頼りない妖精
「でさでさー聞いてよー。ボクの住処最近人間来なくてさー。脅かせるやついなくてつまんないんだよー。魔物脅かしたら殺されそうになっちゃうしー、人間なら余裕ー。」
この子の生きがいは人間悪戯らしい。私は人間ではないが…傍迷惑な妖精である。余程暇だったのか…まあ、あんな所一人で永遠と過ごせば飽きてくるというのは気持ちはわからなくはないが…私は植物と会話出来るから一人で寂しいときは植物と会話したりしていたし…彼女はどれだけ鬱憤が溜まっているのかは知らないが永遠と愚痴を聞かされ散々な目にあった私であった。途中で、場所を移動して私は話を全部流して光合成をしていた。拠点が森の中で今いる場所も森の中なので私は全裸である。そして魔物に見つかり叩き潰した後…彼女の愚痴も収まってきたころ、ある思いつきが出来たので聞いてみる。
「ねえアース。貴女って、ここ2週間ぐらい暇だったりする?」
「いつも暇だよー。暇がステータスなボクー。」
そんなニート歓喜のステータスがあっても困る。
「ちょっとお願いしたいことがあるんだけど良い?」
「お願いー?」
「ええ…どこから話そうかしら。」
私はとりあえず護衛依頼について話した。とりわけ、私のテイマーに対して守備がボロすぎる。だから一緒に来てくれないか?それが自論である。
「えーっと…人間の街からー?」
「まあそうね。」
「うーん、人間面倒臭いからなぁ…」
「なんでその面倒臭い奴を悪戯しまくっているのよ。」
「だって反応面白いじゃんー。バレなきゃ殺されないしー、バレても逃げれば勝ち!」
「良く貴女今まで生きてたわね…。」
悪戯エリア範囲は黄金リンゴが生えている場所だけらしい。あそこに登る人間はCランクハンターレベル以上だから…どう脅かすにしろ、やはりアースは強そうである。
「うーん、人間に悪戯出来るなら行くー。」
「行く気ないでしょ。人間の拠点に喧嘩売ったらおしまいじゃない?」
「えー、スリルあって面白そうじゃん!」
「貴女何で魔物は警戒するのに人間は遊び道具なのよ。」
「うーん…魔物はボク達食べるしー、人間は食べないしー。」
「まあ、妖精なんて食べる奴はいないでしょうけど…。」
妖精は魔物基準で魔力の貯蔵庫である。私の花が栄養貯蔵庫であるのと同じ。その為、妖精は魔物に見つかったら逃げ切るか打ち勝つかしないと未来はない。私は魔物だが、植物の魔物であり魔力なんて気にしたことすらないのでアースを襲わないだけである。光合成で十分生きれるし。アースが私を警戒しない理由は謎である。私はやはり魔物としての威厳がないのであろうか?
「お姉ちゃんの魔物使いでしょー面白そうだから行くー。で、まずはその子を驚かすところからー!」
「はぁ…。脅かすだけなら…あれよ。トラウマとかはダメだからね。怪我させたりしたら容赦しないわよ?」
「ウェーイ!じゃあ、準備…はしなくていいや。で、いつ行くのー?」
「そう言えば、まだ聞いていなかったわね。暫くこっち来れる?」
「良いよー。あ、じゃあ手数料でお姉ちゃんの花の蜜ー。」
「殺されたいの?と言うより、貴女…私の花の蜜をかけられただけで暴走するじゃない。ダメよそもそも論。」
「チェー。ご褒美ご褒美ー!」
とか言いながら、彼女は転移魔法があるところへ飛んでいき消え去った。依頼先ミスったかなぁと頭を抱える私なのであった。おいおいマイはアースが色々恵みになることをまだ知らないのであった。




