表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一輪の花による「花」生日記  作者: Mizuha
新たな依頼
193/330

野生児と化した少年

「あー、追い出されちゃったわねー。どうしましょう。うーん、私の言語力がもっとあればなぁ…もうちょっと持ったのかなぁー。」


 ギルドでいつものテーブルに突っ伏しながら私はブツブツ文句を言っていた。シュウ君に至っては


「お姉ちゃん。僕今日から何処に泊まろう?」


 とか言っている。まあ、衣食住が壊滅的な被害を被ってしまったシュウ君である。服も今一枚買ったとはいえ…ずっと同じ服という訳にはいかない。今までは孤児院からのレンタルだったのである。今後は洗ったり買い替えも出てくる。まあ、何処かの記憶で宿に泊まれば洗濯依頼は出来た様な気がするが…まあ、それもお金である。…いや、場所によっては宿代に含まれてるかも?場所によるかな?…どちらにしろ、急に追い出されるのは想定外だったため色々準備が出来ていなかった。


「ミサさんに頼んでギルド潜伏とかどう?お金無料よ?」

「頭から犯罪行為考えないで頂けますか?体勢はもう突っ込みません。」

「何で盗み聞きしているんですか。仕事に早よ戻れ。」

「マイさんがここで何かブツブツ言っている時は碌でもないことが起きるって相場が決まっているんですよ。休憩時間ですし、これも仕事です。」

「私の偵察部隊ですね…今すぐ摘発して牢獄にぶっ込みましょう。」

「雄花達と私への扱い極端過ぎませんか?!」

「だから言ってるじゃないですか。雄花駆除をギルドに依頼したら全面戦争なんですって。頭大丈夫ですか?」

「少なくとも見かけ10歳児よりはまともです。」

「何だと?!」

「お姉ちゃん達、喧嘩飽きないの?」


 私が突っ伏しながらミサさんと口論するという、もう何でもありの状況でシュウ君から冷静な発言である。本物の10歳に指摘される様では魔物だろうが受付嬢だろうが何も言えないのであった。そうして、ミサさんに経緯を伝達する。


「あー、もうシュウさんもそんな時期なんですか。時が経つのって早いですね。そろそろ私も30ぐらいになっちゃうのかぁ。」

「20も30も大して変わりませんよ。」

「マイさん基準にしないでください。マイさんこういう時は人間味が無いですよね。」

「魔物ですよ?と言うより、逆に何で皆さん私を人間の様に扱うんですか?」

「マイさん、見た目は10歳の女の子。中身はそこいらの一般…いえ、エリート女性。実力はAランクハンター成り立てなんですよね。ほら、魔物要素が少なすぎるのが原因です。もうちょっと、魔物らしく振る舞ってみたらどうですか?」

「魔物らしく…ミサさんの首を折るとか?」

「何で私限定なんですか?!」

「他の人間だと問題になりますし。」

「私だと問題ない理由って何なんですか?!」


 結局口論するマイとミサなので合った。


「お姉ちゃん。お腹すいた。」


 服を午前中に買いそのまま撤退である。正午は既に過ぎている。お腹が空いてもしょうがない。


「うーん、シュウ君安めの宿とか分かる?しばらくはそこを拠点にするしかないかなぁ。」

「あ、僕お姉ちゃんとまた一緒に暮らしたい!孤児院の時は結局出来なかったんだもん!」

「え?私と一緒?森の中よ?」

「うん!」

「野生児ですね…流石マイさんのお子さんです。」

「それどう言う意味ですか?私子供産んでいませんよ?!」


 結局のところ、シュウ君が折れず…しばらく森の中暮らしとなってしまった。まあ、街には夜でなければ好き勝手入れるし…毎日食糧を買い漁れば1日は持つ。学費を崩すという問題はあるが…森の中で生活ということは薬草取り放題である。…実際のところ、根こそぎは私がタブーなので、責めて葉っぱだけとなっていた。植物達にはそれで暫く謝罪せざるのを得ない状況であった。まあ、殺されないというのと、『姫様だから御協力します。』とのことで暫しは持っていたが…結局赤字経営なのと、シュウ君がギブアップしてしまった。


「お姉ちゃん…疲れたよー。」

「うーん…まあ、そうなるわよねぇ。」


 毎日森と街を往復である。往復3時間以上。勿論歩きである。雨が降る時もある。私にとって雨は恵みだが…帽子や服を濡らすのは流石に嫌であるので雨宿りは森の木々や私が拠点としている洞窟の中。勿論水は染み込んでくる。一応、ツルを使って流れた水を避けたり…寝る時もシュウ君用にツルで寝れそうな物は作ったりしているが…まあ、思った様には休めないだろう。実際は魔物もちゃんといる。私が全部駆除しているが…。森の中で長期間、適当な装備で人間は生活など出来るわけがないのであった。元々そう言った生活をしていた人間なら別かもしれないが…シュウ君にはどちらにしろ無理であった。


(あー)


 今度は二人揃ってギルドのテーブルに伸びている。シュウ君は疲れ、私は定期であった。実際、マイは森の中で150年以上過ごしている。疲れるわけがない。


「やっぱり宿探すかー。」

「その方が良いわね…。安いのが良いけど…安すぎると逆に胡椒臭いから止めておきなさい。」

「うーん。」


 安すぎるは何かしら問題があるから安くせざるを得ないということである。泊まり賃は安くても他の雑費で巻き取る可能性もあるし、機材がオンボロという可能性もある。私は食べれれば何でも良いという考えだが…裏を返せば食べれるものを出さない宿も考えられる。とりあえず、基準を大幅に超えているのは高くても安くても警戒した方が良い。

 皆んなは真似しないでね?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