襲われた(?)雌花
「いたぞ!雌花だ!捕獲しろ!」
街道とケリンのおじいさん木がある森の中央より少々街道側…森の中、雄花達の拠点ギリギリのところ。男性と女性が何かを追いかけている。
「あそこかしら?」
女性は魔法を放ち、木が一本倒れた。
「あっちだ!」
男性は追いかける。そして…
「来た!」
女性は全く違う方向を攻撃した。何かが木から落ちる。
「うう…」
「おっと…動いたら殺すぜ?」
魔物…カリンと同じ…いや、ちょっと成長しているか?…雄花が男性に捉えられていた。
「おし。2匹目だな。さっさと運ぶか。」
その時、二人の足にツルが絡み込む。
「…っち、援軍か?」
「いえ、大丈夫よ。」
その時、何かがどさっと落ちた。見かけ17歳ぐらいの少女…いや、雄花であった。頭にある花にはナイフが刺さっている。
「お前ら…」
「ごめんね。ある程度成長した貴方達だと上手く扱えないのよ。」
女性は炎魔法を放つ。少女は一瞬で灰になってしまった。
「お兄ちゃん!!!」
「おっと、お前もああなりたくなければついてきな。」
「うう…」
仕留められた雄花は悔やんでいた。植物から雌花が襲われているのではと情報が流れたのである。そして来てみたらこの惨状であった。植物達の情報は何がなんでも全部正確ではない。いや、植物達が嘘をついたわけではない。雌花が襲われているらしいという情報だけである。それを間に受け騙された方が悪い。
「流石だな。」
「いや、これぐらいどうってことはない。じゃあな。」
襲撃していた雄花に不意打ちを喰らわせたのは殺し屋の一人であった。気配を消し、不意打ちを得意とする。少女に成長していた雄花は確かに植物との会話は出来るが、どうやら襲われた弟を気にしすぎたらしい。何度も言うが、卑怯という言葉は存在しない。いや、あったとしてもそれを理由に殺されても文句は言えないのである。
「お、もう一匹捕まえていたか。」
開拓された新たな街道に馬車…ではない、言わば奴隷を売る檻のような物がマントのようなものに覆われて置いてあった。初見で通った人がいたとしても犯罪行動とはまず分からないだろう。その中に先ほど捕まえた魔物を叩き込む。
「うんじゃ、後はよろしくな。」
「………」
黙認している16-17歳ぐらいであろうか…可愛げな少女である…少女は檻の鍵にロッドをぶつけた。元々鍵でロックしているようであったが、魔法による二重ロックらしい。
「相変わらずこいつは喋らねえなぁ。」
「最近仲間になったやつだ。まあ、人見知りっぽいが…魔法の腕はすげえからな。」
「そう。まあ、じゃあよろしく。お金よお金ー!」
追々わかることではあるが…アルビトラウネは闇取引で金貨数枚で売れるらしい。日本円換算で数十万円。命の価値が数十万というのは高いのか。安いのか。まあ、人間換算では高いだろう。人間自体は値段をつけれる物じゃないと善意を言っている人間でさえ、豚肉は数百円で買うのだから。人間じゃないものの価値などその程度である。




