令嬢の本心と夫人の策略
「あー、すいません。色々ごめんなさい。手は汚してしまうし…変に巻き添えさせてしまって。」
「い、いえ…」
アリア様も余計なことで母に怒られてしまい申し訳ないので謝罪した。
「ご、ごめんなさい。私も手を洗わないといけませんので…失礼します。」
「あ…えっと…」
シュウ君が声をかけた。
「アリア様!またお話ししたいです!」
私はびっくり仰天してシュウ君を見た。アースは何故か苦笑いしている。何か吹き込んだかこの悪戯妖精?
「え…う…はい。また…。」
彼女はそのまま立ち去っていった。私はアースを見る。
「何したのよ。」
「うんー?何にもしてないよー。ただー、シュウお兄ちゃんに、「寂しそうな友達を放っておいていいのー」って言っただけだよー。」
「友達って…相手は貴族よ?」
「マイお姉ちゃんもーそう言う固いところは取っ払ったほうが良いんじゃないー。10歳の女の子っぽくないよー?」
「見かけだけ4歳の女の子には言われたくないわね。」
「イッシッシー。明日から悪戯して良い子が増えそうー。楽しみー。」
そのままアースは飛んで行った。私はため息をつく。
「シュウ君もなんかごめんね。色々巻き込んじゃって。」
「うんうん。僕、思ったことが言えたから良かった!」
「思ったこと?」
「うん!僕は困った人がいたら助けたいの!お姉ちゃんに助けられた様に!だからね、アリア様の…助けにもなりたいの!」
「…そう…成長したわね…。」
「え?」
「なんでもないわ。」
私は面倒事がまた増えそうだなぁ…と、内心思っているのであった。そして翌日である。直ぐに面倒事がやってきた。いや、今までのオークや盗賊に比べたら全然マシなのだが。
「すいません。アリア様。なんで私の横にいるんですか?」
昨日の一件が過ぎ、今日は雲がちょっと多い晴れであったが…馬車の後ろにある小さいベランダでシュウ君と私がいると…シュウ君は歩くスピードに最終的についていけずここにいる…私も同じ…まあ、私は植物から情報を貰っているからちゃんと仕事しているからね?…ベランダの柵に腕と頭を乗せて突っ伏しているけどサボっているわけじゃないからね?…何故かアリア伯爵令嬢がベランダにいるのである。いつもは馬車の中にいるのに。
「馬車内飽きた。お父様お母様の側にいるとかたっ苦しいし…2人を見ていると面白いんだもん。」
口調すら変えてきたぞこの令嬢。私は悟った。ああ…この子ももうダメだと。
「それより、ねえシュウ。私とお友達になりましょう!」
「は?」
私は再度突っ込んだ。
「え?!」
シュウ君も驚いていた。
「だって私…お姉様もいなくなってしまって…お兄様も学校であまり会わないですし…来年から学校に行きますが、同級生で誰も知らないだと心細いのです。何かの縁ですし、シュウさんも来年同級生になるとお母様から教えて貰いました!」
何教えてるんだあのクソババア!!もう何かしら企んでいるプンプンであった。
「だ、だけど…アリア様はデレナール伯爵の…」
「肩っ苦しいことは無しで大丈夫です。学校に行けば身分も何もないんです。いや、私はきっと周りからその様に見られてしまいます。ですので、今のうちに友達を作りたいんです。あ、私のことはアリアでも大丈夫です。様なんて私は嫌。」
私はもう頭を抱えていた。これ学校生活開始早々終わったわ。いや、アリア様にマリア様を殺したことについて恨まれるのではと思い心配していたが…これは違った感じでトラブルが起きそうである。
「あ、マイさん。マイさんも私と友達になってください。私は魔物とかそう言うことは良く分かりませんし…お母様が、マイさんを頼りにしても良いと…」
「はあ?!あのババア…なんで私をこうも好き勝手に使おうとするのよ!」
「お、お姉ちゃん?!控えて控えて。」
「え…ププ…お母様をババア呼ばわりする人初めて見ました。」
「私は魔物だからね…って違うわ!なんなのよもう!私の魔物としての自由生活を返せ!」
私はカンカンであった。その後、何故かムサビーネ夫人がベランダに来て
「アリア。貴女、用もなく平民と関わってはいけません。後、こんなところにいたらもし盗賊等に見つかってしまったら狙われてしまうわよ。早く来なさい。」
と言って、アリア伯爵令嬢を連れ去ろうとしたくせに、
「シュウ?マイ?聞いたわよ。ちゃんと学校では娘の護衛をしなさい。不敬罪で断罪されたくないならね。」
と脅しをかけて娘を連れ去ったのであった。私は口をパクパクしていたが内心はこう思っていた。
(絶対こいつは殺す!!!)
もう散々であった。




