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一輪の花による「花」生日記  作者: Mizuha
雄花の旅立ち前の出来事(閑話)
180/329

雄花誘拐事件に対するハンターギルドの動向

(ふむ…)


 ほぼ同時刻、ギルマスの部屋では3人が打ち合わせをしていた。いつものギルマスと秘書とミサである。


「さてと…お題は先程のあ奴等の話のまとめと今後についてじゃが…」

「ギルマス。1つ質問を。」

「なんじゃ。」

「私要ります?」

「聞きたくないのかね?」

「そう言うわけでは…いや、確かに私がシュウさん達に言ってギルマスへ報告するように促しましたが…最終的な決定事項の会議まで私が参加するのは…仕事分野が違うと思います。」


 ミサさんは「受付嬢」である。メインの仕事はギルドの顔。相手がマイと同種の魔物とは言え、いわゆる政治関連に手を出す身分ではない。


「言いたいことは分かりますが…このギルド内でマイさん含めたアルビトラウネ族に最も知識があるのはミサさんです。貴女の判断も重要になるかと思われます。」


 秘書の女性が付け加えた。


「はぁ…別途なんでも良いので手当金が欲しいですね…。」


 仕事が出来そうな奴、能力が高そうな奴には勝手に仕事が舞い降りてくる。それはマイの前世だとしてもここのギルドだとしても変わらないのであった。


「で、本題じゃが…被害状況はどんな感じじゃったかの?」

「詳細の数はケリンさんも把握していなさそうでしたが…ケリンさんの兄弟で既に10本指に入るか入らないかぐらいですね。」

「念のため聞くが…確か今ギルドの従魔用医務室にマイと同じ種類の魔物が寝ていると情報が入っておるが…。」

「あれは別件みたいです。とは言え、ギルドで匿ってしまった以上、治療をしっかり行わないと…人間が誘拐したと勘違いされ襲撃される恐れもあるかと。」

「ふーむ。容態はどうなのじゃ?」

「それが…マイさんが取り乱すぐらいですし…最悪を考えて動いた方が良いです。まあ、その場合私としては研究材料として若干嬉しいのですけど。」

「心の声が漏れているが…お主、その言葉は絶対にマイやケリン等の耳に入れるでないぞ。お主の友達が死ぬのをワシらが喜んでいるなんて言われたらお主だってキレるじゃろ。」

「…肝に銘じておきます。」

「まあ、そこは彼の腕次第じゃな。信用するしかあるまい。」


 彼と言うのはジェスを見ている治癒医である。まあ、彼も結局お手上げだったのだが。


「マスター。話がずれております。」

「ああ…そうじゃったのぉ。でじゃ、襲っている人間についてじゃが…何処まで情報が入っておる?ここのハンターが問題起こしていると非常に不味いんじゃが…」

「マイさんの情報ではハンターらではないとのことです。もう少し拡張してもデレナール領の住人ではないとのこと。」

「そうなのかの。」

「マイさんのいつもの植物伝達網ですね。まあ、襲われた時の3名は…なので、全員を洗い出せば話は変わるかもしれませんが。」

「あやつの情報収集量は尋常じゃないのぉ。」

「植物全員が彼女の目と耳と思っておいた方が良いと思いますよ?」


 この部屋にも観葉植物がある。このギルド、良く分からないが至るところに観葉植物がある。ギルマスの趣味だろうか。


「ふむ。じゃあ、お主のさっきの発言も聞かれてるかものぉ。」


 ギルマスが観葉植物を見ながら言った。


「そ、それは…えっと、すいません。冗談抜きで私殺されてしまうので伝えるのだけは勘弁してください。」

『はぁ。伝えたところで今の姫様を傷付けるだけです。わざわざそんなことを伝えたりしませんよ。』


 と、植物は言っているが…勿論誰にも聞こえることはなかった。


「とりあえずじゃな…デレナール領だけの問題でないことは自明じゃな。」

「マスター。とは言え、やはり誰が彼らの拠点を叩いているにしろ…前科がこちらにもあります。既に今日のケリンや治療されているジェスはここの街に到達しております。真っ先にここの街がターゲットにされると思われますが。」

「そうなんじゃよなぁ。またデレナール伯爵に交渉しに行かなければなるまい。」

「ハンターは派遣しますか?」

「うーむ…規模が分からんしのぉ。」

「シュウさん依頼と言うことも考えたのですが…」

「無理じゃろ。第一あやつはまだハンターになったばかりじゃ。と言うよりこのレベルはしがないのハンター一人が抱えるレベルではないの。」

「ええ…私もそれがありここに通すよう彼らに言った次第になります。」

「うーむ…。」


 ギルマスは手を口に当てて考える。


「とりあえずデレナール伯爵には伝えることにする。まあ、今後王都とかにも伝えるかもしれんのぉ。こちらのハンターも派遣することになるやもしれぬ。…まあ、これはあくまでこっちの話じゃ。ミサはいつも通りにしてれば良い。但し、マイやジェス等から何か情報が流れたら必要に応じて連絡は忘れぬようにの。マイはお主が話しやすいみたいじゃしのぉ。」

「仲良さだけならシュウさんにお譲りしますよ。マイさんの未知数な性格は私では制御しきれません。」


 とまあ、ギルド内でも課題が増えていくのであった。マイが森から降りて4年前後。勿論マイが人間社会に溶け込んだことのみがキッカケではない。マイが来なくてもいずれはケリンさん含むアルビトラウネは見つかっていたであろう。ただその場合は全面戦争でどちらかの種が崩壊したかも知れない。しかし、マイの様々な行動が…この世界の歯車を正常ではあり得ない方向へ進ませているのであった。

 何やら裏でコソコソ動きそうですね。

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