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一輪の花による「花」生日記  作者: Mizuha
誘拐された花と堕ちた令嬢
214/365

前衛と後衛

「とりあえず守備戦ですね。分かりました。」

「ああ、頼んだ。」


 リールさんは前の方へ行く。


「お姉ちゃん。僕たちどうしよう…。」

「そうね…」


 戦術を考える。いや、逃げ方か。ないわ。私は走れないし。


「話聞いてたよー。シュウお兄ちゃんー、ボクも手伝うよー。マイお姉ちゃんはボクの友達ーボクも守るー。」

「アースちゃん…うん、じゃあこんなのどう?!」


 シュウ君が何か閃いたらしい。私とアースは共に「了解」した。


「ねえ、マイお姉ちゃんー。」

「何かしら。」

「あの人間の男の子ー。面白いねー。ねえー、妖精も従魔ってなれるのー?」


 アースは私の左に付いている、青い宝石が付いたリストバンド擬きのものを指差す。


「貴女…人間嫌いなのに人間に魂売るの?」

「それブーメラン!」

「…まあ、時間があるときにでも聞いてみなさい。」

「アイアイサー!」


 自由だなぁ…と思っている私であった。暫くして馬車が止まる。私はシュウ君に言ってはいたが…私のツルは強力とはいえ…二人程度突破されてしまったらしい。更にメリーさん曰く敵は10人以上いるとのこと。私の植物情報を吟味すると…個別行動をしていた連中は実は1つのグループだったと言うわけである。何かあれば他が助けに行く連携プレイ。相当厄介である。


「マイちゃんが仕掛けてくれたお陰で敵は大体捕虜の側にいるみたいだけど…別途違うところから襲ってくるかもだから注意かも。」


 更に前衛の情報を聞いていると…既に敵と合流しているが、リールさんの戦略上先ずは交渉になっているらしい。と言うのも、連中が悪人であると言う情報は流れているが悪人と言う根拠がなければ仕掛けれないのである。


「おい!そこのハンターだろ!今俺ら仲間が魔物に襲われちまってよ。このツル切ってくんねえか?」

「ああ、構わないが…念のためそこの馬車の中身を確認させてくれないか?」

「は?中身なんてどうでも良いだろ。ほら俺らを助けてくれ。その馬車も襲われちゃったみたいでよ。車輪がツルに絡まってるんだ。」


 前衛もこんな感じなのであった。いきなり攻撃して間違っていたりしたらこっちが不利になる。リールさんも考えものである。


「じゃあお姉ちゃん。僕達も準備。」

「分かったわ。アース、私達や馬車何とか出来そう?」

「ガッテンガッテーン!」


 アースは後衛からゴーレムを操作するが…アースは大地の妖精である。ゴーレムしか出来ないわけではない。後衛全般も守るらしい。そして私は馬車の影に隠れるような場所に行き、ツルを差し込む。シュウ君は私の横。私達を覆うかのようにツルが生成されていき、ツルが花のつぼみのような形になる。そのなかに私とシュウ君はいる。逃げるは私にとって死を意味する。ならば強固なツルで守備を固める。これがシュウ君の案である。


「換気口は作っておいたから…そこからなにか来ないかシュウ君も見ていて。」

「うん!わかった!」


 1ヶ所だけツルの長さを少々短くし、そこの隙間で換気する。そうしないとシュウ君が窒息してしまう。植物が窒息する事例は聞いたことないが…私の体に害があっても困るし…。そして…貴族一行と盗賊の衝突が起きる。最終配置は貴族の馬車を挟み、後ろにシュウとマイがいる。馬車には貴族3人が退避、そこの上空にアース、側に魔術師メリー、ちょっと前の木陰にアーチャーのウィリー、馬車の前に兵士2と魔物のシロ、兵士1とリール、ベイルが盗賊連中に交渉に行っている感じである。


「リーダー?どうする?助けるか?」


 ベイルはリールに問い合わせる。


「今、俺らの馬車もここを通ろうと思っていてな。魔物に襲われたとなるとこっちも警戒する必要があるんだ。何があったか話して欲しいんだが。」


 リールは段階を踏んで相手の様子を伺う様である。ベイルも様子見しようとリールや盗賊やらを見る。厄介なのが、盗賊達が盗賊っぽい服装をしていないことである。商人に近いか?


「見たらわかんだろ。よく分からねえツルだ。ほら、これだよこれ。漸く3人助けれたんだ。残りも助けてくれ。」


 前衛はこんな感じだが…後衛ではトラブルが既に発生していた。


『姫様。2点宜しいでしょうか?』

「うん?」


 ツルで自分とシュウ君を守っているが…植物の声が聞こえないというわけではない。


『まずリールさん達ですが…どうやら、奴隷商人っぽい奴らが本当に姫様の同族を捕虜にしているのか確認出来ないと手が出せないみたいでして…なんとか、檻の中を見させる様なことは出来ないでしょうか?』

『もう一点は俺から言う。盗賊の奴ら、隙を見てこっちの馬車狙おうとしているみたいだぜ?恐らく、交渉している奴らとは別行動で視界に入らないように迂回して攻撃してくるらしい。移動スピードはかなり早いと聞いている。姫様のツルで捕獲は厳しいかもな。空中からのトラップとかそう言うふうなものが良いかも知れねえ。』

「数の暴力ね。敵全員把握出来ないの?」

『すいません。敵が分散しすぎており正確な数は不明瞭です。ただ、姫様の奇襲に伴いかなりがここに向かって来ている様です。しかし、木々の視覚に隠れて様子を見ている輩もいるとのこと。』

「分かった。メリーさん。聞こえていますか?」

「聞こえてるよー。」

「こっちの後衛へ奇襲を仕掛けようとしている輩が出ているみたい。敵は前だけじゃなさそう。」

「了解。探知魔法全開にしておく。ちょっと森が燃えちゃっても許してね。」


 それは私ではなくケリンさんに言ってもらいたいが…まあ、ここら辺は拠点範囲外だし…範囲内なら猛攻が起きているはずなのだが…範囲外のためケリンさんとかも警戒しているのかも知れない。

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