栄光リーダーの指摘
「そっちも護衛を出すんだよな。ハンターのルール上、命が最優先と言うものがある。勝てないと思われた場合、殺されるより降伏を選ぶと言うことも本来は有るわけだ。そこは理解しているか?」
「それは知っている。だから、勿論そうならないよう兵士も同行して貰う。プラスの戦力としてハンターを雇うと言うだけだ。」
「今回私の従魔にも来て貰う予定だから更に強固にするわ。」
「…そこまで念入りにする理由はなんだ?」
私も思った。そんなに警戒してたら動けなくなってしまうと思うんだけど。
「盗賊が増えているから警戒しろとギルマスに言われたからだな。それ以外はない。」
リグルト伯爵は言い切った。私は絶対何かあると思ったが…モヤモヤがある…リールさんこと栄光リーダーもこれ以上の言及は止めることにしたらしい。あくまで相手は貴族である。補足で栄光達は孤児院出身もこの領土出身にすれば全員この領土生まれである。あまり疑うのは良くないのであった。
「分かった、協力しよう。他に兵士を雇うのであれば後日また打ち合わせさせてくれ。その際は俺だけ参加する。こっちでも色々準備があるが、いつ頃出発予定だ?」
「何時までにと言うのはまだだが、全員の準備が整い次第だから最短1週間弱だと思っておくれ。詳細は再度お前が来た時に連絡しよう。」
以降、リールさんは要望だけ伝えると打ち合わせを終了した。そして館を出て全員解散…ではなく、リールさんはシュウ君を呼び止めた。私も自ずと立ち止まる。
「さてと…となってくると、シュウ…流石にシュウを生半端な強さで護衛依頼に参加させるわけにはいかない。」
「えっと…」
「先ずは服装だ。まあ、俺も今は軽装だが…ある程度武装することは必須だ。それに…まあ、お前はテイマーだから本人が前線突っ込んで戦う必要はないにしろある程度の護衛術は身に付けないといけない。」
リールさんは私とシュウ君を交互に見ながら行った。
「うーん、1週間程度で何か変わりますか。」
「ああ、1週間で俺らみたいな強さになれとは言ってない。そんなことが出来たら俺らが驚く。だが、装備を身に付け多少でも戦えるように修行することなら出来る。当日までに自己防衛などは言わんが…むしろテイマーならそれはマイの仕事だが…今よりも強くなることは第一条件だな。」
「まあ、そうですね…私としても負担にならない程度に教育はしてるけど。」
「従魔に教育される主人ってなんだ?」
「え、ここにいるから問題なし。と言うより、私のことに詳しくないなら教えませんよ。シュウ君だから出来ることです。ねー。」
「え…えっと…」
「そう言えば俺も見てみたいな。お前らがどう戦うのか。仲間の戦い方を知るのもリーダーの仕事だ。指示が出せないしな。」
「シュウ君どう?なんかリールさん、私達の戦い方を見たいらしいけど。」
「あ…うん。僕は大丈夫だよ。」
「よし、じゃあ…今日は装備を買いに行こう。で、明日はそうだな。ギルドの闘技場に朝集合で良いか?」
「うん!」
とのことなのが、私は1点不満があった。最近ほぼ毎日街へ来ている。簡単に言えば、光合成時間に対し運動量が多い。いや、私は日光があれば光合成など何処でも出来るが…地面から水分なり養分なりないと光合成したところで意味がないのである。夜根っこから養分を吸いとって、昼間ーでも良いが出来れば同時進行の方が良かった。まあ、ここら辺は意識的とかではなく無意識とか直感の域なので何故と言われても困るのであるが。
(うーん、装備って言ってもいっぱいあるわよねぇ。)
シュウ君は普段着とは別にリールさんの案内のもと武器やら防具やらを買っていく…ただ、適宜私は指摘していた。極論で重装備は困るのである。確かに攻撃力、防御力共に上がるが…シュウ君の体型は普通の男の子10歳である。更に、私がシュウ君をおんぶして運ぶ場合…重いと私が辛くなる。ただでさえ、シュウ君を拾ったときにはまだ6歳だったが4年で見違えるほど成長しているのである。人間の年少期は成長早いなぁ…と、元人間は感嘆していた。
「うーむ。まあ、確かにシュウはテイマーだからなぁ。武器はまだ…いや、ウィリーでも懐に短剣は持ってるからそれぐらいはあっても大丈夫か?…遠距離専門連れてくれば良かったなぁ。」
どうやらリールさんは栄光リーダーであるがちょっと抜けてるところもあるらしい。まあ、完璧だったらパーティーなんか要らない。その方がリーダーとして良いのかもしれない。
「とりあえずここら辺を着てみろ。俺がお前ぐらいの時はまだ将来なんて考えてなかったからなぁ。まあ、喧嘩が強かったってのはあるけどな。」
「喧嘩っ早いじゃなくて?」
「うんにゃ、それはベイルの方だな。あいつは自分より強いのには忠実と言うのがあって…年上なんだがボコボコにしたことあったな。今じゃ仲間の一人だけど。」
リールさんは予想より遥かに強そうである。栄光結成秘話とか聞いてみたいわーと思ったマイであった。
丁度、栄光メンバーはシュウ君から見て先輩が4人なのでリアル社会のプロジェクトチームで言うところの新人の立場にすることが出来るんですよねー。皆さんは「リール」「ベイル」「ウィリー」「メリー」の誰が上司だと一番良いですか?そこを意識しながら物語を読み進めると面白いかも?