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一輪の花による「花」生日記  作者: Mizuha
誘拐された花と堕ちた令嬢
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テイマーの被弾

『姫様。あらかた敵は片付いた様です。』

「はや!」

『いや、ここら辺にいる連中だけだ。どうやらこの奇襲に気づかなかった奴らはまだ森の中をウロウロしてやがるらしいぜ。後、物凄い勢いでこっちへ向かっている人間がいるとのことだ。情報的に敵だな。刃物を投げて奇襲してくるらしいぜ。』

「そう…捕まえるのは難しそうね。シュウ君。メリーさん。警戒しておいて。まだ何か来るらしい。」

「うん!」


 シュウ君の声は聞こえた。メリーさんは…少々前に出て戦っているらしい。私の声が聞こえなかった様である。私は私なりに仕事をしていた。シュウ君に換気口を警戒して貰っている。植物達も側に敵が来たら速攻連絡する様にして貰っている。そのため私も前衛援護をしていた。主に倒れたと思われる敵をツルで捕捉していく。奇襲なら敵は動きが遅いので束縛しやすいが、この乱闘ではまず無理である。そのため、戦闘不能になった敵を再起動させないように地面に固定していただけである。これならば動いていないので容易かった。前衛陣には感謝である。


「キャ!!」


 その時誰かが叫び、転落する音が聞こえた。


「ウィリーお姉さん!!」


 メリーさんの声が聞こえる。


「何事?」

「お姉ちゃん!危ない!」


 シュウ君が私にタックルする。


「痛い!」


 シュウ君の左腕の服が血で滲んでいた。私は周りを見る。ナイフが落ちていた。


(ッチ!油断した!)


 咄嗟に私はツルを地面に刺し、換気口に使っていた穴を塞ぐ。中は完全密封状態になるが隙間はないはずである。このツルで全体を覆っているため、昼間とはいえ中は暗い。敵もとりあえず中を攻撃しただけだろうが…おそらくシュウ君は常に隙間を見ていたので何かが飛んでくると分かったのだろう。


「シュウ君、大丈夫?」

「うう…腕、痛いよ…」

「とりあえず、怪我した場所押さえておいて。今確認している余裕ないから…ごめんね。」

「だ、大丈夫!」


 その時爆発音がした。体感で、ツルに何かの魔法が当たったのがわかる。まあ、そんな簡単にこのツルは吹っ飛んだりしないが。


「ッチ!こいつ、素早い!」


 植物からの情報をまとめると、どうやらさっき植物が言っていた刺客がウィリーさんに攻撃しウィリーさんは肩にナイフが刺さった状態で地面に倒れているらしい。そのまま刺客は私が作ったツルによじ登り隙間から私達に向けてナイフを投げたらしい。ただ、現場を見ていたメリーさんがはいそうですがと放置するわけがない。魔法で迎撃しているとのこと。その魔法が流れ弾として私のツルに当たっている様である。


『おそらくあの刺客はあの少女の魔法を誘導している様だぜ。上手くかわしてこのツルに魔法を当てさせている様に見える。』

(時間の問題か…。)


 私はツルをつぼみ状の内部に更に生やし、持久戦に顧みるが…体感どうやらメリーさんの攻撃を避けながらさらにこのツルに攻撃している様である。要は敵はメリーさんより格上、このままでは強行突破されてしまう。作戦を考える。ただ、頭の中に若干の恐怖が過ぎる。私は基本的に九死一生のような戦術は取らないのだが…上部から飛んできたナイフはシュウ君が気づいていなければ最悪頭にブスであった。帽子は別に鎧の様に硬くはない。死んでいた可能性があるのである。私が死ななくてもシュウ君の腕を掠めたでは済まなかった可能性もある。


(幸運で物事だけは解決したくない…。)


 私が焦りで若干パニックになっているころ、外から更に声が聞こえた。


「さっきの爆発音はー?って、なんかやってるな!やめろ!」


 アースが泥爆弾を敵に投げつけた様である。敵はそれをかわす。私のツルに直撃する。


「くっ!」


 アースの攻撃は重い。ツルは無事の様だが、地面が抉れた様である。


「アース!遠距離攻撃はダメ!私が耐えれない!」


 抉れた土の下には私のツルが生えているが…下手にダメージを喰らいツルが崩れたら終わりである。


「やはり中に何かいるか。この防壁を考慮し…元凶を潰す。」

(く、バレたか。)


 敵陣は大方ツルで収集済みである。そしてツルで何かを守っているのである。疑いにかかり…仕掛けるのは当然である。


「ブッブーだ。だったらこれはどうだー!」


 つぼみの横に魔法陣が生成され、ゴーレムが登場した。大きさ3mぐらい。つぼみを守る騎士の如く敵の刺客…アサシンでも良いだろう…を退けにいく。


「邪魔だ、どけ!」


 流石にゴーレムとなると発砲した攻撃が仲間に直撃なんてことはない。アサシンも仲間割れ戦術は避け、ゴーレム襲撃にはいる。


「お、お姉ちゃん…僕達…大丈夫だよね…殺されないよ…ね?」


 シュウ君は被弾してしまったことと、私が叫んだことで何かを悟ってしまった様である。


(そうよ。私がパニックになってたらおしまいじゃない!こういう時はシュウ君の案が大体役に立つんだから!)


 更に外から声が聞こえる。


「すまない。残党処理に時間を取られてこっちに手が回っていなかった。こいつは俺が仕留める!」


 リールさんも駆け付けていた。


「俺のスピードについてこれるか?」


 リールさんとアサシンの死闘が始まる。殆どアサシンの攻撃をリールさんが受け止めている感じとのこと。ただ、時間稼ぎは十分そうである。

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