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帝国の内乱状況


 野営地は混乱の極みに陥って居る。

最初からの二万人に、後から加わった数千人もの兵士が逃げ惑って居る。

中心部にはキャンプファイヤー状態の火炎流が立ち上って居る。

数百人が逃げ遅れて荼毘に臥されて居る。


 戦場なら一番先に犠牲に成る人達だな。

戦況の分析も出来ない、火事の場合は体を低くして風の吹いて来る方に

逃げないと逃げ遅れる。


 この様な状況でも逃げて助かる。運も有るだろうけど。

やはり、賢さが生死の分かれ目だな。


 中央部の火も治まり、魔薬草の煙も影響が無くなったな。

駐屯地には夥しい数の兵士が横たわって居る。

選別は鑑定を使えば一番簡単だけど面倒くさい。


 選ぶ基準はやはり着ている衣装だよな。

能力が有る者が上に立てる。貴族を探せば良いのだ。

鎧の良い物を探す、収納してから再度選別すれば良い。


 選んだ高貴な方のお顔も再度確認する。イケメンに限るのだ。

前世でも、やはり顔だよな。CAとか局アナに女優男優さんも。

表に出る時はやはり、美男美女が喜ばれる。


 今回は、体力測定はして居ない。

カリペド男爵領の採用基準にはまあ色々有るな。

人事課は俺一人だし。もう少し人材が集まったら任せられる人も

出て来るだろう。出て来て貰は無いと俺が困る。


 でも、心配事も有る。収納すると言う事は人体が消えると言う事。

大部分の兵士達は睡眠中だけど、個人差も有る。

魔薬草の薬効も試した事は無い、どの位の睡眠時間が継続するのか。

魔薬草の煙を吸った量にも因るだろうし。検証が必要だな。


 手早く貴族らしい人材を回収して廻る。

二万人程居ても上級貴族は数%しか居ないだろう。

前回は体力測定を行い生き残った者を採用した。


 今回は、身分を基準に採用して居る。

能力とか技能に性格は再度確認しないと駄目だろうな。

それと、此の軍隊を統率して居た指揮官が不在になるのだけど。

どうしたものかな?


 前世の軍隊なら上官が戦死すると、次の位の兵士が指揮を執る。

多分この世界でも同じだろう。

帝都を攻めようと進軍して居た軍隊。頭が潰されたらどう動くのだろう?

