酔った「花」
(うーん、朝かぁ…って、は?!)
ケリン達との会議か終わって戦争を回避してから更に数年。シュウはいよいよ10歳まで1ヶ月を割った。身長もマイよりちょっと低い程度まで伸びた。いよいよ孤児院卒業に向けた準備が始まる。そして、私は目を覚ますと…何故か孤児院のベッドの中にいた。しかも横ではシュウ君がむにゃむにゃ言っている。
(どうしてこうなった…え?え?!考えろ…考えろ…)
マイは年齢的には150歳半ばぐらいか?もう覚えていないらしいが…この世界にもお酒がある。そして、前日孤児院でちょっとした飲み会が開かれていた。季節は夏から秋。まあ孤児院の子供達が寝た後ではあるが。私は勿論、本来であればシュウ君を孤児院において行ってそのまま森に帰るはずであった。しかし、先生方から止められていたのである。
「マイさん。今日子供達が寝た後軽く座談会をしようと思っているんですけど、マイさんもどうですか?」
「座談会?」
「ええ、普段私達子供達の面倒を見ていますがたまには先生方でいっぱいと言う感じですよ。マイさんも長年ここで子供達の面倒を見てくれていますので一緒にどうかと。」
「うーん、まあ別に構いませんけど。でも大丈夫です?私見た目こんなちっちゃいんですよ?」
こんなちっちゃいと言えど10歳ぐらいであるが。まあ、先生方に比べれば圧倒的に小さい。
「良いんですって。だって、歳的には私達より圧倒的に先輩じゃないですか。それにマイさんが子供達を見てもらった後、子供達いつもより元気が良いんですよ。その秘訣も知りたいんです。」
「うーん…秘訣かぁ。」
私は考えるが…まあ、ない。強いていえば、見かけが子供達に近いだけ…であった。まあ、と言うことがあり座談会に参加したわけである。参加した時には色々な食べ物や飲み物等色々あった。ただ、マイには欠点がある。食べれるか食べれないかは無視して、食べ過ぎると頭の花から花の蜜が漏れてしまうのである。しかも、限界値までの上限が大体一般女性の食事量の半分以下。満腹を感じないと言うとんでもない欠点上、気をつけないと漏れてしまうのである。更に、マイにとって花の蜜を漏らす行為は人間換算でおねしょとかおむらしとかそう言う感覚。絶対に有るまじき行為なのであった。
「マイさんってあまり食べないんですか?」
「あー、ごめんなさい。私少食なもので。」
「そうなんですね。」
機転を利かせてくれる先生もいるが、大半は色々な愚痴が飛び交っていた。
「ねえ、やっぱりこのオンボロ校舎どうにか出来ないの?」
「貴族様ってお金沢山持っているイメージよね。豪邸に住んでるし…こっちにお金少しは回せないのかしら。」
「結局領民の税収なんてそんな感じにしか使われないのよ。ヤダヤダ。」
前世の私もそのような話を色んなところで聞いた記憶がある。所詮何処行っても人間社会はネズミ講なんだなぁと呆れ返っている私がいた。
(うーん、これは何の飲み物かしら。)
マイだって、少食とはいえ何も食べないは癪に障る。今日の差し入れは皆んなの給料であり、私は例外で奢りとなっていたが…いや、そもそも論お金払えだったら参加出来ない。人間の街で生活を始め4年程度、収入は0であった…やっぱり花から漏れない程度で何かは食べたい。その為、気になるものはちょびっとだけ摘んで別の物へ行く。と言う作業をしていた。そして、私が目につけた飲み物…飲んだ瞬間びっくりした。
(これ、梅酒じゃん!!)
マイは前世お酒は殆ど飲まなかった。と言うより苦味がとんでもなく苦手だったため、飲めなかったが正しいか。それ故職場の忘年会等は地獄であった。飲めないのに嫌々社交辞令だの何だので飲まされた挙句、上司の愚痴やら説教やらを言われる。幹事をやらされた挙句、感謝ではなく愚痴ばっかり。不服を言えば、「社会でのお客様との付き合いはこんな物だから慣れろ」とかどうとか。そんな中、やっぱりそれでも美味しいと感じていたのが梅酒であった。「梅酒は子供の飲み物」とか「女の飲み物」とか馬鹿にされたがそれでも元男性社員だった私は梅酒に拘っていたのであった。
(いや〜これは美味しいわ…あれ…なんかフラフラする…)
マイは魔物である。前世も酒には弱かったが、どうやら今の私もお酒には弱いらしい。と言うより今の方が更に弱いらしい。
「あー、すいませんー。急に睡魔にー襲われまして…先に失礼してーよろしいでーしょうかー?」
「え。まあ…顔赤いけど大丈夫?」
「大丈夫ですー。ではー。」
先生方も話に夢中である程度酔っていた。その為、マイが座談会が終わった後どうするかなど誰も興味がなかったのである。そして、朝方…この惨状なのであった。
お酒に飲まれないように注意しましょう。なお、コロナ渦で飲み会が大幅に減りましたが…私には有難い以外の何者でもありません。いや、人々との交流は非常に重要です。しかし、社交辞令的な飲み会は不要だと私は考えます。




