禁止区域の散策
「こっちの方行ってみたい!」
「じゃあ行きます?」
「マイさん?シュウ君は人間です。マイさんにとってみたら何もないかも知れませんが、そんな明らかに迷子になりそうな方向へ行ってはいけません。それに植物によっては毒とかを含むものがあります。シュウ君のわがままで全部押し通すのは私が反対しますよ。」
「じゃあ、ミサさんそこら辺お願いします。」
「え…まあ、わかりましたが…今までマイさんとシュウさんはどうやって森の中で生活していたんですか?貴方達を見ているとシュウさんがよく生きれたか疑問でしかないんですが…。」
「いや、颯爽詰んだから街に降りてきたんじゃないですか。じゃなかったら今だに私もシュウ君も森の中ですよ。」
「移動するときもこんな感じで?」
「いや、私に縛り付けて雲梯で移動です。」
ミサは頭の中がクエッションマークなのだが、ツッコミを放棄することにした。シュウ君が行きたい方向へ行き、ミサさんがそれを止め…時折ミサさんは地面に座り、生えている植物の中でハンターの採取依頼に携わりそうなものがあったらチェックしていた。貴重種があったりしたら良い意味でも悪い意味でも大騒ぎである。まあ、マイがここら辺を拠点にしてまだ2年も経っていない。マイは確かに植物の魔物であるがレアな薬草とかを生やさせるとかの能力があるわけではない。そのため、まあ無法地帯化しているためお金になる薬草とかが一切採取されず荒れたい放題生えている場所はあったようだが…その程度であった。
「うーん、やっぱり予想はしていましたが…人の手が入らないが故、良くも悪くも植物が多い茂っていますね。EやFランク冒険者にしてみたら良い稼ぎ場になりそうです。まあ、採取がある程度進んでしまったら他と同じになりそうですが。」
「稼ぎ場ですか…じゃあ、私がシュウ君が10歳になるまでここを立入禁止にし続けて、10歳になった瞬間にシュウ君が乱獲するというのはアリだったりします?」
「多分それをやったら、何かしらペナルティーが付くと思いますよ?あくまでここはマイさんが街で生活するためにギルドが許可を出してくれた場所。独占する権限はありません。それに、薬草だって他の雑草と同じで冬になれば枯れますよね。ですので、どっちにしてもそこまで大儲けも出来ないと思いますが。」
「そうかぁ…。」
ミサさんの意見はド正論であった。私もぐうの音も出ない。まあ、元々それを目的にここを占拠したわけじゃないし「別にいっかー。」であった。なお、今後の課題になるのであるが…マイは植物と会話出来るということは、薬草とも会話出来る。薬草採取となったら言わば薬草を殺さないといけない。それにおいて考えさせられることになるのはまだまだ先であった。実際今回ミサも禁止区域の観察を目的としており、採取はしていない。ミサはハンターではないので採取したところでお金にならないのである。知識は最低限は無いと受付嬢として務まらないが…まあ、専門の人は別途ギルドにいるのでミサは無難な薬草のみを見ているのであった。余談ではあるが、足元に生えている草達は踏まれたとき時折『痛い』とか『重い』とか言うときもある。ただ、それにおいて全部を聞いていたらマイでさえ何処も歩けなくなってしまう。それについてはおばあちゃん木から『動物と植物と生きる際には植物は必要最低限の理不尽は受け入れなければいけないんじゃ。』と教育されていた。なのでマイもそう言った発言は聞かなかったことにしている。まあ、植物の魔物が動物の魔物に襲われた時に理不尽に沿って食い殺されるのではなく地面に縛り付けて餓死させている魔物がいることは周知の通りではあるが…。