それも、確かめたいな。


 上空から監視を続ける。


数時間過ぎた頃には、眠って居た兵士も目を覚まし始めた。

魔薬草の煙を吸わなかった周辺に居た兵士達も異変に気付いて居る。


 前世の指揮系統なら軍曹クラスになるのかな。

十人程度の兵士の集まりから情報収集を始めている。

一時間程経った頃には、方針が決まった様だ。


 不幸にも亡くなった兵士も居る。

穴を掘って埋葬を始めた。それから、昼食を食べてから。

回れ右である。そうだろうな。二万人もの軍隊を指揮できる人材が

居なくなったのだ。何故戦争を始めたのかも分からない者ばかりでは

戦争の意味も理解できないだろう。


 目的も無く人殺しは誰もしたくは無い。自分の命を掛けて迄は。

前世で俺が生きて居た時代でも、殺人事件は起きていた。

精神疾患を患って居た様な人達だな。

それから、利害関係の有る恨みとかで。


 もっと古い時代には色々な理由で殺し合って居た様だ。

生きる為の食料調達。自然界に食料が少なく成れば縄張り争いが起きる。

他部族との戦争だな。農業が普通に行われる様に成ってからは。

自然災害との戦いも人との戦いに成りえる。水を求めての争い。


 近代に成ってからは、エネルギーを求めての大戦も有ったな。

隣の人より隣の国より豊に成りたい。人類の過去からの宿題だな。

前世も異世界も人は変わらないと言う事だ。

俺も含めて聖人君子には成れない。


『しかし、ヘラよ。この様なチマチマした人材集めはどうなのかな?』


『そうですね、平和を求めるだけなら時間は掛かりますが。帝国を誰かが

平定した時に上層部を纏めて洗脳するだけで平和に成ります。カリペド男爵領の人材確保だけなら少人数だけで良いのでこの方法が一番ですね』


『そうだよな。カリペド男爵領を大国にするつもりは無いのだから、優秀な

人材はそれ程必要とはしないな。優秀な将軍を手に入れても高々数百人の

軍隊を指揮させるのは可哀想だよな。宝の持ち腐れになるよ』


『それでは、帝国の戦国時代を生き抜いた人材集めをしましょうか。常時

戦場を監視して居て面白そうな人材を探しましょう』


『ところで、監視活動なら偵察機材が大量に要るのじゃ無いのか?

