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一輪の花による「花」生日記  作者: Mizuha
ハンターと魔物
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命だけは助けてください…

「ほ…本当に…ごめんな…申し訳あ…ないです…。」


 私は恐怖で怯えていた。いや、私の行動がダメかと言えばそんなことはない。万一これが栄光じゃなく山賊でマイに気づいて襲ってきているんだったらこれが一番安全な対処である。私は超遠距離攻撃型。相手の顔を見てから攻撃開始では遅すぎるのである。格闘場でBランクハンターとマイが戦闘開始したら、まあ、速攻マイは切りつけられてしまうであろう。それぐらいマイはスピードが足りない。孤児院では鬼ごっこ等で逃げ切れているが…相手は子供である。戦闘慣れしている大人とは比較にならない。


(どうする…どうする…。)


 リールが言ったことはど正論である。テイマーの魔物としてハンターを攻撃するのは御法度。最悪殺されてしまう。このままでは私は殺されてしまう。その恐怖で私は涙が出てきてしまっていた。体も震えている。


「リーダー。事情を聞くぐらいはして良いんじゃない。ほら、別に私は多少怪我はしたけど致命傷でもないし…。」


 アーチャーのウィリーが沈黙を破った。剣士でリーダーのリールは土下座している私からは見えないが、私を見つめているようである。


「おいおい。俺らはマイを知ってるから良いが、他のハンターだったら即刻殺されるぞこんなことしたら。」

「ちょっと、マイちゃん怯えちゃうようなこと言わないで!」


 ベイルが言う。それにメリーが反論していた。メリーにしてみれば、ベテラン3人ハンターと比較しまだまだ若い。マイのことをちょっと離れた妹のように思っていた。


「しかしだなぁ…。」

「ベイル。あとは俺に任せてくれ。」


 リールがリーダーとして主導権を握った。


「マイ。とりあえず、聞かせてくれ。これはシュウの命令か?」

「…ち…違う…あの子は…巻き添えに…しないで!」

「…なんで襲ったんだ?」

「…え…っと…ヒック…襲われる…思った…。」

「襲う?いやいや、俺ら確かに何かがいることには気づいていたが…あくまで警戒していただけでまだ何も…。」

「………」

「ベイル。一回黙ってくれ。マイがどうして襲われると思ったのかそれを判断しないことにはどうしようもない。」

「マイちゃん…とりあえず、私達を解いて。私達の仲じゃない。それにこの状況で他の魔物来たらそれこそやばいから。」


 私は顔を上げた。多分、リールとウィリーにはグチャグチャの私の顔が見えたに違いない。2人とも目を逸らした。私は怯えながら後退して行き、ある程度のところで全員のツルを解放した。私は再度土下座する。私の命とシュウ君の命を助けてください。それしか私の頭には思い浮かべていなかった。


「どうする?」


 ベイルが問う。


「メリー。とりあえず、再度探知魔法で警戒してくれ。変な奴が攻めて来たら連絡するように。」

「わかったわ。…って、もう一匹そばにいるんだけど何か。」

「なんだと?!」

「!!!!」


 私は片手のツルを地面に刺し、地面からツルを一気に伸ばして妖精のアースを回収した。


「…この子にも、手は出さないで!…全部私が負うから…お願いします…お願いします…。」

「マイお姉ちゃん?!どうして泣いてるの!…てか人間!そうか!お前達だなーマイ姉ちゃん泣かしたのー!やっつけて…」

「アース!ダメ!貴女まで…殺される!!!」

「え?…だって…マイお姉ちゃん…」

「アース!」

「う…」


 アースこと大地の妖精は私の少し上を飛びながら栄光のメンバー4人と対峙していた。


「妖精?!」

「なんでこんなところに!第一、妖精は人間の前に滅多に姿を…」

「探知魔法…」

「マイさんもしかして、この子を庇って?」


 かなり誤解が生じているが…マイが落ち着くまで10分以上かかった。運よくマイが生還するまで、魔物とかの奇襲はなかった模様。まあ、栄光パーティーはBランクハンター。ここら辺の魔物ならある程度駆除可能である。さっきの象の魔物は流石にわからないが…。しばらくして、私はかくかくしかじか話し始める。


「要は、俺らがマイに気づいてマイの方向へ動いたから襲われると思ったんだな。」

「はい…。私は魔物です…。しかも、食物連鎖底辺の植物の魔物…。相手を確認してから攻撃は…無理です。私が…殺される…。」

「だから先手で仕掛けたのね。」

「ええ…ごめんなさい…。」

「いいえ、それは私が謝罪しないと。」

「え?」

「だって、私の探知魔法が中途半端だったから…もし、マイちゃんって気づけたら別に警戒なんてしなかったと思うし…。」

「それ言ったら私だって…植物からは人間しか連絡が来ないから…」

『姫様。流石に人間か魔物かは分かりますが、姫様のお仲間か敵なのかは我々も判断しかねます。』

「…植物達も流石に人間の良し悪しまで分からないって言ってるし…。」


 全員が黙認する。今回たまたま栄光だったからある程度話が通っていたが、これが見ず知らずのハンターだった場合マイは殺されていたかもしれない。或いはマイが殺していたかもしれない。死んだハンターについて死因を調べれば大体どの魔物が襲ったかは選別出来る。とりわけマイの武器はツル。一発である。しかし、マイは相手を溶かして吸収が出来る。吸収後、ツルを地面に戻して仕舞えば完全犯罪の完成である。ハンターは疾走。死体現場等は何処にもない。証拠も0になる。まあ、ツルで空けた穴ぐらいは残るがそれでマイと紐付けれるかは余程のことがない限り無理だろう。

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