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一輪の花による「花」生日記  作者: Mizuha
立入禁止区域
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雌花の拠点

「念のため確認ですが…立入禁止区域に入って良いんですよね?」

「私が襲われたくないと言う理由で立入禁止をお願いしているので私が問題ないなら大丈夫ですよ。」

「そうですか。と言うことは、例えばですよ例えば。マイさんが孤児院にいるときとかは入って良いのですか?」

「うーん、まあ良いんじゃないですか?私がいないならどうでも良いですし。」


 ミサに至っては受付嬢としてたまに来る立入禁止のクレームが億劫であった。森は誰かの物ではない。要はマイが拠点に入ってきた人間を駆除するのも自由だが、入ることでさえ本来は自由なのである。マイが殺されるのではないかと警戒しているだけ。まあ、それがあるから勝手に入ると殺すよと言う意味で立入禁止なのだが…。ミサはマイの意見からこの立入禁止ルールをどうにか出来ないか個人的に検討するのであった。


「うーん、やっぱり森の空気は美味しいわねぇ。」

「そうなんですか?」

「ミサさんこの空気の美味しさ感じませんか?」

「僕は感じるー!お姉ちゃんと森を冒険していた思い出ー。」

「シュウ君。それはなにか違いませんか?」

「シュウ君がそれならそれで大丈夫。」

「やっぱりマイさんシュウ君には甘々ですよねぇ。結婚式はいつですか?」

「私たまに魔物じゃなくて人間の方が良かったと思うときがあるんですよ。このときだけですが。」

「反論来ると思ったのに刺さっちゃうのは止めてください。私が恥ずかしいじゃないですか?」

「自爆する受付嬢が悪い。」


 下らない話が出来ると言うのは良いことである。マイは1人で生活していたときは植物と会話することが多かった。と言うより植物以外いなかった。それが、人間と会話する機会が増えてきたのも人里に降りてからである。


『姫様楽しそうですね。こちらも嬉しいです。』

『でも俺らと会話する量が減ってるのはなぁ。』

『まあ、今日は特別ですから。姫様は森の中では私達と話してくださいますから。』


 植物達にしてみたら若干奪われた感はあるらしいが…まあ、植物はそこら辺に腐るほど溢れてるし…マイこと姫様が平和なら何でも良いのであった。


「ここが私の拠点です。シュウ君は来たことあるよねー。」


 初めて街へ入る前、急いできたため体力回復とか…心の準備が云々とかあり…ここで休んだ思い出がある。まあ、ここは森の中でも日当たりが良く土も…森の山奥に比べれば微妙なのであるが…及第点であった。すぐそこにもちょっとした洞穴がありマイは普段そこで寝ている。


「ほうほう、マイさんここを選んだ理由は?今日もちゃんと筆記用具と紙持ってきてるんですよ?」


 ミサさんが紙をピラピラさせる。


「何ですか?また私を観察とかなんとかですか?」

「はい!」

「正々堂々言うの止めてくれませんか?ちょっとは抵抗してくださいよ。」

「何言ってるんですか。突然変異種ですよ突然変異種の魔物。観察日記つけなかったら私は生きている意味がありません!」

「どこに生き甲斐持ってるんですか…。」


 マイは唖然だった。この人の生きる価値は一生私には分からなそう…仮に本当に2万年生きれたとしても…そう思うのと同時に、前世としても今植物として生きるにしてもその価値を見出だせない自分自身と比較して羨ましく思うのであった。


「お姉ちゃんお姉ちゃん!ここポカポカだよ!」


 シュウ君は私がいつも日光浴している地面に横たわっていた。ここら辺は木々が少なく草が生えてる場所である。


「あらシュウ君。服が汚れちゃいますよ?」

「えー、お姉さんもここここ!気持ち良いよ。」

「ですが…」

「汚れても困るの孤児院だし…ミサさんもどうです?私は寝転がるより座った方が落ち着きますけどね。」

「森の中なのに気楽ですねお二人とも。」

「私にしてみれば森の中で生きた年数の方が長いです。」

「僕はお姉ちゃんと日向ぼっこするの好きなの!お散歩の時でも公園で日向ぼっこするときあるんだよ!」

「やっぱりお二人は結婚した方が良いのでは…。」


 ミサさんはやれやれと言うかのように2人の横に座った。実際マイは孤児院に行かないとき永遠とここで光合成をしているわけではない。ここの土はやはりマイにとってみると及第点とはいえやはり貧弱なのである。それゆえもっと奥に行って養分を土から吸い取ったりとかもしていた。少しの間休憩を挟みミサが動き出す。


「マイさん。ここら辺一帯を散策しませんか?まあ、マイさんにとってみればいつもの風景かも知れませんが、私としても立ち入り禁止ということで気になりますし…シュウ君もここで日光浴だけではあまり一緒という意味もないかと。」

「どうするシュウ君?」

「うーん、僕も一緒に歩く!」

「じゃあそれで。」

「マイさんって、どうしてそこまでシュウさん優先なんですか?」

「私の魔物使いだからじゃないですか?」

「にしてはやっぱり度が過ぎるんですよね…。」


 ということで、森の散策が始まった。予めだが、登山道みたいなものはない。闇雲に歩くだけ。迷子になったら終わりである。ハンター達も移動する際は遭難しないように各々工夫しているが…まあ、この3人の場合マイがいるから問題はないであろう。植物が全員案内人なのだから。

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