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一輪の花による「花」生日記  作者: Mizuha
テイマー登録
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ギルドカード

「はい、では次のお客様。ご用件は何でしょう。」


 ミサさんは前の客のメモをしているらしく下を向きながら応答していた。受付嬢も大変そうである。


「はい。えーっと、ハンターの登録に来ました。」


 シュウ君の声である。


「え…ああ、シュウさんでしたか。登録って、えーっと10歳になったのですか?」

「うん!」

「そうなんですね。お誕生日おめでとうございます。」

「ありがとう!」


 シュウ君の誕生日は数日前なのであるが…まあ、シュウ君は気にしていないようであった。私は理解していなかったが、シュウ君の私への依存度は日に日に高くなっているのであった。誕生日よりも優先なのかもしれない。


「では正式に登録しますので…文字は書けますか?」

「うん!」

「はい、でしたらこれに必要事項を記載してください。後、ハンターカード登録において認証する必要がありますので記載しながら少々お待ちください。」


 ミサさんはそれを言うと奥の方に行ってしまった。一応補足だが、シュウ君は私と同じぐらいの身長にはなっている。とは言え10歳程度。受付の高さ的にまだまだ身長が足りないので側にあった足場に乗っかっていた。まあ、10歳でハンター登録する人は孤児院の都合で一定数存在する。それに向けての配慮がされているらしい。


「お姉ちゃんお姉ちゃん。」

「うん?」

「職業って何?」

「うーん、テイマーとか?魔物使いとか?これって統一されていないのかしら。」

「うんにゃ?ああ、テイマーで良いと思うぜ。テイマーと言う単語がピンとこない奴のために魔物使いと言う奴等もいるだけだからな。」

「はーい。」


 シュウ君はどんどん必要事項を記載していく。彼が孤児院で学んだ文字が生きていた。既に魔物の私など追い抜かれてしまっている。若干プライドを傷つけられてしまっているのであるが…まあ、シュウ君だし良いかなと考えている私がいた。


「ちょっとお聞きしたいのですが、良いですか?」

「なんだい?」


 私はリールさんに問い合わせる。


「シュウ君ってテイマーとして、魔物を使役すると思うのですけど…今後も魔物を捕まえたりするんですか?後、例えば自身で戦えるように鍛えるとかってあったりするのでしょうか。」

「どっちも本人次第だな。まあ、テイマーでハンターになる場合自分を鍛えるより適材適所で魔物を使役するのが正しいかもな。とは言え、魔物を世話するには金がかかる。伯爵夫人じゃあるまいし金は有限だから1匹からいても3匹ぐらいだな。俺が知ってる限りでは。」

「まあ、シュウ君の場合…今いる従魔が優秀過ぎるからねぇ。貴女だけでも十分な感じがするけど。寧ろ、頼り過ぎな感じがするから今後はハンターとして魔物使いの振る舞いをするのが理想かしらね。」


 ウィリーさんが追加でフォローにあった。まあ、私がやり過ぎている感は否定出来ないのではあるが…。


「うーん、私そんなに優秀ですか?」

「数日で誕生日プレゼントを主人の命令無しに勝手に取りに行った挙句、金貨何十枚もの物を稼いでくる魔物がいるなら誰でも欲しいとは思うが。」


 リールさんに突っ込まれてしまった。どうやらそう言う考えもあるらしい。まあ私自身はもう2度とごめんなのであるが。往復共に本気で吹っ飛ばしたのが原因で体力は幾度も底をつき、他の魔物を食って花の蜜を何度も漏らすという自虐行為をしている。更に黄金リンゴ自体も大地の妖精、アースの力なしでは集めきれなかっただろう。帰りに至ってはハンターとイザコザを起こし死にかかっている。栄光じゃなければこんな簡単に物事は解決しなかっただろう。街道でリンゴを運ぶのも私では不可能だった。オマケでリンゴは年がら年中成っている物ではない。この時期特別。今回の莫大な収入は色々な条件が揃い、色々な危機を回避して得られた物であった。次はないと思った方が良い。


「シュウさん。記載は終わりましたでしょうか?」

「うん。」

「では登録のため、この認証器に手をかざしてください。」


 シュウ君は指示された通りに手をかざす。若干青く光った後、光が消えた。


「はい。シュウさん。認証登録完了しました。これがハンターギルドカードです。」


 ミサさんはカードをシュウ君に渡した。私はそれを覗き込む。


-------------

名前 :シュウ

職業 :テイマー

ランク:F

-------------


 他にも諸注意とか色々記載があったが、まあ主要事項はこんな感じだろう。


「F?」

「ハンターレベルです。初心者がFで、最大Sとなっております。まあドラゴン討伐レベルでもAランクですのでSランクは幻のランクですね。ここのギルドでもAランクが数人いるかいないかです。」

「ふーん。」


 私はあまり興味がなかったが、シュウ君にしてみれば自分のカードが出来たこと自体嬉しかったようである。


「Fランクねぇ。」


 ウィリーさんが何故か私を見ながら発言したが無視することにする。

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