターの持ち物なのだ。貴族が欲しがるだろう。勿論魔物が危険ということは万国共通だが…白銀狼のような魔物では話は別になると思うが。」

「…貴方?今の話を聞いてどう思う?」

「公爵様。貴族によっては希少種の魔物を欲しがるという可能性はあるのでしょうか?いえ、妻はまあ…子供の頃から魔物と触れ合っているというちょっと変わった気質でしたが…」

「失礼ね。」

「まあまあ…ですが、公爵様の仰る通り魔物は基本的に全部危険です。それを貴族が狙うなどと…」

「いや、あり得る。誰だったかなぁ…少々昔の話になってしまうとは思うが、ある貴族が闇オークションで妖精を入手したらしい。当時は部下に妖精を捕まえさせたとして主張していた様だな。ただ、まあ貴族は金目のものになると目が無い輩もいる。それを所持することにより自分が金を持っていて他よりも凄いことを主張するためにな。それが仇となり、その妖精の奪い合いが起きてしまったらしくてな。最終的にどうなったんだっけか…妖精が死んでしまったか、購入した貴族が殺されてしまったか…まあ、そうなるわけだ。」


 伯爵夫婦が黙った。


「公爵様。シロは大丈夫なのでしょうか?」

「うむ…取り敢えずは心配いらないと思うが…何せ今の話は王都や近傍に住む貴族達のイザコザだ。お前達が何故伯爵の称号を持ちながらあの様な辺鄙な場所に住んでいるかはよく分からんが…あそこまでわざわざ赴くやつなどまんざらいないだろう。第一白銀狼でさえ(おおやけ)になっていないしな。」

「公ねぇ。今回、アルビトラウネが住んでいる場所で問題が発生すると予想して戦闘に加算して貰うために連れてきたんだけど…不味かったかしらねぇ。」

「別に首輪か何かに『白銀狼』と言った記載を着けているわけではないだろう?見ただけではウルフとあまり変わらんし、第一当魔物自体が強いし襲うことが無理だとは思うがな。」


 貴族が希少種の魔物を狙う可能性がある。この事象はシロ、マイ、アースが全員ターゲットになる可能性があると言うわけである。アースは持ち主不明かつ山の中で今は生活しているため巻き込まれにくいだろうが、残りはデレナール領…或いはそこら辺に住み着いている。シロに対してはデレナール家で飼われている。王都とは違い、貴族達が密集して住んでいるわけではない。襲うとなれば城壁突破は免れない。アリアを人質に取るとかそう言った話でないと難しいだろう。マイに至っては警戒心が強すぎる上、周りでは雄花が監視状態。不可能である。だが…デレナール領に比べ王都にもっと近い場所で希少種ではあるが最近発見され、まとまって過ごしている場所ならあるではないか?

 あー王都に来てからもう不穏な雰囲気に…何処の世界も王都って治安が悪いんですかねぇ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