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一輪の花による「花」生日記  作者: Mizuha
王都への道
209/366

集団行動が苦手な「花」

『姫様、大丈夫でしょうか?』

「うん?」


 昼食が終わり、午後…私は馬車のベランダで空を見上げている。天気は大分雲が晴れ、街道と言えど並木道如く木が多い。自然浴と言うやつだろうか。精神的に安定している。私はこの数日で団体行動はダメだなぁと思っていた。前世人々とチームで仕事をしていて鬱になっている。まあ、それ以外にも色々あって人間嫌いであった。今、魔物となり…本能が人間を嫌っている。プラスで護衛という人間まみれ且つ、栄光パーティーによる行動束縛もあった。そこにおけるストレスは魔物とは言え溜まっていく。自然浴はそう言ったストレスに対し相殺になっているのであった。まあ、これを永遠とやっていたら相殺しきれなそうではあったが…自分を理解するのは大事である。


『ここから大分離れた場所ですが、追々姫様達が通るであろう街道近くをオークの群れが警戒している様です。おそらく、食べ物を求めているのでしょう。姫様達は馬車ですので、ターゲットにされる可能性があります。』

「あー、ありがとう。うーん、数は?」

『10はいないかと。ただ、空腹であればその分凶暴です。街道にたまに人が通ってもそこまで関心がないとのことなので、大物狙いと思われます。』


 魔物は人間を恐れていることが多い。何せ、襲ったらハンター達が逆襲に走る。最悪、巣窟ごと破壊されてしまう。ケリンさん達の様におじいさま木が無双状態ならまだしも…いや、あれでも一般人が襲撃されていたら間違いなく妥協ではなく強行突破になってしまっていたかもしれない。それぐらい人間は恐ろしいのである。その為襲うのであれば、中途半端を襲うメリットなど何もない。人間単体など骨と皮しかないのだから。本当に大きな収入でなければそこまでリスクを侵さないのが一般的であった。


「うーん、面倒臭いわね。ぶっちゃけこの護衛はどうでも良いけど…シュウ君や私が殺されるのは気に入らないわね…。」

「お姉ちゃん?何かあったの?」


 シュウ君は長距離移動でギブアップであった。今は私の横で休んでいる。アースから「お姉ちゃんの魔物使い脅かすの面白いからゴーレム作るー!」という、馬鹿の声が聞こえたが…ベイルさん辺りが殴っていた。ベイルさんは予想より短気らしい。リールさんこと栄光リーダーもそれは目立つので「マイと一緒にいろ」とのことだった。まあ、リールさんの判断は正しい。私は報告するのが面倒くさいというか…報告してさらに面倒になる…と考え恐れないしは嫌悪している性格である。逆にシュウ君は私の異変にいち早く気づける。シュウ君は…自身はそこまで自覚していないにしろ…私のテイマーとして最強クラスで相性が良いのであった。


「あー、あれなのよ。このまま行くとオークの群れにぶつかるらしい。個人的にとっとと始末しようかなぁと考えていたところ。」

「オークの群れ?」


 側で歩いていたメリーさんが反応した。


「えーっと、うーん、探知魔法には引っかかっていないよ?」

「まだ3kmぐらいはあるんじゃないかしら。空腹状態らしいし…これだけ大きな馬車なら見つけたら美味しそうで狙ってくると植物達が言ってる。」

「それって不味いじゃん!リーダー!何処?」


 マイの情報収集能力は尋常ではない。マイ自体は近距離戦では戦力外なのだが…遠距離ではこの護衛軍団最強である。


「なるほどな。マイ。報告感謝する。」

「感謝ならシュウ君にでもしておいてください。」

「ああ、シュウもありがとうな。マイから聞き出してくれたんだろう?」

「えへへー。」


 メリーさんからリールさんへ…その後私達から報告である。


「メリー。メリーも、もう少ししたら探知魔法を展開してくれ。今回マイがいるから探知魔法は使わないで魔力温存を狙っていたが、敵が側にいるなら出し惜しみは良くないだろう。」

「分かった。」

「マイ?奇襲は出来るか?」

「馬車を止めてくれれば、木々の隙間から狙い定めますが…面倒臭いので一網打尽でも良いですよ?」

「いや、移動を止めるのは見えてからだ。貴族に説明がつかないし…お前以外誰も戦えないだろう?」

「だからその前に叩くのでは?」

「はぁ。マイ、何度も言うがこの護衛依頼はパーティーで戦う。お前だけに負荷がかかる戦法はどんなにお前が良いと判断してもダメというのがあるんだ。」

「…私が襲われたり、シュウ君が襲われたりしたら魔物として容赦しないと言ってもですか?」

「マイ。大丈夫だ。俺らがいる。信じたまえ。」

「そうだよマイお姉ちゃんー、ボクの力舐めて貰っちゃー困るー。人間弄りもこの道で大分楽しんだしー、たまには運動するよー。」


 最後はシロとアースが私に説得しに走った。私は多数決には勝てないと悟った。


「その代わり、誰でも良いので私達を守ってくれる人いますか?皆前衛行かれたら私達隙だらけです。」

「安心しろ。ウィリーやメリーは後衛だ。お前達もそっちに行ってもらう。」


 私は渋々従うことにした。個人的には従う方がハイリスクなのだが…私の考えは人間の常識としても魔物の常識としても飛んでしまっている。取り分け根拠も何もなく私の直感である。それ故凶暴な魔物の巣窟の中で生き延びれたわけではあるが…少数派は受け入れられないのが現実であった。私はベランダにある手すりに両手を乗っけて顔を乗せ不機嫌な顔をするのであった。

 集団行動は好きですか?私は人間と関わるのが面倒臭いです。

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