雌花の奇襲とドン引きする魔物と妖精
(さて…やりますか。)
馬車が止まった瞬間、私は馬車をツルを使って降りながら木に登る。ツルを地面に刺し…植物の情報を頼りに行動に映し始めた。
「お姉ちゃん?何やっているの?リーダーさん達が作戦会議するんだって。」
「作戦会議か…シュウ君。参加して理解出来そう?」
「うーん、お姉ちゃんも一緒に参加して欲しい。」
「ちょっと、今手が離せないから無理ね。」
「え?お姉ちゃん何しているの?」
「うーん、まずはゴミを地中から掘り起こそうと思ってね。」
私は既に奇襲を始めていた。某檻の側にいる人間を束縛し、身動き不能とする。2人を更に檻に縛り付け、檻ごとツルで引っ張り、開拓された街道から私達がこれから通る予定の街道まで引っ張っていこう作戦である。檻は奴隷を運ぶため馬車と同じく動く構造になっている。馬が一匹いた様であるが、馬には即効退場して貰い…縄を切れば後はそこにポイである…縄をツルを使って引っ張っていく。ツルは地面から吐き出し、木の枝経由で一気に引っ張る。ある程度引っ張ったらツルを別のところから引っ張りどんどんこっち側へ誘導していく作業である。
(どうせ誰かしらが気づいてツルを攻撃して来るでしょう。そしたら植物とツルの体感経由でとっ捕まえて行けばおしまい。さて、何匹ツルに引っかかることやら。)
地道な作業とはいえ、ツルが切られようが燃やされようが私は無傷である。檻を目的の街道まで持って来るときには4人が檻に縛られていた。街道まで来たら檻の車輪をツル経由で地面に縛り付け、人間も地面に縛り付ける。相手は極悪人である。慈悲などなかった。
(まあ、こんなものかしらね。作戦会議はまだ終わらないのかしら。)
大体30分ぐらいか。シュウ君も分からなくてもいいから先に参加しておいてと行かせているが…後はゴミどもが檻の異常に気づき集るのを待つだけである。私も作戦会議がされている場所へ向かった。まあ、馬車のすぐ側みたいだが…。
「おい、マイ!お前のことだから、どうせ俺らの作戦関係なしに何かしていたんだろう?何していた?」
ベイルさんに早々文句を言われてしまった。
「まあベイル。落ち着け。戦略を考えているが…敵の場所や数…他何も分からないんだ。推論での戦略には限りがある。マイ、知っていること、やったこと正直に話してくれ。俺は怒ったりしない。怒っても今更だからな。それよりも、その後の行方を考える必要がある。俺らは皆仲間だ。」
リールさんが私をじっとみた。他の人達も、魔物や妖精も私を見ている。私は腕を組んだ。
「簡潔に…ここの道をずっと進んでいくと、そのうち新しく開拓された道があります。そこの場所に連れ去られたケリンさんの仲間が閉じ込められている檻があります。絶対動かさせないように地面に固定しましたが…。盗賊っぽいのを既に4人は捕獲していますが…既に仲間が2人ぐらい到着してツルを攻撃していますね。…まあ、容赦無く襲撃したので絶対に切れませんが…。油断が出来ないので、そいつらも束縛しておきますね。」
私は地面にツルを刺し、植物の情報頼りに…後はツルへの打撃の体感から…敵を束縛していった。
「…やはり、マイは俺とはまた違った意味でとんでもない魔物だな。」
「だよねー。マイお姉ちゃん敵に回したくないわー。」
魔物と妖精からのコメントであった。
「マイちゃんに任せておけば平気だったり?」
「いや、メリー。盗賊の数がわからん。マイはツルを多重制御は出来ないとのことだ。恐らくマイが想像を絶する奇襲をしているから相手も混乱しているだけと思われる。一気に大量に突っ込まれたら全員逃げられる。」
「だな。ずっと…の距離感が分からねえが、それほど遠くない場合…ここを勘付かれたら危ねえ。貴族様もいるんだからな。俺らも向かうべきだろう。」
リールさん、ベイルさんが共に発言した。まあ、マイが襲撃出来る範囲だから2km以内ではある。実際のところ、今の距離感では相手が探知魔法を使ったところで気づく訳ないが…メリーさんでも探知不可能な距離である…複数攻撃されたらツルが持たないことは明らかであった。
「よし、戦術は先日の通りで実施する。皆、配置を合わせよう。シュウ、マイ。移動しながらで良いが話がある。」
敵が捕らえられている場所に向かいながらリールさんが話しかける。
「マイ、何かあったら教えてくれ。」
「了解です。シュウ君に伝えておきます。ただ…移動中ですと奇襲が出来ません。」
「分かった。」
敵は先ずは仲間の解放に動いている。厄介なのは…数が多い。移動中のため奇襲は無理だが…援軍が既に5はいるとのこと。ツルを切られそうと言う連絡もある。相手も強者が多いか?いや、むしろ同種を狙っているなら対策されている可能性さえある。
「まあ、敵の数が多いので捕縛している奴らが解放されそう…ですかね。」
「分かった。後、マイ…シュウもそうだが、今回お前達は戦いへの参加はなしだ。」
「え?」
シュウ君が驚く。まあ、シュウ君本体は戦力外なのだが。
「今回間違えなく、マイ。お前が見つかればそっちへ集中砲火になる。そうなればこっちは防衛戦となり不利だ。見つからないようにすると言うのがミッションだな。」
「だったらここら辺で先に降りて待っていましょうか?」
「いや、ある程度俺らが見えるところにはいて欲しい。盗賊の場合、はぐれているものを先に叩くと言う戦術を取ってくるやつもいる。護衛対象をおいて先人切ったハンターが、敵を倒して戻ったときに護衛対象が殺られていたと言う話もある。」
人間は面倒臭いところで面倒臭い戦術取るなぁと呆れ返っている私であった。どいつも悪知恵は1人前なのに皆が平和になる方法など誰も考えず…考えても言うだけである。迷惑かかることなら容赦ないのに。
この程度ではチートでは無いはず…。まあマイより強いキャラも、もっと出そうと思っているし…。




