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森での一人暮らし

(今日は何処行こう…)


 それから先は少しずつおばあちゃんの木から遠出する様になっていった。どうせ、草原はもう安全地帯ではない。それゆえ嫌でも魔物と対峙することになる。ならいっそう…と言うことで、周りの植物と共闘の元魔物と戦いながら実戦して行った。魔物と直接エンカウントは超ハイリスクである。なので実戦と言っても真っ向勝負ではなく、植物達から側に魔物が来ているという連絡があった段階で側の木に登り、周りを見渡し、相手が気づく前に葬り去る。慣れてくると、植物達の距離感覚と私の距離感覚が一致してきて、魔物を直接見なくてもどこかしらを捕まえることさえ出来る様になっていった。そんなある日、100年以上の時を経てやりたいことが一つ達成された。私自身を見ることである。鏡というものがないので私の全体像は私自身では見ることが出来なかった。しかし、森をちょっと抜けると湖がある。水を覗くことにより私自身を映し出す事が出来るのである。


(可愛い。)


 ただ、一言。それだけだった。顔はごく一般の女の子。左の頭にはオレンジ色の花弁を持った顔の半分ぐらいの大きな花がついている。それに見惚れていてもう少しとしゃがんで湖を覗き込んでいたら、水中から


『お嬢ちゃん!そっちに何かが泳いでいったよ!』


 と警告されてしまったので水辺から離れ、戦闘形態を取る。両腕を地面に差し先ほど私の顔があったところにツルで作った網目状のものを生成した。両腕を地面に刺せば何本でもツルを制御できる。それを駆使し色々なものを実現していくのが最近の楽しみになっている。そして、その網にワニっぽい何かが噛み付いた。


(お疲れ様でしたー)


 噛み付かれたのは私が作ったツルで出来た網。かかったら最後、そのままツルを延長し、体を地面に固定する。相手が身動き取れなくなるまで徹底的に地面と縛り上げれば完成。


「ワニさん。元気でね。バイバイ。」


 絶対に動けない様にした後、私はトドメを刺さずそのまま立ち去る。食べると碌な目に合わないし、殺そうと言った気迫は私にはないのである。ただこの行為は側から見ると残酷に見えることがあり、


『姫様。時折姫様はそこら辺の魔物より恐ろしく感じます。』


 と、植物にさえ恐れられてしまっていた。まあ、魔物はどうやら私の花を狙っているみたいであるが、私の花自体独特の匂いがあるらしい。私自身は直接花を嗅げないし、嗅覚はあまり高くない様なので…人間より劣化しているのかもしれない、気づかないが周りの魔物が随分遠くでも狙っていると植物が警告してきたり、植物自体がその様なことを推測していたりしていた。そんなこんなであっという間に50年近く経ってしまった。身長は目線を考慮し、10歳ぐらいの女の子だろうか?ここだけの話、ようやく女の子らしく?胸も成長し始めていた。私のツルを用いた技術もかなり向上。色々便利になってきている。おばあちゃんの木の亡骸近傍が私の拠点。妹の死骸はほぼ分解されてなくなりつつある。魔物が何処から来ても…地上、空、地面関係なしに…植物の誰かしらが気づいてくれるので様々なツルを駆使して駆除していった。魔物自体も少しずつではあるが、私を狙う頻度も減ってきている。余談ではあるが、外部の魔物からも私自身は既に恐れられる存在になりつつあった。私自身はそれを把握していなかったのだが。ということで、今日は何処へ行こうかなぁーと寝床から出てみると…いつもと違和感に気づいた。いや、厳密に言えば違和感は20年ぐらい前からあった。ただ、いよいよそれが可視化し始めたというところであった。

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