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一輪の花による「花」生日記  作者: Mizuha
立入禁止区域
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植物VS魔物3匹

『姫様お気をつけください。魔物が姫様に気づいたようです。』

「え?今日に限って?」


 マイは2人を拠点に入れた後、天気も良いし光合成日和ということで拠点に帽子やら服やらを置いてきていた。ミサさんには「何破廉恥なことしているんですか?!」と言われてしまったが、「魔物が服着ているの見たことある?私これ不快なの。森の中ぐらい良いでしょ?」と押し切っていた。それゆえ、花の匂いは森中に広まっていた。まあ、普段拠点で光合成をしたり寝たりするときも帽子は取っているのだが…。光合成しにくいし、寝るのにも蒸し蒸しする感じで邪魔なのである。


「マイさん。どうかしましたか?」

「森の魔物が私達に勘付いたらしい。駆除するから2人とも動かないで。」

「はーい!」

「私も何か出来ることありますか?」

「うーん、万一は起こしたく無いけどシュウ君守っておいて。」

「わかりました。」


 私は木の上に登る。一瞬の如く…マイにしては常識なのだが、ツルを使った木の上に登る行為はミサさんには新鮮だった。


「おお…これはマイさんの戦っている様子を見れるチャンスではありませんか。早速メモしなければ…。」


 しかし残念ながらそんなに呑気にメモ出来る状況ではないのであった。


「何処らへん?」

『ここから姫様のやや右手1.8km地帯ぐらい…』

『姫様、地中に魔物が潜ったと報告がありました。報告した杉の木によりますと姫様の方に向かってるとか。』

「え?もう一匹来たの?」

『おい!上から一匹向かってるらしいぞ。しかも火を纏ってるって。多分炎魔法を使えるやつだ。姫様対応出来るか?』


 マイはマルチタスクが苦手である。どうやら3匹同時撤去らしい。かなりの危機的状態であった。150年の経験上、そう言った事象も何回か起きている。そのため、この窮地を乗り切れないなら既にマイは死んでいる。ただ、さらに厄介なのが2人守らなければならない人がいることであった。


「2人とも!」


 私は叫んだ。


「お姉ちゃん?!何かあったの?!」


 シュウ君は私の魔物使いである。長い付き合いでもある。私の異常をすぐ検知した。


「話は後!いい、2人ともツルで何されても絶対抵抗しないこと!わかった?!」

「うん!」

「マイさん?一体何を?」


 私はツルを地面に差し込む。そして、太めのツルを出し木のある程度高い場所を通して再度おろし、2人をツルで体ごとぐるぐる巻きにした。


「え?な、なんですかこれは?!」


 シュウ君はよくマイにツルで縛られて移動することをしている。よく…ではないか。とりあえず、慣れているのであるがミサさんにしてみればツルに襲われたとしか考えていない。2人をツルを引っ張ることにより木の上の方へ引っ張っていくときも、更に5mぐらい上昇したところで木に2人を縛り付けているときもなんとかしようと抵抗していた。まあ、マイの本気のツルを切り破るのはほぼ不可能であるが…。


「お姉さん!お姉ちゃんが僕たちを守ろうとしてくれてるの!抵抗しちゃだめ!」

「で、ですが…流石に…」

「ダメなものはダメ!」

「は…はい…」


 ミサさんもどっちにしろ無理だと諦めたようである。私は更に地面から1mぐらいのところに網目状のツルで出来た罠を広範囲で設定。上空にも私達からある程度高いところで同様に設置した。ここは森の中。木がたくさん生えている。それを利用することにより、とんでもない広さの網を超短時間で作成していた。


「凄い…」


 ミサさんが何か呟いたが無視。マイは更に植物に確認を取る。


「連中は何処?」

『地上は1.2kmぐらいでしょうか?まだ匂いに勘づき近付いているだけと思われます。』

『地面は見えねえからわからねえな。まあ、掘り始めた場所的に一番近いんじゃねえか?』

『空は800mぐらいでしょうか?』

「了解。」


 一番簡単なのが、地上の生き物。肉食動物は当たり前だが獲物がある程度そばに来るまで走ったりしない。まずは気配を消し、隙を見て一気に仕掛ける。たまに直接エンカウントするときもあるが、その場合も相手の様子を見てから一気に突っ込んでくる。要は獲物が走って捕まえれる射程範囲に来るまでに急加速は絶対にしないのである。そんなことしたら、捕まえる前に疲れてしまい狩りは失敗に終わってしまう。それを逆手に取るのがマイである。私は上下にトラップを貼ってあるので先に地上に狙いを定めた。距離さえ解れば捕まえるのは慣れから一瞬である。さっきも言ったが、地上連中はこっちを目視出来るまで加速はしない。要は移動速度は遅い。植物からのタイムラグがあるとはいえ、ほぼ正確にツルを敵に引っかけれるのである。案の定、足の何処かは縛り付けることに成功。そのまま束縛…


『姫様!根元から何か来てます!』


 植物は根がある。要はここの木々の根に魔物がぶつかればこんな感じで連絡が来る。


「上空は?」

『200mぐらいか?もうすぐ見えるかもな。』

「わかった。」


 とか言っているか言わないかの内に地面から大きな塊がこっちに向かって突っ込んできた。勿論トラップのツルにぶつかる。その瞬間、ツルが延長しモグラっぽい魔物を束縛していく。地面を掘ってくる魔物は既にターゲットを絞り込んで一気に掘り進めていることが多い。地中暮らしならまず私に気づかない。気づいたということは地面という見えないところからの奇襲が可能のためかなりの速度で攻めてくるのである。


「タイミングが悪いなぁ…。」


 ツルが束縛するのは自動ではない。全部マイの手動…というより意識で動かしている。そのため、地上の魔物と下の網にかかった魔物を同時に絞めていくことになる。

 現状のマイちゃんの戦い方です。チートではないよね?

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