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一輪の花による「花」生日記  作者: Mizuha
新たな依頼
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怪しい依頼

「お姉ちゃん?何だか人がいつも以上いる感じがする。」

「そうね。朝方はあまり早く来ないけど…こんなものなのかしら。」


 シュウ君が受けている依頼は初心者中の初心者の依頼である。薬草採取や民家のお手伝い等。その為、ライバルが少なく遅く行っても早々なくなることはないのであるが…まあ、栄光はBクラスハンター…メリーさんはC、シュウ君はEだが…本来Eなんか入ったらBクラスハンターは名乗れないはずなのであるが…ギルマスがそのままでも良いと言ってくれたらしい。まあ、マイの実力的にシュウ君は確かにEだが、マイはB後半からA前半レベルである。…遠距離奇襲に限ってだが。そして、シュウ君はテイマーなので実質マイのレベル依存。誰も文句は言えないのだった。


「いや、やはり情報が漏れているようだ。しかし、この様子だと奪い合いにはなっていなさそうだし、無くなっているわけでもなさそうだな。」

「そうね。奪い合いなら乱闘になっていそうだし、無いんだったらもう皆んな撤収でしょ。」

「奪い合いなんてするんですか?」

「気の荒いハンターだとな。」

「シュウ君。面倒事に巻き込まれると面倒だから私から離れないでね。あー、絡んできた人間いたら教えて。絞め殺すから。」

「殺すのはやめろ。」

『姫様。了解致しました。まあ、姫様に手を出す輩はいないとは思いますけどね。』

「そうなの?」

『いたら即刻ギルマスへ報告行きですよ。今ギルドも姫様との同族の魔物の扱いに手を悩ませております。そこの砦となる魔物を傷つけたとなったら大惨事ですからね。』

「最近私への扱いが変な風になってる感じがするけど…まあ安全ならなんでもいいわ。」


 絶対いつか面倒事巻き込まれるわフラグが立っていることに悩みを抱えるマイであった。


「あ、あれじゃねえか?リーダーが言ってた奴。」


 堅いが一番あるベイルさんが他をかき分けて前へ進んだ。私達もそれに着いていく。内容を見た瞬間、私は「何これ?」と思った。


---------------------------------------------------------------

依頼方法:選抜制(依頼主と面接)

依頼内容:伯爵夫妻の護衛

期間  :2週間以上を予定

報酬  :一人当たり金貨2枚

条件  :Bランク以上推奨(パーティーも可)

※ 詳細は面接時に連絡

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 依頼用紙から「面倒臭いぞーみんな受けるかー(笑)」と挑発されている感じがした。


「金貨2枚かよ。まあ、美味いっちゃ美味いが…。」

「貴族様を護衛するの?無理無理無理無理絶対やだ!」


 栄光の反応がこれであった。と言うより、貴族の護衛ならハンターじゃなくてちゃんとした護衛いるだろ。なんでここに貼ってあるのかが謎である。


『姫様。その依頼ですが…。』

「うん?どうしたの?」

『申し訳ありませんが…ほぼ、姫様とそのお仲間向けに伯爵夫人様が出した依頼でございます。』

「はあ?????」


 私は一瞬でプッツンしてしまった。


『植物経由で姫様にご連絡する様言われておりまして…まあ、夫人様は植物の声は聞こえませんが、植物に姫様宛に伝えるようにとおっしゃっておりましたのでご連絡致しました。』

「あのババア…植物連絡網を好きな様に使うな。っ全く、で?」

『あー、はい。実を言うと、どうやら伯爵様らは王都へ向かう様でして…そして、内容はおそらく姫様の同種が襲われていることを王都に伝え、危険性や今後の対策を伝えに行きたいらしいのです。その場合、やはり実物…姫様はものではありませんよ?…を連れて行きたいとのこと。とはいえ、指名依頼では流石に目立ちますし…付き添いとなるとどちらにしても目立ちます。なので選抜制の依頼にしてハンターの影に隠したいみたいです。』

「念の為、拒否権は?」

『なさそうです。寧ろ、雄花の被害云々も吟味して姫様が行かないのならどうなっても知らないと…。』

「あのババア雄花人質にとってるんじゃないわよ。あいつが悪党なんじゃないの?」

『いえ、植物達からの情報の限りでは…姫様との同種を捕獲したいとは思っているものの、手を汚してまで実力行使或いは権力濫用はしていないとのことです。』

「絶対怪しいわ。悪事分かったら教えて。5首全部へし折ってやる。」

『あー、畏まりました。』


 私は人混みが嫌いである。一人勝手に依頼掲示板から離れ、机に突っ伏していた。シュウ君もそばに来る。


「お姉ちゃん。誰と話していたの?植物さん?」

「ええ…あのクソババアが大量の時限爆弾投下してくれたわ。シュウ君、あの貴族殺せという命令出してよもう…やってられないわ…。」


 私は両腕をテーブルの上でバタバタさせて、両足…はないが、根っこで出来たであろう足をバタバタさせながらブツブツ言っていた。


「2人ともどうかした?」


 メリーさんが心配してくれてやってきた。後ろから栄光3人もやってくる。


「マイ。さっきからブツブツ言っていたが、何か気になることでもあったか?」

「はぁ…気になる事というか、面倒事はもう懲り懲りだとだけですよ。」

「お姉ちゃん、植物さんと会話していたの。でね、なんだかムサビーネ先生が何かしたみたい。」


 シュウ君が「様」ではなく「先生」と言うのは魔物育成訓練の講師がムサビーネ夫人だからである。まあ、私はババアで呼んでるしシュウ君も裏では「鬼」とか「怖い」物体らしいので評価は地底ではあるのであるが…。


「ムサビーネってデレナール伯爵夫人か?ってことはあの依頼についてか?どう見ても胡椒臭え奴。」


 流石伊達(だて)にBランクをやっているパーティーではない。依頼を見ただけで警戒している様である。と言うより、Bランク以上推奨って…Bランク全員がこうやって警戒するなら誰も受けるわけないよね。あの依頼出す前から誰に当てるか決まった様なものじゃないか。貴族汚いわ。

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