2日遅れの誕生日会
「おう。漸く戻ってきたか。」
リールが発言する。
「まだいたんですか?」
「まあな。リンゴ受け取っていないのもあるが…まあ全員心配だったと言うのもある。」
何故か彼ら4人は全員孤児院の子供達と遊んでいた。男の子達は男性ハンターの武勇伝とか聞いたりベイルさんの背中に乗っている子供もいる。ウィリーさんは女の子達としゃべっていた。
「あ、シュウちゃん、マイちゃん!ご飯来てるよ!」
メリーがテーブルを指すとシュウ君の昼食が置き去りにされていた。
「え、えっと…」
「とりあえずは腹ごしらえかしらね。私はちょっと仕事してくる。」
「え、お姉ちゃん行っちゃうの?」
「大丈夫。孤児院からどっか行ったりしないから。」
「う、うん!」
シュウ君が昼食を食べている間に私はリールさんのところに行った。
「リールさん。ナイフか何かありませんか?」
「うん?ナイフか。ウィリーなら持ってそうだが…何に使うんだ?」
「えーっと、まあ、リンゴ一個ぐらいは味見で食べても良いかなって。シュウ君のプレゼントですからね。」
「プレゼントか。だったらメリーに声かけてみ。ちょっとしたサプライズ考えたんだと。」
「あ、はい。」
と言うことで、まずはウィリーさんに問い合わせる。会話中だったが、ちょっと中断して貰った。
「ナイフ?何に使うの?」
「あれです。リンゴ一個切ろうと思って…シュウ君やまあ孤児院メンバー全員なら2個は覚悟かなぁ。」
「それだったら私が切るわよ。ナイフより包丁でしょそれなら。孤児院の先生に聞いてみるわ。リンゴその分貰えるかしら。」
「あ、はい。」
任せちゃって大丈夫なのだろうか。頼るのは良くないと思っているが…断れ切れない私であった。更にメリーさんにも声掛けする。彼女は嫌々ながら子供と話している感じがした。
「あー、私こういうの苦手…」
メリーさんは優秀な魔術師。魔法が使える。人間は魔力がある無し結構分かれる。子供達には珍しいのだろう。
「あ、メリーさん。宜しいですか?」
「マイちゃんどうしたの?」
「えーっと、リールさんからサプライズとかなんとか。」
「あ!えーっと…あー、シュウ君ご飯中かー。私準備してくる!後で外に来て!」
メリーさんはそう言うと外に行ってしまった。何だかつかみどころが良く分からない女性ある。しばらくしてウィリーさんがリンゴをいくらか分割して持ってきた。一口サイズにしてくれたらしい。
「何人子供がいるか分からないけどまあこれなら皆ひとつは食べれるでしょ。」
「あ、ありがとうございます。」
「あれ、メリー知らない?」
「あー、良く分かりませんが外へ行っちゃいまして。」
「あ、だったらちょっとこれはお預けね。皆で外行って食べた方が美味しいわよ。」
と言うと、ウィリーさんも外にスライスしたリンゴを持って行ってしまった。何だか良く分からないが…まあ、シュウ君待ちである。
「お姉ちゃんお姉ちゃん!お土産の食べ物ってどれ?!」
「あー、ウィリーさんが外へ持っていっちゃったんだけど…行く?」
「うん!」
「お、坊主外へ行くのか。なら俺らも行くか。」
「だな。」
子供達を部屋に置き去りにして…先生方に任せてはいたが…2人も出ていった。私達も良く分からないが、外に向かう。そして外へ出た瞬間、ある程度の音がなった。私はビックリして立ち止まったが…シュウ君は空を見る。
「花火だー!」
前世で言うところの簡易打ち上げ花火か?まあ、動力源は火力ではなく…メリーさんが魔法で火の玉を爆散させていた。
「シュウ君お誕生日おめでとうー!」
メリーは音に負けないような大声でそう言っていた。
「え…」
「先生達から聞いたのよ。シュウ君マイさんのことが気になっていてお祝い回楽しそうに思えなかったってね。だからマイさんもいることだし、栄光パーティー総勢でお祝いってわけ。」
「そう言うこった。でだ、まあプレゼントなんて全く考えていなかったが…ほら、お前の魔物が折角お前のためにプレゼント持ってきてやったんだ。食べようぜ?」
ベイルが指差すとそこには一口サイズのリンゴがいくらか置いてあった。
「おっとマイ。補足だが、お前の取り分と俺らの取り分1個ずつだ。異論は受け付けねえぞ?」
「え?」
「俺たちからのプレゼントと言うものでもあるからね。マイ、君は僕達に8個リンゴをくれたんだ。それをどういう風に使おうが君には権限はないよ?」
「皆さん…」
私は再度涙をながし始めていた。これはシュウ君の誕生日会…2日遅れだが…なのだが、何故かマイが泣いていた。
「花火きれいー!ありがとう!」
「おら坊主。そのリンゴ食ってみ。上手いぞ?」
「うん!」
シュウ君ががぶりつく。まあ、一口サイズなのであるが。
「お、美味しい!!!!!!!!!」
「マイが持ってきたんだぜ?感謝しろよな。」
「お姉ちゃんが…うん!お姉ちゃん!ありがとう!!!!!!!!!」
私は泣きながらもシュウ君の笑顔が見れて表情筋が崩れてしまったようである。更にシュウ君はリンゴをこっちに持ってきた。
「お姉ちゃんと一緒にリンゴを食べる!」
「あ、うん…そうね。」
私は光合成をすれば食べ物なんて要らないのであるが…シュウ君に流されるがごとく一緒に食べた。栄光メンバーはその様子を見てもう大丈夫そうだなとひと安心していた。
「おっしゃ。じゃあ、他のガキどもも呼ぶか!このリンゴ普通食えねえからな。」
「ガキは失礼じゃないベイル?子供達よ。」
「どっちもかわんねえよ!」
しばらくして他の子供達もやってきた。みんな美味しい美味しいで食べている。先生方はリンゴを見て遠慮していたが…栄光達からの推しで1つずつは食べていたようである。「一生のうちで食べることが出来るなんて…」と感激する先生もいた。私にして見れば蜜の分量間違えすぎ蜜リンゴと言う印象だが…まあ、それだけ美味しいと言うのと全員が…シュウ君含め…笑顔が見れて「まあ良かったんじゃないかな。」と言う感想なのであった。1時間弱で2日遅れの誕生日パーティーが終わり、先生の一人がシュウ君に声掛けした。
私喧嘩させるの苦手だなぁ。。。まあ、仲直り出来て良かったです。