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一輪の花による「花」生日記  作者: Mizuha
妖精と木の実
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犠牲と暴走

「ねえ、このもうなんでもいいや…はどうすれば良い?」


 私は疲労も溜まっている。思考停止で植物達にぶん投げた。


『普通の双葉だったら水でもかけてやれば良いんじゃね。俺らだって雨降らなきゃ辛いしな。』

『貴方は木だから根っこが深いじゃない。私なんてちょっとした草だから数日雨が降らなくてからからよ。』


 この辺りは数日雨が降っていないらしい。実際地面が大分乾いている。となると、この物体はお腹が空いたより喉が渇いたが正しいのか?


(うーん…この辺りに水なんてないわよね…はぁ…。)


 マイの悪い癖。相手の依頼に対しては嫌々ながらでも結局断れきれないというものがある。


「はぁ…分かったわよ。ちょっと待って頂戴。」


 残念ながら、ここいら一帯は魔物の巣窟。リンゴ狩りをしている間にも幾度か植物から警告が鳴っている。人間ならば避け、魔物なら気づいていないなら避け、こちらに気づいた云々があった瞬間速攻束縛していた。勿論、魔物避けのため帽子を被っていたが…休憩のため光合成をする時帽子を取っているし…避けようとしても追ってくるは始末であった。ここら辺は全部植物が情報共有してくれている。やはり非常にありがたかった。


(どの魔物使おうかしら。)


 束縛されている魔物は要はかなりいる。適当にある程度の大きさの魔物を選んでツルから取り込んだ。私はやはり疲労していることがある。吸収直後は花の蜜が作られなかったが、最終的には作られ始め…漏れ始めた。


(ううう…い…あう…)


 感覚としては人間換算でおむらししている感覚。最悪であった。漏れた蜜は「お腹が減った。」と言っているよく分からない物体に溢れていく。ただ、花から蜜を溢すと言うことは帽子は取らなければならない。そして、場所が場所であった。


『姫様!魔物が1匹勘付いたようです!』

(ここでかコン畜生!!)


 魔物を吸収している間、吸収自体を止めることは出来ない。おむらし状態も止めれない。だが、だからと言って敵は待ってくれない。殺されてしまう。吸収しながらではあるが、私は地面から別のツルを、木々の枝を経由させて私の体を縛り枝を支点として一気に持ち上げた。漏らしている感覚は残酷だが…それでも周りを見渡し、植物からの場所報告を受けながら敵を地面に束縛した。


(お前はタイミングが悪いから一緒に食ってやる!)


 マイの所謂、一番苦手な時間帯に襲ってしまったのであった。まあ、束縛されてしまったら餓死するか首絞められるか食われるかしか余生の選択肢はないのであるが…。私は再び地面に着地し、双葉?に蜜をこぼし続ける。私の精神はかなりすり減っていたが…余計な魔物を追加吸収してしまったため、とんでもない時間蜜をこぼし続けることになったが…人間換算で10分程度服を着たまま放尿し続けた感じなのだろうか?マイ感覚ではそれを大衆の前でやっているイメージ?…漸く止まった。


(うう…シニタイ…シニタイ…)


 私は顔を両手で隠し…精神状態が粉々になってしまってた。私はちょっとずつ後退し、側にあった幹にしゃがみ込んで涙を流していた。マイが色々な意味で瀕死状態の時、某双葉?には異変が起きていた。


「…凄い!こんな美味しい雨…ボクとんでもなく満腹…と言うか、力が暴走しそう!」


 私は壊れた精神状態の中、大量の蜜を溢した場所を見つめていた。音声的に絶対不味い奴である。精神に鞭を叩き込みながら警戒する。植物達も『どう言うこと?』的な発言をしており対応出来ていなかった。


「おりゃー!」


 某双葉があった所から何かが飛び出してきた。パッと見、人間?肌は肌色だが一般人よりは若干濃いめ?中が見えるんじゃないかぐらいの丈が短い茶色いスカートを履いている。そして、透明色というべきか?白い透き通った羽がある。4枚、左右2枚ずつ。上空を飛んでいる。髪の毛は茶色。背丈は4歳ぐらいである。


(妖精?)


 前世の記憶から私は勝手に推論した。妖精は前世のイメージ的に小さいと手より小さい、大きければ一般人レベルまでまちまち。ただ、透明の羽は色は置いておいても共通だった。そこから私は連想している。


「うーん!ダメー。えい!」


 その妖精は腕を振って指先を奥にある木に向けた。光る閃光が走り、ターゲットの木は眩しく輝いた。


(あ、これやばいやつ!)


 よく分からないが、危険である。私はツルを地面に再度刺し、目の前に太めのツルを何本も生成した。万一あの閃光がこっち飛んで来たら大変である。


「えい!まだまだ!えい、やー、とうー!」


 自分を守るため視野が全く見えないが、時折光の閃光が遠くに飛んでいく様子が見えた。これこの森山火事になるんじゃね?ただ、私はどうすれば良いか分からない。とりあえずは自衛だけである。妖精を束縛するという手もあるが、ヘイトがこっちに飛んで来てもらっても困る。見えていないが、乱発されたら間違いなく死んでしまう。


「うーん。うん。大分調子が良くなった!」


 私は隙を見て木の上に登り様子を見ていた。勿論自衛がいつでも出来る範囲でではあるが。逃げるという手もあったが、妖精という見たことない生命体に興味があり、その興味が勝ってしまった…が正しいか。


「えーっと、あれ?こんなものあったっけ?うーん、なんかすっごい!」


 その妖精は私が防衛に使っていた太いツルを見てじーっと見ていた。

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