王都で起きていること
「さて、これからどうしましょうか?良い依頼あったりした?」
「あまりなかったな。ここらは俺ら本来来ないから土地勘も曖昧だし…シュウのランク上げ兼ねて全員で薬草採取とかもあるが。」
「えー、それだったらマイちゃん弄ってた方が面白い。」
この弄るとは物理的であった。私が突っ伏しているのを良いことに、メリーさんは私のほっぺを摘まんでいる。若干痛い。
「私で遊ばないでください。」
「だってだって、可愛いんだもん!」
理由が自己中の酷いのなんだよなぁ。
「お姉ちゃん何だか疲れてそう?」
相変わらずシュウ君の洞察力は尋常じゃないなぁ。
「あー、光合成が足りないー。」
「光合成?」
「私は植物です。そろそろ10歳の女の子と言う概念捨ててくださいよー。」
「お姉ちゃんお姉ちゃん。他にも何かあったりしない?アリア様達と分かれてからブツブツ言ってた気がする。」
私はシュウ君をジーッと見た。突っ伏した状態から背筋を伸ばして座り直す。残りの4人が「うん?」との様な顔になった。
「ちょっと光合成したいんだけど…畑とかなんでも良いから柔らかそうな土がある場所ってあったっけ?」
「あー、あったか?」
「やっぱりそうなると一回王都を出てそばの草原とかそこら辺じゃないかしら。デレナール領みたいに田舎っぽく畑がある場所なんて限られているだろうし…土地勘ないから分からないわ。」
「じゃあ行きますか。」
私は立ち上がりシュウ君の手をツルでつないで引っ張っていこうとする。
「え、お姉ちゃん?」
シュウ君も連行された。栄光達も良く分からないがついていくことにする。そして王都を出て草原に行った。
「さてと…ここなら盗み聞きはされないかなぁ。」
『姫様。今ここは人気がないようです。』
「了解。」
「お姉ちゃん、どうしたの?」
シュウ君が私に問う。私はシュウ君を見つめ直す。栄光メンバーもいる。
「うん。ここならある程度回復できるかも。太陽光出てきて良かったわー。」
誰もしゃべらない。マイが不自然なことぐらい誰でも分かる。
「さてと…全員暇だったら…私から軽いお願いしても良いかしら。」
「お願い?」
ウィリーさんが復唱した。
「今、王都には私と同じアルビトラウネが私を除いて3匹いる。全員雄花。誰も私と違って従魔登録なんてされていない。どう思う?」
「なんだって?」
ベイルさんが疑問符を上げた。
「従魔登録されていないのに王都に乗り込んできたの?出来るのそんなこと?」
「いや、無理よ。守衛の許可無しで入るのは不可能。じゃああれ?警備を掻い潜って侵入したとか?」
「いや、違うな。」
リールさんが言う。
「侵入するには数が多すぎる。そもそもそこまでガバじゃないだろう。人間のアサシンじゃないんだし潜伏するぐらいなら攻め混むのが魔物じゃないのか?」
「いや、リール。マイと同じ種だぞ?あり得そうじゃね?」
いやー、私達って本当に人間扱いされてるなーと感じる私である。
「シュウ君シュウ君。シュウ君はどう思う?」
「え…えーっと。」
「じゃあヒント。自分が安心して家に住んでいました。気付いたら知らない人に連れられて良く分からない場所にいました。さあ、なーぜだ。シュウ君の過去の体験談より。私に逢う前何があった?」
「うん?えーっと…。」
その瞬間シュウ君の顔が青くなった。
「お姉ちゃん…売られたとか?」
「ピンポーン!…さて…」
その瞬間5人の人間が怯えがった。私から危険な殺気が流れたのである。
「さてと…ケリンさんや他の雄花じゃないけど…オ・ト・シ・マ・エ・ド・ウ・シ・ヨ・ウ・カ・ナ。」
私の堪忍袋が切れた瞬間だった。
何やら既に不穏な動きが見えますねぇ。




