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一輪の花による「花」生日記  作者: Mizuha
新たな依頼
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依頼の内容

「えーっと、先に謝罪しておきます。」

「謝罪?」

「事情を話しますよ…文句なら後でムサビーネ伯爵ババアにでも言っておいてください。」

「ププ、ババア呼ばわりって…」

「メリー、貴族様を馬鹿にしちゃいけねえぞ。マイは魔物だ。放っておけ。」

「はーい。」


 ベイルさんの忠告の後、私は現状を話した。リールさんやベイルさんは困惑した顔、ウィリーさんは驚きの顔、メリーさんは恐怖の顔になった。シュウ君はまだ早すぎる内容だったらしい。


「拒否する選択肢は?」

「ないそうです。私は雄花人質に取られてますし、リールさん達は名声ですかねぇ。貴族に喧嘩売ったらおしまいですよ?」

「何もかもお見通しというわけね。ムサビーネ夫人。敵に回すと面倒なタイプねぇ。」

「え、待って?本気で受けるの?私、貴族様の命なんて守れる自信ないよ?本当だよ?」

「まあいつも通りなら平気だとは思うが…どうせ道はそれねえだろうし…俺らに丸投げじゃなくて貴族らの護衛も来るだろ。いや、来ねえ方がおかしい。」

「はぁ。まあ考えていてもしょうがない。受付に頼んでその選抜面接を受けよう。Bランク推奨だったよね。メリーやシュウは…いや、本来メリーならまだしもシュウは流石にダメだろうが…マイ経由だったら例外で通りそうだなぁ。うーむ。」


 リールさんも仲間に危険な目に合わせたくはないはずであるが…そのための推奨レベルである。ただ、相手は貴族。リールは相手が捻じ曲げてきそうな気がして怖さを感じていた。というより、あんな依頼普通のベテランハンターなら避ける。調子に乗るハンターは大抵CかDハンター。どこかで油断して死ぬことが多い。それを乗り越えたBランク以上なのだからほぼ指名依頼じゃないかとリールは思っていた。


(依頼内容が本当にBランクレベルだったら交渉するか。この雰囲気ではBランクという記載さえダミーな気がしてきた。貴族がBランクの魔物が出ると分かっている場所に一緒にわざわざ参道するわけがない。)


 色々フラグが立っているが、結局は夫人の話を聞けばある程度内容は分かるのである。依頼選抜について受付嬢に聞きながらリールは考え耽っていた。そして翌日である。リールさんは昨日依頼について聞き、早急とのことで今日栄光全員でデレナール伯爵達が住む豪邸に行った。シュウ君はまだ新しい宿に慣れていないらしいが…まあ、栄光連中がサポートしてくれるだろう。私は森の中なのでいつも通りである。


「ようこそ御出(おい)で下さいました。こちらでお待ちください。」


 執事の男性が案内する。まさに豪邸以外何も言えなかった。客間に案内される。既にリグルト伯爵とムサビーネ伯爵夫人がソファーに座っていた。対峙する側にリールさんとウィリーさんが座る。ベイルさんは装備が1番ゴツいのでソファーに座るのをウィリーさんに譲っていた。残りは回りに立っていた。


「さてと…では依頼内容ですが…」

「ちょっと待ってくれ。今日はどのハンターを抜擢するかの面接ではなかったのか?」

「いえ。まあ、記載はそうしましたが、貴方達で元々確定ですよ。その為にそこのマイさんに伝言投げたんですから。まさか伝えてなかったり?」


 ムサビーネ夫人が私を見た。なお、個人的違和感だが…リールさん含め貴族の前なのに丁重に話すというオーラがあまりない様に思えた。ハンターとして生きる場合、そこら辺はガバガバなのかも知れない。実際、リグルト伯爵やムサビーネ伯爵夫人もそこまで気にしていないように見える。一応…私も、突っ込むところは突っ込む。私は魔物だから貴族上司云々関係なしに「人間」として見えるし…。前世では意見を言うことすら難しかったんだけど、今は魔物だからね…私。


「伝えましたけど…普通はこうなりますよ。どれだけ回りくどいんですか?」

「そうしないと貴女逃げるでしょ。それだけよ。」


 私は唇を噛む。職権乱用はしていないがグレーなんだよなぁ。


「まあ、お前達にとっても報酬は良いものにしている。そこまで危険だとは思わないから安心してくれ。」


 リグルト伯爵当主が発言する。


「それはこちらが決めることだ。まずは内容を詳しく話してくれ。メリーはCランク。シュウはEランクだ。内容によっては断る。早死にさせたくないからな。」

「分かった。」


 とのことで打ち合わせが始まった。まあ、植物からの情報とほぼ変わらない。まあ、護衛ルートとかの話しはあったが。


「リール。平気じゃね?普通に街道通っての護衛往復だろう?街道ならそこまで危険な魔物なんて滅多に来ないだろう。いや、逆にそれを考えてたら誰も街道歩けねえ。」

「リーダー、後は盗賊よ。貴族の馬車なんて見たらそっちの方が危険じゃない?貴族って分からなくても金持ちと言うことは分かるだろうし。」

「そうだな。」

「ああ、それだったら貴方達にも話しておきましょう。マイ、貴女なら知ってると思うけど…あそこら辺おそらく今盗賊が定期的に近寄っているでしょうね。まあ、鉢合わせたら、護衛や貴方達に守って貰うことにはなるわね。」

「あそこら辺?」

「昔人間達が開拓した道近傍ですよ。前私とシュウ君も行ったのですが、見事に鉢合わせたので…まあ、どっかの魔物が盗賊を食べちゃいましたが。」

「食べた…だと?」

「あそこら辺私と同位種の棲みかですよ?普通の人間には手は出さないって決めてますが、仲間が手を出されたらまあ文句は言えませんよねぇ。実際魔物に襲われたら殺すなんてハンター達も日常茶飯事でしょうし。」

「ふむ。となると、一番厄介そうなのは盗賊か。」


 リールさんが腕を組んで考えた。

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