救急対応
「うーん、どうしよう…」
シュウ君はシュウ君で困っていた。30歳ぐらいの男性は意識があり動ける様ではあるが…肩に矢が刺さっている。もう一人の6歳ぐらいの魔物は…昔どこかで見たことがあるような…いや、お姉ちゃんと似てるだけかな…殆ど動けずじまいであった。腕に刺さっている矢が貫通し地面に突き刺さっている様なのである。
「シュウ。マイが救急とか言っていたが、そのバックの中に何が入っている?」
「あ、うん。これ。」
取り出したのは、回復薬…ポージョン…まあ、ハンターの回復といえばこれだろう…と、包帯だけであった。
「ふん。マイのやつ。自分が強いからって過信したな?まあ良い。シュウ。俺は人間には関与しない。カリンはそれを使って治療するから見ておけ。それでお前が倒れているその男を助けたいなら真似すれば良い。そいつはカリンに手は出していないようだからな。始末する理由はないし好きにしろ。」
「分かった。ありがとう!」
ケリンは重症のカリンの側に行き、矢を引っこ抜く。うめき声が聞こえたがそれとほぼ同時期に刺さっていた刺し傷にポージョンを振りかけた。シュウやマイが調達したのは一番安価なやつ。まあ、お金がないからしょうがない。かけたところで傷口が塞がるわけではないが…とりあえず、包帯で何回か巻いた。
「カリン。俺だ。ケリンだ。動けるか?」
「ううう…お、お兄ちゃん…助けに…来てくれた…?」
「ああ。まあ、お前らを襲ったやつを始末したのはそこの少年と雌花だな。後でちゃんとお礼を言っておけ。」
「あ…」
「無理して喋るな。シュウ。そっちは頼んだ。俺はこいつを人が固めていない土があるところに連れて行く。」
ケリンはカリンをお姫様抱っこし、移動していった。まあ流石に1600年も生きて体格も見た目が女性とは言え20歳ぐらいあれば6歳ぐらいの女の子は運べると言うものである。ツルなしで。
「う、うん。」
シュウは残されたポージョンと包帯を持って倒れている男性の方へ歩いていく。
「え、えっと…大丈夫ですか?」
「…すまない。それはポージョンか。肩に刺さっている矢を抜いてそれをかけてくれ。包帯はいらない。背中の痛み的に多分骨に刺さっているだけで、内臓に影響はないと思う。子供にはそれでも高価な方だろう。俺相手にそこまでしなくていい。」
「う、うん…ごめんなさい。」
「どうして君が謝るんだい?」
「ぼ、僕…誰かを治療とかしたことなくて…」
「気にするな。さっきの話から察するに助けに来てくれたんだろう?それだけで十分さ。」
「う、うん!」
そして、シュウも矢を抜いてポージョンをかける。傷が完全に消えるわけではなかったが、男性の方が立ち上がった。
「あ…えーっと、ああ…あったあった。」
シュバレルは地面に転がっていた、丸いカゴを手に取った。さっきまでカリンと話しながらもずっとこれを見続けていたのであった。ただ、これ以上は不要と判断したらしい。彼はカバンの中にそれを仕舞った。
「それで…結局どうなったんだ?」
シュバレルはシュウに問い合わせる。
「う、うーん。こっちに来て。」
シュウはマイの方向へ向かった。シュバレルも付いていく。10歳ぐらいの男の子であろうか。随分しっかりした子だなとシュバレルは感心していた。
ちょっとシュウ君しっかりしすぎだなぁ。もうちょっと幼いイメージなのですが…。