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一輪の花による「花」生日記  作者: Mizuha
公爵令嬢の真偽
234/365

公爵夫人と伯爵夫人

 今まで、マイ目線以外では章タイトルに「閑話」と付けていたのですが…王都編からはその運用では回らなくなるので記載をやめます。ご了承ください。

「お母様。ここはマリアお姉様のお家ですか?」

「ええ、そうよ。私の姉の旦那は公爵家。知ってるわよね。だからこれぐらい広いのは当然。」

「アリアはここに来るのは初だったな。まあ、広すぎて見切れないとは思うが…見学してみるのもありかもな。」


 最もデレナール夫婦はそんなお遊びのために来たわけではないが。


「旦那様奥様。捕虜等は如何致しましょう?」

「今、姉の兵士とかがあーだこーだやっているはずよ。館の入口までに行く頃には何かあるでしょう。」

「了解しました。」


 暫しして入口に向かうと、ある女性が立っていた。


「あら、お久しぶりですこと、ムサビーネ。」


 ムサビーネ夫人の姉だろうか。姉妹で挨拶を交わしている。姉の旦那はもうちょっとしたら来るらしい。アリアは「若干いつもよりやすれてる?」と思っていた。そのうち男性が出てくる。伯爵よりも老いている。おそらくこの男性が公爵だろう。王族の次に権力を持つ者達である。妻が姉妹と言えど貴族としての立ち振舞いはそれに依存する。


「アリアちゃん。半年前と比べてまた大きくなったわね。子供って成長早いわよね、オホホ。」


 公爵夫人は苦笑いしていた。


「あ、すまないアリア。今娘のマリアは外出中でな。今日は会えないかもしれないが…ゆっくりしていってくれ。アリアが読みたいと話していた本もあったよな?」

「ええ、旦那様。準備してきましょうか?」

「よろしく頼む。とりあえず客間に運んでくれ。」

「畏まりました。」


 側にいたメイドが館に入っていった。ムサビーネ夫人はその様子を見届ける。


「ところで公爵様。私達の滞在の理由はご存知で?」

「ああ、手紙で読んだ。新種の魔物、アルビトラウネについてだろう?」

「そうだ。前回公爵様方がデレナール領にいらっしゃった時にも話しているが…その続きでな。我々の領にクレームが入ってきたのだ。アルビトラウネ一族が人間に襲われていると。」

「ねえムサビーネ?中に入って話さない?第一魔物を人間が駆除するのなんて当たり前じゃない。そっちが勝手に契約を結んでいるんだし…こっちも襲うなって言われたから国王とかにも旦那が一筆したけど…襲われただけでこっちに赴いたの?」

「ふん。相変わらず姉様は楽観視よね。じゃあ、まずこっちからお土産を渡しましょう。高い買い物になってしまったから有り難く受け取って欲しいんだけど、ねえ貴方。」

「お前達。まずは捕虜の2人を出してくれ。」

「畏まりました。」


 兵士達は荷馬車から2人を出す。1人はアサシン、もう一人は魔術師である。どちらもツルでぐるぐる巻き。どちらも情報漏えいするぐらいならと殆ど何も食べておらず、衰弱状態である。


「なんだこいつらは。」


 公爵様が問う。


「ここへ向かう途中で捕まえた盗賊連中だ。実際は10人以上いたのだが…馬車に入りきらずな。こいつからはまだ情報収集が出来ていない。そちらで情報収集出来ないかと思ってだな。」

「何故こちらでそんなことを。」

「あら、こいつら以外を搾ったら色々情報が聞けましてね。盗賊の一部はここの王都に住んでいるとか…。」

「アルビトラウネで我々に肩を持ってくれている奴がいるんだが…そいつ曰く、盗賊が襲った場合、人間への攻撃としてまずはデレナール領から攻め混むと言う話なのだ。だが、罪人が王都ではな…我々としても対処に苦しむ。」


 要は、デレナール領が何も悪くないのに何でこっちが全責任を追わなければいけないんだと言うことである。


「とは言ってもだなぁ…」

「じゃあもう一人出しましょうか?こう言う風に使うとなるとアリアが傷付くと思って避けたかったんだけど。」


 ムサビーネ夫人が顎で護衛に指示を出した。兵士が最後の1人を出す。


「ま、マリア?!」

「お嬢様!」


 公爵夫人とメイドの一人がビックリ仰天してマリア公爵令嬢に駆け寄る。既に腐敗が進み始めてるのか?


「ムサビーネ!どう言うことよ!なんで…」

「姉様?それはこちらが聞きたいのですが?彼女盗賊の一味でしたよ?お出かけしていると仰っていましたね?デレナール家に宣戦布告したと言う認識で?」


 ムサビーネ夫人は側にいたシロを撫でながら言う。公爵夫人は知っている。妹が魔物オタクであることを。いわば変人であることを。何してくるか分からないと言うことを。


「すまない。先ほど夫人が仰っていた通り立ち話はあれだ。報告したい3人は全員出したし、後は中でも良いだろうか?」

「あ…ああ、おい。その2人について取り敢えず牢に入れておけ。どうするかは後々指示する。」

「はっ!」


 この後色々しっちゃかめっちゃかになってしまったとのこと。犯罪者2人は公爵家の兵士に連行されて牢に入れられた。追々拷問されることになる。娘が関わっていると知った父は「しこたま情報を搾り取れ」と言った命令をしたらしく、拷問部屋はとんでもないことになっていた模様。妻は暫し再起不能になってしまったらしい。本来公爵家の方が伯爵よりも位が高いはずなのだが…盗賊問題が発生してしまったのが原因で立場が逆転してしまった様である。デレナール家は色々恐ろしいのであった。

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