戦場視察
長寿命の女性と短命な男性の夫婦関係か。
まあ、異世界のエルフ種は特殊だとしても。
前世なら、色々な特典は有ったな。社会保障と言う特典が。
病気とか怪我を負っても、健康保険が完備されて居た。
老後は介護施設に年金制度も有ったからな。
まあ、その恩恵に預かれるのも健康で働いて保険の掛け金を
払わなければ、何処かで破綻する事に成る。
此の世界で同じ様な事は出来ないだろうな。
貴族階級と言う特権階級の者達が搾取し放題な世界。
前世も、時代と共に貴族階級は無くなった。
此の世界は、他国との戦争も有るけど。
魔物と言う敵とも戦わなければいけない。
弱い民衆が集まっても魔物とは戦えないだろう。
前世の様に民主主義を歌って議会で質疑応答とかして居る間に、
魔物に攻め滅ぼされるだろうな。
外敵に対する素早い政治活動が自国を守る要。
隣国からミサイルが飛んで来ても、わあわあ騒ぐだけの国のトップと
マスゴミ達。侵略戦争を起こした過去が有るとは言え。
盾だけしか持たない国は舐められる事に成る。
前世の記憶を持ったままでの異世界転生。
如何に、アドバンテージを生かせるかは。失敗を覚えて居て。
此の世界に生かせるかに掛かって居る。
やはり、爺さんの指導の賜物だな。
ドラゴンの親父を安楽死させた御蔭で、力を手に入れられたのが大きい。
それと、過去の進んだ世界の知識と道具を手にした事も。
最終兵器何て普通は手には入らない代物だ。
これらを使って今後どう生きるか。
「ご主人様、通信手段ですけど早く造りましょう」
「そうだな、目途が付いたのなら造ろうか」
造るのは俺の収納内で組み立ては多分俺の手を使うのだろう。
「モールス信号の送信機と受信機を造ります。地球の二十世紀技術で
有ればそこそこの物が造れます。受信機は耳に取り付けて骨伝導にすれば
音は出ません」
「遠距離だと電波の中継局も居るよな。個別に持ち運ぶとなると電池も
居るよな」
「音の信号だけなので数百㎞程度は飛びます。中継局は高い山の上に設置します。空には駆逐艦アルカイックの搭載艇を飛ばしますから中継は出来ます。
電池は魔力球の小さい物を利用します」
「一つ試作品を造って試したら良いよな」
収納内が電子部品工場に成って居る。極小の部品が出来上がった。
俺の馬車制作工場の一角にある試作品製造室。
机の上には極小の部品類が整然と並んで居る。
俺は他人事の様に見て居るだけだ。
両手が産業ロボットの手の様な動きをして居る。
左手で掴んだ小さな部品を右手から出る火魔法で半田付けして居る。
昔見たTV放送。ICチップを金線で繋ぐ場面凄まじい速さで接続して居た。
あっという間に出来上がった通信機器。
送信機は腕輪だな。腕に取り付けてボタンを強弱を付けて叩くだけ。
其処から出る信号を耳に被せる様に付けた受信機が受ける。
受信機は微振動を起こして内耳に骨振動として伝える。
受けた信号は、前世のアルファベットで分かる様にして居る。
ボリス自身と部下達には催眠学習を施して居る。
万が一にも受信機を盗られても分からない仕組みにして居る。
耳に取り付ける受信機は目立ちにくい形状と色にして居るが。
エルフ耳にしたかったな。でもそうすると余計に目立つ。残念だ。
中継局を充実させないと遠距離で使えない。
山の上に転移で移動しながら中継局を設置して行く。
中程度の魔力球も一緒に設置する。大気中から魔力を補充出来る様に。
試運転は、ロボットで行う事にした。
ロボットをカリペド男爵領西に有る削りかけの山脈に連れて行って俺は
自宅に帰る。
「・・・― ― ― ・・・」
「・・・― ― ― ・・・」
モールス符号の定番SOSである。
成功である。永続性の試験もしなくては成らない。
短期間に壊れる様では使い物に成らない。
・・・・・・・
「第九回、家族会議の続きです」
中断して居た家族会議を再会する。
お父様にボリスの家族も紹介しなければ行けない。
「お父様、中断致しまして申し訳ございません。問題は解決致しました。
今日は、帝国でスカウト致しました。ボリス・ユスポフとその家族です」
ボリスの家族とお父様とお母様に俺達若夫婦を紹介する。
「ボリスは帝国の伯爵家の将軍だったのだな。此処は男爵家だから
