ストーカー被害
「分かりました。私からもギルマスにお伝えしておきますが…内容的にもしかしたらシュウさんも呼び出されるかも知れません。ご了承ください。」
「え、ギルマスに?!」
「ええ…話を総合的にまとめますと、「ケリンさんの住処に盗賊らが攻め込んでいる。それを何とかする。」だと思うので…ギルド依頼になるとは思いますが…規模が規模ですし…とは言え、シュウさんが依頼をするとなるとシュウさんは膨大なお金が掛かってしまいます。とは言え、お金がないから放置ではおそらくこの領地が真っ先にケリンさん達のターゲットにされてしまうでしょう。取り分け、マイさんの話の限りデレナール領で収拾をつける規模ではないかと。こうなってくると、私が仲介するよりシュウさん含めマイさん、あとケリンさんもギルマスと直々に話した方が宜しいですね。」
「待て、俺もか。」
「ええ。」
「うーむ…人間の厄介事に巻き込まれたくないのだが…」
「じゃあ僕が…」
「お前は黙ってろ。…その、ギルマスとやらは今日はいるのか?」
「えーっと…ちょっとお待ちください。」
ミサさんが奥の方へ行き、帰ってきた。
「今日は別件で外出中ですね。予定的に後数日は戻られないかと。」
「数日か…うーむ。マイ。すまんが、お前の住んでいる拠点ら辺にしばらく泊めさせてくれないか。」
「勝手にどうぞ。どうせ、誰かしら普段私を監視してるじゃないですか。」
「恩を着る。」
「え、マイさん。監視されているんですか?」
「あれ、ミサさん。言いませんでしたっけ?私の拠点の周り、誰かしらの雄花…まあ、十中八九…いえ、100%でケリンさんの兄弟ですが…が見ているんですよ。万一があったらいち早くデレナール領を潰すために。」
「物騒ですね…ご愁傷様です。」
「別にこの人里を潰すために置いているわけではない。雌花に万一があった時にすぐ対応出来るようにするためだけだ。まあ、その過程でここの人間が携わっていたらこの街は潰すわけだが…他にもこのジェスもそうだが…他の雄花に目をつけられていないかとか、時には健康状態が問題ないかとかも情報が入るな。」
「マイさん。ストーカー被害出さないんですか?私がマイさんなら真っ先に出しに行きます。」
「誰に出すんですか…。ギルドに出したら最悪全面戦争ですよ?」
私もウザかったのでケリンさんが拠点の側をウロウロしている時にクレームを言いに行ったことはある。しかし、「雌花だから諦めろ。」と言われてしまった。しかも植物内でさえ賛否両論なのである。『プライベートは守るべきた。』と言う植物もいれば『これなら万一がある場合早急に対応出来る。』という植物さえいる。中間的な意見を持つ植物もいるし、もっと護衛を増やせ的な植物もいるのである。もう埒が明かないので私は植物達に雄花が私に害を示そうとしない限り情報を持って来ないでほしいと言ってしまっている。雄花は私の視界や音で感知出来るほど近くにいるわけではない。その為、ガン無視を図ったのであった。
「雌花って大変なんですね…いや、私も女性ですけど…つくづく、女性が世の中一杯いることに感謝しますよ。」
「ケリンさん。ジェスさん。ミサさんはこんな感じで私に同情してくれる女性なんですよ。私じゃなくってそっち行ってくれませんか?」
「私を巻き添えにしないでくれませんか?」
「ダメだな。雌花がない。」
「ですね。雌花がないです。」
(コンチクショー!!!)
心の中で発狂するマイであった。蛇足であるが、ケリンさんもジェスさんも包帯を何処かしらに巻いている。それについてミサさんに聞かれたが「帰りに魔物に襲われた」で済ましてた。私が殺してしまったし、かなり離れたところなので影響はないと言ってある。「ギルドで診て行きますか?」とミサさんが質問したが、やはり人間を信用していないのだろう。まあ、ケリンさん曰く自己治癒範囲内らしく…二人とも断っていた。そして、数日後…ギルマスとの打ち合わせ日は残念ながらまだ決まっていないのであったが…事件が起きたのであった。
ここら辺はただのネタです。次回から本編に戻ります。