前世のドローンが有れば良いのにな。ヤンバルガ―の復旧はどうなの?』


『やはり、五千万年と言う時間は地味にダメージを与えた様です。何か

特別なマジックが現れないと急速な復元は無理な様です』


『そうか、設備も壊れて居るし。知的財産の様な物も無くなって

居るのだろうな。情報を蓄えて居そうな物、CD DVD USB色々有ったな。

ハルゼー三世の頃にも色々な方法で情報を保存して居たのだろう?』


『ヤンバルガ―基地に有りました魔力球と同形状の物が情報保存球の様です。

ヤンバルガ―基地内には残って居ましたが、情報は経年劣化して居ました。

情報は取り出せませんでした。何処かに残って居ても同じかと』


『だろうな、ないものねだりをしても駄目だな。今使える物で頑張ってくれ』


『ご主人様、了解いたしました』


 前世でも、最近はコンピューターとインターネットで世界中の情報が

クリック一つで手に入る。

しかし、情報の質が大事に成る。百聞は一見に如かずだよな。


 唐突に記憶が甦る。トレーラー運転手をして居た事が有ったな。

同僚の運転手が、十一tトラックで左折巻き込み事故を起こして自転車の

おばさんを殺めた事が有った。


 次の日に朝刊で、報道されて居た。トレーラーで事故を起こしたと。

その会社でトレーラー運転手は四名しか居ない。

俺もその一人だった。仕事で積み荷を積む為にとある会社に行くと。


「お前が起こしたのか?」


 そりゃあ興味が有るだろうな、聞くよな。

俺も聞いた話だけど、死亡事故を起こした運転手は一晩留置されるそうだ。

人を一人殺したのだ、心の弱い人間なら自殺をするらしい。

それで、一晩泊められる様だ。


 身近に経験しないと、普通の人は知らないだろうな。


 新聞記者は殆どの方が高学歴だろう。

トラックとトレーラーの違いを知らない方が普通だ。

多分、記事を書いた上司が編集とかをして確認はするだろうけど。

その方も、知らないだろうな。だから、間違った記事が出る。


 一度記事にされると、新聞社は大手だから信用度が有る。

間違った記事だけど。本物の記事と認識される。


 写真や動画で記事が流されて居たら違いは一目瞭然だけど。

文字だけでは分からない。


 情報収集の落とし穴。間違った情報を鵜呑みにする。

やはり、重要な情報程自分の目で確かめる事が大事だ。

特に戦場では生死の分かれ目に繋がる。


 ヘラの偵察情報を眺めて居ると。帝国の各地で大小様々な小競り合いは

起こって居る。

運不運も有るけど、やはり数の力は偉大だな。


 時には武勇に優れた武将も居るけど。

ミツバチの巣を襲うスズメバチの様に、多くのミツバチに(たか)られて

体力を使い果たして命を落とす武将も居る。

やはり、其処までの男だと言う事だな。


 今の所は地方予選の様な戦いだ。帝都付近まで押し寄せた何処かの軍が準決勝とか決勝戦に

駒を進められる。

所謂、決勝戦に望む様に成った頃に介入した方が良いな。


 暫くはどうなるのか、様子見に徹して対応する事に。

帝都のガビアン家に帰り今後の予定を決める事にする。


 帝都は今の所、三大公爵が表向きには仲良く統治をして居る。

地方貴族が攻め上がって来た時には、色々と本性を現すだろう。

三大公爵達は内戦のシード権を持って居ると言う事だな。


シュルツにはレプニン家からの要望等が有れば、当初の打ち合わせ通りに、

書類にしたためてポストに投函する様に言う。


 それから、情報収集の為に去年捕まえて居た体力自慢の帝国兵を

斥候部隊として教育する事にした。

隊長は今回捕まえた、ボリス・ユスポフを任命する事にした。

ヘルが念入りに矯正して居る。裏切る事は無い。


 部隊の人員は五十名程だ、足りなければボリスに何処かで採用する様に

言い付けて居る。


 去年捕らえた帝国兵は百名、最初に数名は伝令として帝国に帰して居る。

残りの内、三十名程はカリペド男爵領の水が合ったのだろう。

地元の女性とか移住してきた女性と一緒に成った。戦争の性で若い年頃の男性は少ないのだ。


 末永く幸せになってカリペド男爵領の発展に貢献して欲しい。


 俺のスローライフの為にはやはり、優秀な人材は不可欠になる。

カリペド男爵領の町の改修工事は粗終わったな。

此れから人口が増えても少しは余裕が有るけど、大都市にしたいとは思わない。


 小規模の町を点在させる様な地域づくりが良いと思う。

その為にも、水不足の解決はしたいな。

山脈を削っては居るけど今の所は気象条件が変わった様には思えない。

多少は雨が多く成ったかなと思う程だ。

でも、削り過ぎて大雨ばかりに成ると大変だし。


 エルフの御婆様の所が日照りに成ると怒られる。

数年は様子を見ながら削る他は無いな。

それと、農業は順調に進んで居る様だ。


 隣のスメルナ領も実質的にはカリペド男爵領に成って居る。

其処の特産品も麻薬草だけではいけない。多角経営は必要だな。


 町の改修工事で石工達の仕事も増えて居たけど。仕事が終われば。

以前の様に修復工事しかなくなる。そうなると石工の仕事は減る。

就業していた人達は困るな。


 其処で新たな仕事の廻旋をしなければいけない。技の伝承だな。

失業対策としての、道路舗装を新たにさせる事にした。石畳だ。

馬車の車輪が滑らない様に、ノンスリップ仕様にさせる。

石の表面の僅かな凹凸が微妙な技となる。

何れは全国に広まり、カリペド石工と呼ばれる様に成るだろう。


 カリペド男爵領も多角経営をしなければ何れは先細りになる。

鉄鉱石の採掘と鉄の精錬が主な仕事だった。

農業は雨が少ない土地柄だったので土地は有るけど作物は育ち難い。

其処で溜池を作って水不足の解決を図った。

農業については目途が立った。


 鉄に関しては、鉄鉱石を採掘しての精錬だけだった。

とある事情でドワーフを手に入れた。技術の流入である。

鉄鋼製品を自前で作れるようになったのだ。

鉄のインゴットに付加価値が付く。高く売れると言う事。


 でも、鉄製品には色々な事情が有る。

新興の生産地には最初から誰も目を向けない。長い歴史が無いのだ。

商品は誰かが使っての評判と言う物が有る。

カリペド男爵領では、鉄の生産地と言う評判は昔から有った。


 しかしながら、製品は作っては居なかった。

鍛冶職人が居なかったからだ。今から作り始めてもデザインとか性能は

誰かの目に留まらないと買ってはくれないだろう。


 商品のカタログ作りとか宣伝は必要だろう。

それ以上に、他所で造られる物より良い製品にしなければだれも買ってはくれない。

興味を魅かれる製品作りが大事だな。

ドワーフ達は種族性も有っての天才的な鍛冶職人だと思う。

だけど、多分個人差が大きいのではないだろうか。


 技術はドワーフから習って、独自性とか感性と言う物は人族の中から

探した方が珍しい物が出来るかも知れない。

一つの賭けだと思うけど、カリペド男爵領の新しい産業として興して見たい。


「第九回、家族会議を開きます」


「アドラ、今回の議題は何だ?」


 お父様に、此れからのカリペド男爵領の新しい産業計画を話す。



  ・・・



『ご主人様!リスタルが暗殺未遂に会いました!』



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