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一輪の花による「花」生日記  作者: Mizuha
狙われた雄花
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テイマーの想いとテイマーの指示

「お姉ちゃん?!どうしたの?!」

「そうね。じゃあシュウ君に課題を出します。」

「課題?」


 私は襲撃ポイントに向かいながらシュウ君に問い合わせる。


「今、ある道で人間3人が魔物1匹を襲っています。シュウ君ならどうする?」

「え…うーん、道を歩いている人が魔物に襲われているなら助けなきゃ!」

「逆だよシュウ君。」

「え?」

「人間3人は盗賊です。そして魔物は私やケリンさんと同じ種類の魔物です。そして、転売という話も聞こえてきたから…おそらくケリンさんの弟さんを盗賊は誘拐して人身売買しようとしています。シュウ君がされたのと同じように。」

「………」

「さて、シュウ君は人間。魔物は本来人間を襲って殺しにきます。盗賊とはいえ盗賊は人間。襲われているケリンさんの弟は襲われているとはいえ魔物です。シュウ君は人間だがら人間を攻撃したら最悪捕まって罰せられます。魔物が誘拐されたとしても…殺されたとしてもシュウ君には何も害はありません。さてシュウ君。シュウ君はこれからどうしたい?」

「どうって…だったら襲われてるケリンさんの弟助けるに決まってるじゃん!罰せられる?知らない!魔物だから誘拐されても良い理由になんかならない!」

「万一があったらテイマーでありハンターのシュウ君が全部責任取るんだよ?それでも?」

「うん!助ける!」


 私は10歳の子供には多分私が言った意味を全部理解出来ているとは思っていなかった。とは言え、彼の正義とは何か…それだけはハッキリ伝わった。


「分かったわ。シュウ君。今私たちはその襲撃現場へ向かってる。木々から見下ろす形で現場を見ようと思ってるからシュウ君指示よろしくね。」

「え、僕が?」

「シュウ君私の魔物使いなんでしょ?あとハンターになったんでしょ?責任も取るんだよね?私の戦い方も知ってるよね?…大丈夫。曖昧な指示で大丈夫。シュウ君の指示をかなり改良して私は戦うから。シュウ君ケリンさんの弟守りたいんでしょ?」

「うん!」

「だったらその気持ちだけ持って私に命令しなさい。答えてあげるわ。」

「ありがとう!」


 会話の後、ものの数分で現地近傍に到着した。まあ他の雄花よりも近いという事だったので私の全速力であれば雄花の想像より早くつけるのであった。まあ迷ったら行動である。前世迷ってばっかりであったし、今でもパニックになると何も出来なくなってしまうのであるが…今回はパニックになったのはケリンさんの方であった。ケリンさんとジェスさんは私を追ってきているらしい。私達は木のある程度高いところの枝にのり襲撃現場を見ている。人間一人と魔物一匹が風魔法だろうか?で吹っ飛ばされた辺りを目撃した。


「ひ、ひどい…」


 シュウ君がつぶやく。私は戦闘体制に入るため、シュウ君を枝に下ろし念の為木の太めの枝に縛り付けた。私は対照となる枝に体を縛り付ける。シュウ君を抱えながらの戦闘は避けたい。シュウ君は私より重いのである。体の負荷は減らしたかった。


「さてと…」

「お姉ちゃん。3人って言ったよね。」

「言ったわね。」

「ここにいる3人が盗賊?一人は攻撃されている様に見える…。」

「シュウ君の視覚には入っていないと思うけど、見えないところにもう一人アーチャーがいるみたい。大丈夫私は見えてるから。」


 厳密には見えているのではなく、植物から情報を搾取しているだけであるが…。ただ人間を襲うだけだったら、もっと遠距離からやっても良かったのだが…シュウ君にテイマーとして仕事をして貰いたかったのと、今回は襲われている側がいるということでより精密さが求められる。その為、目視しながら戦いたかった。私は地面にツルを伸ばして差し込み戦闘準備を整えた。


「じゃあ、シュウ君。どうする?」

「うーん、とりあえず…あそこの2人を…」

「逆よシュウ君。気持ちは分かる。襲われている人々を見殺しにはしたくないんでしょ。彼らの絶叫もあるし…。だけど、今回一番脅威なのは見えていない敵よ。先にあいつらに仕掛けて、死角の敵がこっちに気づいたら私達どっちもおじゃんよ。隠れてるのは弓使い。しかも、植物の話から察してもかなり凄腕みたいだし。」

「分かった!じゃあまずはその弓使いを縛っちゃって!」

「了解。」


 丁度、弓使いは魔物の子供に狙いを定めている最中とのことであった。不意打ちには持ってこいである。魔物の子供には悪いが…弓使いが矢を放ち、子供の絶叫が聞こえると同時に一気に奇襲にかかった。道端にいる連中に気づかれると厄介なため、植物らの情報からまずは口を狙い相手が声を出せずパニックになっているところでツルで一気に縛り上げる。とりあえずは木に縛り付けておけば良いだろう。機能停止にさせればまずは十分である。


「縛ったよ。じゃあ次はどうする?」

「えーっと…あ!」


 盗賊の男性が魔物の子供に手を出そうとしていた。


「お姉ちゃん!あの二人の足縛れる?」

「うん。」

「じゃあお願い!」

「分かった。」


 私は地面からツルを吐き出し、二人の足を束縛する。地面は人間が歩きやすいように舗装されていたが…容赦無く破壊し束縛した。本来NG行為かもしれないが…まあ、盗賊だし仕方ないね。

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