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一輪の花による「花」生日記  作者: Mizuha
妖精と木の実
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幼女妖精の実力

「私あの水…と言うよりあれ私の花の蜜なんだけど…、貴女がついて来てもあげる気ないからね?」

「え?なんでなんで?!」

「なんでと言われても…そうねぇ…。」


 妖精に例える何かがない。


「貴女何されるのが嫌?」

「嫌なことー?うーん、羽が傷つけられるとか?」

「じゃあ、まあそれで良いわ。私が花の蜜を作ると私の体が傷つくの。貴女で言う羽を削って蜜を作っている感じ。だから緊急とかじゃないとやらないから。」

「え?だってさっきお水くれたじゃん!」

「貴女お腹すいたすいたうるさかったじゃない。」

「うー、でもー別に水でもよかったんだよー?」

「こんな森の中に都合よく水なんてないわよ。ここら辺川あるの?」

「雨で十分ー。」

「私は雨乞い出来ません。」


 もう疲れた。とりあえず、蜜はそんな簡単にあげれません。ついでなので、私の帽子の中にある花も触るなと言っておいた。


「えー。触るな言われると触りたいー。」

「そう。ちょっと練習してみようかしら。」

「練習?」


 私は、リンゴ一つに腕に巻き付いてるツルを縛り付けた。本気で縛り付ける。リンゴはグチャって飛び散った。


「あらーリンゴ粉々ね。触ったら貴女もこうするからね?」

「ヒェ!」

「さてと…これ、本当に美味しいのかしら。ほら、貴女もどうぞ。」

「え?」

「砕けたリンゴをそこら辺にポイじゃリンゴの木に怒られるわ。一緒に食べましょう。」

「いいの?!」

「元はと言えば、貴女の存在がこのリンゴを作っているみたいだしね。私は少食だし。どうぞ。」

「わーい!」


 某リンゴを食べてみた。結論。美味い。蜜リンゴの親分と言った感じかな。


「うーん、確かにこれは採取依頼が出てもおかしくはないわね…。じゃあ私は帰ろうかしら。」

「美味しいー!やっぱりお姉ちゃん優しいからついていく!」

「だ・か・ら!着いてきたら今後ここのリンゴの木はどうするのよ!」

「良いじゃん良いじゃん!ほら!」


 妖精が地面を指差した。小さい魔法陣が形成される。


「転移魔法!ボクだけだけど有効なの。これで一緒に行けるね!」

(なんでもありだなこの妖精!あー、もう好きにしろ!)


 疲労は魔物を食べたことにより大分減ってはいたが…面倒臭い妖精が原因でやけくそになっていたマイなのであった。斯くして帰りは2人で下山することになった。私はリンゴ100個以上をカゴに入れて移動する。ツルを用いた雲梯であるが…下山は人間でも下りとなるので転倒しやすく危険である。私も…まあ、人間にはわからないと思うが、とりわけ荷物が重すぎるので注意して降りていった。


(くー、疲れるのが早いわね…)


 適宜光合成をしながら回復する。妖精はまあ飛べるので普通に飛んで付いてきた。


『姫様。花の匂いで魔物が勘づいたようです。』

「あー、もう…しつこい!」

「お姉ちゃんーどうしたのー。」

「え、あー魔物よ。食い殺されたくなければそこにいなさい。」


 私は光合成中は荷物を下ろしている。魔物に狙われるタイミングもここ。光合成中は帽子を取って効率をあげているため、花の匂いから魔物を寄せ付けてしまう。まあ、マイの花の匂いによって逆に逃げていく魔物も多いのであるが…登山の頂上付近ではマイの危険さを理解している魔物は少ないのであった。


(全く。)


 駆除完了後私はまた下山を開始する。大地の妖精は良くわからないがずっと付いてくるのでもう放っておいていた。


「そう言えば気になったんだけど。」

「うん?どかしたー?」

「貴女今までどうやって生きてきたの?」

「飛んでたー。」


 知ってるわ。


「じゃなくって…ここかなりの魔物の巣窟よ。それに妖精って狙われやすいんでしょ、魔物に。貴女そんなに強いの?」


 マイは故郷では、おばあちゃんが死んだ後自分を食いに来る魔物を除去していた。頻繁に来る時期もあったが、側に来た魔物を徹底的に地面に束縛しまくったので数が減ったのか最終的には襲われる数が減っている。現実は減ったと言うよりマイが残酷過ぎるので花の匂いを感じた瞬間逃げていったではあるが。匂いに勘づき近寄ろうとしたら地面に縛り付けられ餓死するまで動けない。マイは前世蚊とか明らかに小さい虫しか殺したことがない。それ故、魔物になっても自らの手で殺すことが苦手であった。しかし、マイは逆に警戒心が強く、捕獲したら最後絶対抜け出せないようにしていたのであった。その残酷さがマイの周囲に生息する魔物全員に恐怖を与えていたのであった。


(防衛だけじゃ生きていけないと思うんだけど…)


 この妖精は…4歳ぐらいの羽が生えた女の子である。この森は魔物の巣窟。逃げてばっかりではいずれ捕まって食い殺されていると思う。私も人のことは言えないが…この妖精の第一印象は雑魚。まあ、私は近接であれば速攻死ぬと思うが…とにかく、数千年この地で生き延びれる実力があるのか気になっていた。まあ、ないわけないのであるが…。


「うーんー。わかんないー。」

「分からないって…魔物に襲われたらどうしていたの?」


 移動しながら会話しても良いが…やっぱり集中しないと、ツルを誤ったりして死ぬ。また、重たい荷物過ぎてすぐに疲弊してしまう。私は再度日当たりの良い場所におり、光合成を始めた。日はもう大分傾いている。下山を始めた時は既に体感午後4時ぐらい。太陽光が入る場所も大分限られてきている。


「えーっとね…逃げてた!」

「逃げ切れるの?」


 魔物の中には本気で走ればチーターより速かったり、上空を飛び回ったり出来るものもいる。マイでさえ、植物から事前連絡がなければ彼らには食い殺されているだろう。この大地の妖精はどうやって逃げているのだろうか?


「うーんとね…飛んだりー地面に潜ったりー、あーこんなのも作れるよー!」


 妖精が地面に閃光を放つ。すると、地面から…簡単に言えばゴーレムが出来上がった。大きさは5m超えてるか?


(マジか…こいつヤバい妖精じゃね?)


「戦ってみるー?」

「遠慮しておきます。」


 私は植物から指示を受けて攻撃する…いわば超遠距離射撃型である。こんな真横にこんな巨大なゴーレムがいて倒せとか言われても不可能であった。


「えー。」

「すいません。心配なので早く消してくださいお願いします。」


 この妖精見ている限り気まぐれなところが多い。心配性の私は心に焦りを感じていた。


「じゃあ、花の蜜…」

「殺すよ?」

「ごめんなさいー。」


 なお、この妖精はマイの殺気には弱いのであった。ゴーレムも一気に崩れ落ちた。…砂埃で酷い目にあったが、まあ私にとってみたら及第点なのであった。休憩を終わらせ、再度移動…であったが、日が完全に落ち光合成出来なくなってしまったため予定よりちょっと早いが今日は近場の巣穴っぽいところで休むことにした。行きに1日強。今日はリンゴ採取完了と少し下山。後1日あれば街に付けるかなぁと考えていた私であった。まあ、フラグ建築なのであるが…。寝支度…まあ、支度するものなど何もないが…気になっていたことを話した。

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