軍隊としては小規模に成るな。アドラ此れからどうするつもりだ」
「お父様、フロル王国で男爵家が大きな軍事力を持つと謀反を疑われます。
ボリスには帝国内で隠密行動をさせる予定です。カリペド男爵領も人口が
増えて居ますから治安維持の為にも衛兵を増やさないと行けないのですが」
「そうだな、領内を警備する兵士は少し増やした方が良いだろう」
「それでは、一割程増やす様に致します」
隣の伯爵領での問題は片付いて居る。悪政を強いていた伯爵は
帝国との国境の街に配置換えに成って居る。
だから、粗カリペド男爵領に成って居る。逃げて来ていた領民も
帰って行った者も居る。やはり住み慣れた所が良いだろう。
魔薬草の生産地だったのだ。領主が変わって搾取しなければ住み易いと
思う。
カリペド男爵領と同じ様に水分が少なめだったけど、溜池の水を分けている。
麻薬草以外の農産物も採れるようになったのだ。
それと例の肥料も提供して居る。
本来ならば、領地が倍以上に増えているから。
子爵に叙爵して居ても良いのだけど。お父様も俺も断って居る。
お父様の義理の兄であるモーガン伯爵が辺境伯扱いになった様だ。
お父様には、通信機器の事は話さない。
余り知られたくは無い。敵国のスパイ活動をする為の小道具なのだから。
カリペド男爵領の経済は上手く回って居る。
鉄製品の開発も上手く行って居る。今までは鉄の素材を売るだけだった。
今では、鉄を使った製品の開発も行って居る。
例の、ドワーフが鍛冶職人の指導を行って居るのだ。
俺も知識を小出しにして鉄の素材としての活用法を教えている。
まあ、ヘラの知識だけどね。
夏の終わりごろに成ると、帝国の内戦状態も大詰めを迎えるだろう。
ボリス部隊が帝国内で広く浅く調べてくれている。
今日は、駆逐艦アルカイックで帝国の帝都上空で監視活動をする。
制御室にボリスを連れて来て上空から戦場の分析をさせる。
レプニン家に頑張って貰わないとリスタルが皇帝には成れない。
帝都を守る守備隊と各地方から集まった反乱軍と言う軍隊同士のぶつかり合いが始まった。出来れば、帝都での戦闘は避けたいな。
人的被害に家屋の被害が大きいと復興に時間とお金が掛かるのだ。
帝都郊外で食い止めたら被害が少なくて済む。
「ボリスどうだ。強そうな軍隊は何処に居る?」
「帝国で強い軍隊は決まって居ます。南西部のレプニン家と東南のクラーキン家です。両方とも帝都の防衛に付いて居ます。その他の帝都方面に集まって来ている軍勢が敵方に成ります」
「ボリス、有能な武将を見つけたら知らせてくれるか。スカウトして来る。駄目な奴使えない者は始末するからな。下に降りて居る時は音声で教えてくれ」
「アドラ様、了解致しました」
ボリスに教えて貰いながら、俺の感性と鑑定を使いながら優秀な武将を
採取していく。
ハルは上空で俺のボディーガードをさせる。不慮の事故は怖いので。
上空から俯瞰して見ると兵士の動きが良く分かる。
馬の手綱捌きも上手くて戦況の判断の良い武将、でも詰めが甘くて
討たれる者も居る。
最終的に生き残った者が運も味方するのかな。
ボリスに教えられた人物を少しじっくりと観察する。
一騎当千と言う感じだな。
前世で言う所の、甲子園球場で観戦するスカウトの気持ちかな。
記録に残る選手と記憶に残る選手。でも勝ち負けは戦場では死に繋がる。
スポーツなら負けたら泣くだけ。戦場なら泣く事も笑う事も出来無い。
今は異世界で戦争と言う修羅場を観戦して居る。
前世では死んで異世界に来たけれど。
少し早く生まれるか否かでは戦争に行って居たかも知れないな。
何時生まれるかに因っては運も有るのだろうな。
もう少し前世で生きて居たら、第三次世界大戦も有ったかも知れない。
何方の世界でも争いは絶えないのだろうな。
その様な感傷に浸って居たら。
戦場には似つかわしくない様な衣装を着た武将が居る。
少し華奢だな、女じゃ無いのか?
非常に珍しいけど、中には居るだろうな。
貴族でも女だらけの跡継ぎが。フロル王国の王家の様に。
貴族家存続が掛かって居たら女性でも戦場に出なければいけない
事情も有るだろう。
当然、上司を守る部下も付いて居る。
美人なら助けてやろうかな。嫌々連れ帰ったらアンジェラの機嫌が。




