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一輪の花による「花」生日記  作者: Mizuha
テイマーと従魔の亀裂
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遅れた誕生日

「あ…えっと…」

「お姉ちゃん?」


 シュウ君が直ぐに出てきた。なお、シュウ君が今どんな気持ちなのか私には分からなかった。ただ…何かが吹っ切れたのか…シュウ君は爆発した。


「う…う…お、お姉ちゃんの…お姉ちゃんの…バカ!!!!!!!」


 シュウ君はそのまま奥に走り去ってしまった。私は唖然とする。何があった。


「え?」

『姫様。シュウ殿は姫様をものすごく心配しておりました。既に誕生日を2日過ぎてしまっていると言うものもあります。それによる怒りと、何かあったのかと心配する気持ちとが耐えれなかったのではと。』

『10歳になったのでハンター登録に行くように先生方から言われていましたが姫様が帰るまで絶対行かないって言い張っていましたね。』

「………」


 私はシュウ君のために自らを犠牲にして果実を取りに行っていた。その結果、シュウ君の堪忍袋を刺激してしまったのであった。私は思考停止で呆然としてしまう。


「あ、えっと皆さん。立ち話はあれなので中で少しお休みしませんか?」

「あ、ああ。」


 シュウ君の行動に一同呆然であったので先生が発案すると全員右にならえをした。栄光達はしばし休憩とのことで椅子に座っている。なお、ウィリーさんはここの出身らしい。先生方と久しぶり…ではなさそうだが、先生方は変わっているらしい…昔話をしていた。ただ、私だけは思考停止状態になってしまっている。あくまでリンゴの目的はシュウ君の誕生日である。学費と言う名の。それをすっぽかしってしまった。後悔と自身に対する嫌悪で精神的に自傷し始めてしまっていた。


「マイ、どうしたんだ。そんなに黙って。」


 リールさんが声をかける。私は無言だった。


「そういえば、それはなんですか?」


 先生の一人が私達が持ってきたツルで出来た荷物を指摘する。個々人の武装道具とかは自分の側に置いてあったして浮いていないが、ツルのカゴは一種マイのものであるし…色的にも形的にも浮いていた。


「あ…えっと…これは…私からの…シュウ君への誕生…」


 そのとたん私は感情が爆発し泣き始めてしまった。前世からの悪い癖で涙脆いのである。


「え、え?」


 先生達も狼狽える。私は溢れ出る涙と戦いながら声を漏らした…。


「シュウ君…誕生日…プレゼント…間に合わ…かった…ワアアアアアア…」


 残念ながら私の限界はこれだけであった。


「そうか。あいつの誕生日か。豪華すぎねえか?」


 ベイルさんが突っ込む。栄光にリンゴを渡したところで、残ったリンゴは合計金貨55枚以上の価値である。まあ、突っ込まないほうがおかしい。


「学費…お金…学校…」


 私はぶっ壊れた心で何とか声を出す。その単語が先生を勘づかせた。何せ先日マイは先生方にシュウ君の学校について相談しているのである。勿論先生方は「不可能」と断言していた。しかし、カゴの中を見た瞬間…マイが何をしでかしたか理解した。


「…マイさん。シュウ君に直に話した方が言いと思います。彼ももう10歳です。多分彼は自室にいると思います。」


 自室と言うよりベットである。個々人の部屋が孤児院にあるわけはない。先生は案内してくれるとのこと。私は別に案内される側ではないが…場所知ってるし…ついていく。先生なりの気遣いであった。


「マイさん。正直に話して大丈夫です。彼なら分かってくれます。」

「あ…はい…」


 今回ばかり…と言うわけではないが、何だかんだで暴走したのは私自身である。この孤児院オンボロ過ぎて隙間から草が生えているところがあるが…この草自体がマイの心を押さえていた。私はシュウ君がいる寝室に乗り込んだ。子供達は全員別のところにいる。ここは私とシュウ君2人だけであった。


「シュウ君…いる?」


 返事がない。


『姫様ー。彼ちゃんといますよ~。』

「そう。」


 寝室にまで雑草が生えているのはどうかと思うが、今日に限っては私にとってありがたかった。


「シュウ君。とりあえずは謝罪するわ…。私自身言い訳に興味は無いし…。毎年誕生日は行けるように努めてたけど…今年は本当にごめんなさい。」


 私は前世誕生日の記憶があまりない。とりわけ祝ってもらった記憶がないのである。その為、シュウ君についても同等でも良かったのであるが…この孤児院は誕生日にはお祝いをするという習慣がある。経営難の為プレゼント等は無いが、お祝いソングだけなら無料である。仮に誕生日が不明の場合は入居時が誕生日になるとのこと。シュウ君は記憶喪失というわけではないので、誕生日はこの時期であった。


「遅くなっちゃったけど、誕生日プレゼント今年は持ってきたの。だから受け取って欲しい。私からはそれだけ…。」


 私はコミュ力が皆無である。こういう場合にどういった対応をすれば良いか全くわからなかった。かと言って、シュウ君がいつも就寝しているベッドに押しかける訳にもいかない。そんなことをして仕舞えば悪化してしまう。私は応答があるまで待つことにした。我慢比べではあるが…しばらくすると、声がした。


「プレゼント?」

「うん。ちょっとトラブルがあって…それで…」

「トラブル?お姉ちゃんまた危ないところ行ったの?!」


 シュウ君が急に大声を上げた。私はビクッとする。

 個人的喧嘩は苦手なのです。だから、このようなストーリーを書くのが苦手です。。。

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