栄光リーダーの人材収集方法
「うわ!私、王都のハンターギルド始めてみた!デカイ!」
「私も殆ど王都なんて行かないから、いつ見ても圧巻よね…。」
「だよな。デレナール領は場所が場所だからな。」
メリーさんとウィリーさん、ベイルさんの感想である。移動にほぼ一週間。デレナール領は伯爵領の癖に辺鄙なところにありすぎるんじゃないかと私は考えていた。まあ、そのお掛けでトラブルは色々あったがシュウ君とこうして今でも繋がれているわけではあるが。
「とりあえずギルドに挨拶だな。なに、シュウ。そんな不安そうな顔はしなくて平気だ。シュウも簡易的な薬草採取なら受けれるかもだろう?ハンターの暗黙のルールと言う奴だな。」
現状はデレナール伯爵等の護衛依頼真っ最中である。基本複数を同時受注は出来ないのだが…依頼主が許可等している場合、例外も0ではないとのこと。まあ、伯爵連中が貴族としての予定をしている間はこっちはゆっくり休んだ方が身のためだと思うけど。私自身、太陽光は浴びているが…地中からの養分収集が少ない。
(ここいらの森に勝手に入ったら駆除されそうよね…うーん、暫し人間みたいに過ごそうかなぁ。)
私にとって食事とは光合成…なのだが、他にも口から食べたりツルから吸収も出来る。植物の魔物の信念か、雌花だからかは知らないが第一優先は光合成なのが私である。ただ、王都であり…拠点もない私にとって腐葉土からの養分採取は期待できない。だからって住み着くわけでもないのに森の一部を縄張りに…なんて交渉もワケわからない。となると、「口から採取する」を取り入れるしかなくなる。
(まあ、光合成も全く出来ないって訳じゃないし…足りなそうな分シュウ君からおこぼれ貰うかぁ。)
土に養分が少ないとはいえ、石とかで固められていなければ多少は吸収可能。日光なんて晴れていれば何処にでもあるので、光合成からも多少は養分を作れる。また、マイは平均女性の半分未満を食べれば十分。シュウ君からおこぼれ貰うだけでも暫しなら耐えれそうである。
「おし、ここが王都のハンターギルドだ。」
リールさんが扉を開け中に入っていくので残りも続く。結論から、マジで広い。デレナール領がザ田舎と言うレベルで広い。時間帯的に昼間が過ぎて少々時間が経っている感じのため、人は元々少ないはずなのだが…それ故スペースが広いと錯覚しそうだが…それでも広い。
「あー、あそこに…恵みの椅子とテーブルがー。」
私は自由民である。ふらふらーっとギルドの奥に行き、椅子に座ってテーブルに突っ伏した。
「なんだ?」
「あ、お姉ちゃん!ぼ、僕行ってくる!」
ベイルさんがコメントするとシュウ君が私の方へ走っていった。リールさんやウィリーさんは既に受付に立ち寄っているようである。残り2人も…4人は邪魔と感じたのかこっちへやってきた。
「なんだ?調子が悪いのか?」
「うー、久し振りに突っ伏せたよー。あー、ミサさん突っ込みに来てー。」
「マイちゃんどうしたの?」
「あー、えーっと…僕もお姉ちゃん良く分からないときがあるの。」
「おいおい。テイマーだろ。理解していないと駄目なんじゃないか?」
「こう言う時は一緒に座ってるのが一番良いと僕は思う。」
「うー、シュウ君ー。助けてー疲れたよー。」
栄光のベイルさんとメリーさんは「そういえばデレナール領のハンターギルドでもこいつ伸びてるなぁ…」と思いふけているのであった。そのうち2人も到着する。
「ねえリーダー?若干目線気にならない?」
「ああ…まあ、物珍しさだろう。シュウやマイは見掛けも込みで共に10歳ぐらいだ。大体この時間は薬草なり何なりだろうし…本来俺らみたいなどう見てもベテランと一緒にいれば気になるだろうな。」
当たり前だが、BランクハンターとEランクハンターが一緒に組むなどよっぽどのことがない限りないだろう。どっちにとっても不都合である。流石にランクは初見で見えるわけないが、流石に私やシュウ君は他に比べ若すぎた。あー、まあ実際私は一番年上のベイルさんの3倍以上は生きているんだけど…。
「教育って言うのもあるじゃん。私だって栄光に早くから入ったし。」
「お前は学校卒業後だろ。孤児院卒業と比較するなや。」
「普通に考えて孤児院卒業したての子を抜擢するなんてレアケースよね。親戚とかで仕方無しならまだしも。」
「そうであってもハンターは危険だから普通なら断るな。」
「じゃあ、何でシュウ君抜擢したんですか?」
最後は私が突っ込んだ。テーブルに突っ伏してはいるが、話は聞いている。
「知り合いだったのと、見込みがあったら取るのが俺のルールだからな。」
「メリーもそんな感じだったわよね。魔術師が欲しいからってグルトナ学校の魔術科偵察に行ったりしてたし。」
「ああ、で…若かったがメリーを抜擢と。」
「知ってるか、シュウ、マイ?リールはメリーを仲間にするために数年仕掛けてたんだぜ。」
「はい?ストーカー?」
「おい、余計なことを言うな。」
「えーっとね。私卒業してからソロハンターだったの。だって面倒くさいじゃん。パーティーなんて。大体一人で何とかなってたし、今までも。なんだけど…ことある事にこの3人に何故か助けられることがあって…で、気付いたらスカウトされた。」
「あー。」
シュウ君や私と同じだわと内心思う私であった。私達もデレナール領に来てからことある事に栄光に助けられていたような気がする。リールさんのやり方はどうなんだ?と私は半信半疑ながらも聞いていた。




