受付嬢の評価
「2人とも大丈夫?」
戦闘に使ったツルについては網状のものは邪魔なので全部地面に戻しておいた。幹のようなツルも同様に処分。森の奥の魔物へ仕掛けたツルは知らん。火の魔物も知らん。地面から出てきた魔物も知らん。シュウ君とミサさんについてはツルを使って、ゆっくり地面に下ろしたのちツルの束縛を解除した。私も地面に降りる。
「お姉ちゃん!僕は大丈夫だったよ!一瞬火が飛んできた時怖かったけど…お姉ちゃん信じてた!」
「ありがとう。まあ、ごめんね。怖い思いさせちゃって。」
「うんうん。大丈夫!お姉ちゃんやっぱり強い!僕もお姉ちゃん以上に強くなってお姉ちゃん守る!」
「そう…無理はしないでね。まだ8歳なんだから。」
私はシュウ君を撫でてあげた。まあ、夢は大きくても持つことが大事だと思う。夢が無くなったらどうなるか。それは私自身が一番よく知っているから。
「マイさん…。」
ミサさんから声がかかった。
「なんでしょうか?一応聞いておきますが、ツルでミサさんを縛ったから私は処罰されるとかありませんよね。」
「いえいえいえ、とんでもないとんでもないですよ!マイさん強すぎませんか?!あの火炎鳥はBランクの魔物ですよ?すばしっこくて炎魔法吐いてくるので、栄光だとしても苦戦するだろう魔物です。それをこうも易々と…。」
「うーん、そんな私強い?結構私も苦戦していたけど。相性最悪だし。」
「ここで縛られている、ファスモグラもBランクです。急に地面から奇襲をかけてくる厄介な魔物です。どうしてわかったんですか?」
「え?植物が教えてくれたからだけど。」
「しかも2匹同時に相手とは…。」
「3匹だよ。」
「え?」
「もう1匹こっちに攻め込んできていたけど、向こうの視界にこっちが入る前に奇襲して地面に縛り付けておいた。」
「………」
ミサさんは唖然としてしまった。この突然変異体の魔物日記をつけているが…想像を遥かに超えてやばい魔物であることが分かってしまった。
「そ、そうですね…マイさんはまだ分かっていないことが多いのでなんとも言えませんが…私の偏見ですが、マイさん恐らくB+からA-レベルの魔物です。いや…今見た感じだともっと上?…マイさんは確かまだ未成熟とか聞きましたし…うーん、と…とにかく、マイさんはとんでもない魔物ということがわかりました。これはギルマス報告レベルですよ。」
「え?面倒臭くなりそうなので秘密にして欲しいのですか。」
「あー、じゃあ推定レベルだけ報告しても良いですか?どういった理由…例えば戦い方とか…は本人から開示するなと言われたとでも言っておきますよ。流石にこのレベルだと報告しないと私クビです。」
「じゃあクビで。」
「なんでですか!!」
最終的に超抽象的にという条件で許可をした私であった。まあ、この受付嬢が約束守るとは思わないので口止めするなら殺すしかないのである。私はまあいつかバレるとは思っていたし…というより街に初めて入った時もやらかしていたし…もう諦めモードだった。
「お姉ちゃん?この魔物さん達どうするの?」
「うーん、放置で良いんじゃない。モグラは殺しておいたし、鳥は…今窒息させてるから勝手に死ぬと思う。」
「え?どっちも貴重な素材になります。持って帰りましょうよ。」
「これ運べる?というより、まず私は光合成したい。ちょっと体力消耗が激しい。」
『姫様。多少の木漏れ日が漏れている場所ならすぐそこにあります。ちょっとそこで休まれては?』
「うん。そうする。」
私は日光が届いている地面に移動し日光浴を始めた。本当に多少しか漏れていないので一時の休憩レベルにしかならないが。
「うーん、私解体を見ることはよくあるのですが…知識もある程度ありますが…力がないのでこの小刀だけで出来ますかね。」
「まあ、シュウ君もいるから手伝ってもらうのはどうですか?戦力になるかはわかりませんが。補足ですが、私は解体出来ません。腕の力は本当にないんです。」
ということで、モグラに小刀を刺して色々やろうとしていたミサさんであったが…5分程度で諦めてしまった。
「硬いですね…。よくハンター達はこんなの傷付けれますよ。解体作業メンバーもどれだけ力あるんですか。」
「専用の武器や機器があるからじゃないんですか?ミサさんが持ってきたのは最低限の防衛用ですよね。」
「うーん…」
どうしても持ち帰りたいらしい。私はため息をついた。
「わかりましたよわかりました。じゃあ、ある程度休んだら私が運びます。丁度良い時間ですし、昼食にするのはどうでしょう。私はあの鳥を確実に殺しに行きますので。」
既に窒息死しているだろうと植物は言っているが油断は禁物である。もう、ツルの内部で燃えている感じはしないが、さらに相手の首元にツルを巻きつけ首をへし折るレベルで締め付けた。体感砕け散ったと思われる。もう平気だろう。




