雄花の旅立ち
「…マイ…お願い…聞いて…」
ジェスさんは薄目を開け、私を見る。
「なに?」
ジェスさんの体はすでに枯葉状態。あらゆる葉っぱが崩れ落ちていた。花も目で分かるほど枯れてしまっている…もう生きているのが不思議なぐらいである。
「…撫でて…頭…」
「え?」
ジェスさんは目を閉じた。私はよく分からないが…まあ、頭を撫でてあげる。髪の毛はもうボロボロ、撫でる度に崩れ落ちる。彼の体を壊さないように私は慎重に優しく撫で続けた。彼の顔は安堵の顔になり…優しげだった。私は「いつ止めれば良いんだろう…」と後悔するのであるが…永遠と撫で続けたのであった。治癒医は無力感に煩わされながらも…見ていることしか出来ないのであった。。。
「はっ!」
気付いたら朝だった。朝日が眩しい。私は目を覚ますと…肩に毛布が掛かっていた。そして、顔は…ジェスさんの胸元にあった。
(いけない!寝落ちした!)
私はガバッと起き上がる…と言うより、突っ伏していた状態から背筋を伸ばす…が正しいか。どうやら、ジェスさんの頭を撫でながらそのまま夢の中に行ってしまったらしい。
(ジェスさんは?)
私は、彼を見る。そして、頭やら手やらを触って確信した。彼は…旅立ったのであった。
ごめんなさい。HAPPY ENDに出来ませんでした。自分の無力さを受け入れる。私は、生きる上ではそれが非常に重要だと思います。