表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/60

リスタル故郷に帰還


 世の中は目まぐるしく変化している。

平和だった国が突然戦乱の世に成り、中の悪かった国同士が和議を求める。

次代の王が産まれる国も有る。


 何が起こるか分からない世界。

自分が生きやすい世界を創りたい。


 ガビアン家の家宰ドミトリーに頼み、レプニン公爵家お抱えの商人イリナルを紹介して貰う。

大商人だから、予定も詰まって居るだろうから数日は待たされるだろうな。


 と思って居たら、次の日にはイリナル自身が訪ねて来た。

中々腰の軽い大商人なのだな。感心したよ。


 まだ、内装工事中だけど一応応接室は作って有る。

ドミトリーが案内をして連れて来た。


「初めまして、フロル王国から来ましたアドラと言います。

よろしくお願いいたします」


「此方こそ宜しくお願い致します。帝国で商売をさせて頂いて居る。

イリナル言います。此の度は私どもに用事が有るとの事ですが何用で御座いましょうか?」


「単刀直入に言います。フロル王国としては帝国が乱れて居たら困ります。

其処で、有力な貴族様に治めて頂きたいのです。貴方が押すのはレプニン公爵様

ですよね。金銭と武器に食料を援助出来ますが如何でしょうか?」


「それは願っても無い事ですが、初対面では信用と言う物が不足して居ますね。

何か裏が有るように思われますね」


「信用度ですか?そうでしょうね。他国の人間が来て色々な援助を申し出る。

色々勘ぐるでしょう。当たり前の事ですね、私が貴方の立場なら同じ事を

言うでしょう。でも、もう一つ有るのです。レプニン公爵様の甥が生きて居る

と言ったらどうでしょうね」


「ほう、それは公爵様の妹君のお子様ですね。リスタル・ガルバー様ですか。

本当に生きて居られたら大事に成りますね。皇帝の直系の子孫ですから」


「取り敢えず、リスタル様を描いた絵が有ります。それと軍資金を持って

お帰り下さい。レプニン公爵様とお話をなさってから此れからの取引は

決めて貰っても宜しいので」


 予め用意して有った、帝国金貨一万枚をイリナルの馬車に積み込む。

金貨は重い、馬車がギシリと軋む。

それ程の遠距離でも無いので大丈夫だろう。伯爵邸からは数キロ程だ。

それに、戦乱の世だ。屈強な警護も付いて居る。


 念の為に、ハルに上空から見張らせている。

それにイリナルは、大事な顧客でも有る。事が終わるまでは死なれても困る。


「ご主人様ぁ~、護衛対象のお方はぁ~お急ぎの様ですねぇ~。何処にぃ~

出掛けますよぉ~」


「ハル、分かった。しっかりと護衛をしろよ」


「分かりましたぁ~」


「ヘラ、追跡を頼むよ」


「了解致しました。画像と音声は録画致します」


 イリナルは、皇宮に向かった様だ。そりゃあ急ぐだろう金貨一万枚だ。

レプニン公爵のお抱え商人は衛兵達にも顔は知られて居る。

顔パスで皇宮に入って行った。急用扱いで取り次いで貰ったのだろう。


 案内役の衛兵に従ってレプニン公爵の執務室に入って行った。


「イリナルよ! 急用とは、どうした事だ!」


「公爵様、一大事で御座います。まずは此れをご覧に成って下さいませ」


 イリナルが突然に一枚の額縁を出した。収納魔法持ちだったのだな。

無ければ大商人にはなれなかったのだろうな、マロニーも同じだな。


「此れは! 生きて居るのか?」


「はい、とある男から預かりました。それと此れも」


 床の上に金貨が入った箱が五箱現れる。

蓋を開けると山吹色の金貨が姿を現す。


「ほう、帝国金貨一万枚か。お前は、鑑定持ちだったな。偽物では無いな」


「はい、それが偽物と言うより。本物以上の品で御座います」


「何だと! 金の含有量が多いと言うのか?」


「帝国金貨も他の国の金貨も純金では作りません。金だけでは柔らか過ぎて

流通段階で傷が付き易くて摩耗もします。金の節約にもなりますから他の

金属を混ぜて作ります。入れる分量は各国で色々ですが。我が国の金貨は

金の分量が六十%程です。フロル王国が少し多いです」


「それで、その男は何処に居るのだ?」


「ガビアン伯爵家に滞在して居ます」


「ガビアン伯爵家の屋敷だと!それは怪しいな。あそこは、いの一番に

攻められて焼け落ちて居たはずだったな」


「そうで御座いますが、全てでは御座いませんが。修復されて居ました」


「あれは、俺の配下の貴族だったからな。守ってやれなかった、惜しい事をしたな」


「六番目のシュルツが生き残って居ます。リスタル様と共に出征しましたので

リスタル様の生存も信憑性が有ります」


「それで、その男の名は何と言うのだ?」


「フロル王国から来た、アドラと言いました。まだ若い男です」


「アドラだと?言うのか。子供の頃に良く聞かされたドラゴンに似た名前だな。

確か、悪さをするとアドミラルが来るぞぉ~!と脅かされたな。ハハハ」


「公爵様も、ですか。私も聞かされました。一度だけ巨大なドラゴンは見ましたけど。南の国では十年に一度の頻度で家畜が攫われる様です。その度に

災いが起こるとも言われて居ますね」


「そうだな、フロル王国とアルザックス王国は十年毎に戦争をして居る。

去年もその年だったのだが、何故かアルザックス王国兵が全滅したそうだ。

我が帝国も漁夫の利を得ようとしてやられたのだが。それが元で戦乱の世に成った」


「それを考えますと、フロル王国を守る様な化け物が居るのでは無いでしょうか?フロル王国に知り合いの商人が居ますが。フロル王国では無理な事はするなよと釘を刺されて居ます」


「お前達商人は、フロル王国内での商売はして居ないだろう。国境の町での

商売だろう」


「其れが、ですね。最近フロル王国で純度の高い鉄製品が出回って居ます。

量が多くは無いので手に入れば高値で売れます。それを手に入れようと

フロル王国に入国する者が後を絶たない状態です」


「今までの経緯を考えたら、そう簡単には入国出来ないだろう?」


「それが、最近と言うか。帝国軍が攻め込んだ時に国境の町を治めて居た

辺境伯を亡ぼして居ます。その後に配置換えに成った伯爵が金に汚い伯爵で。

国境の門で賄賂を渡せばすんなりと入れてくれるそうです」


「やはり、どの国にも居るものだな。まあ、寒い僻地に左遷されたのだろうから

無理も無いか。それなら、その鉄とやらも見て見たいな」


「それでは、早めに段取りを付けましょうか?」


「そうだな、明日でも儂が出向こうか」


「公爵様、御自ら会いに行かれるのですか?」


「怪しいと言っても、行かないと失礼に成るだろうな。金と物資の都合を

付けてくれるのだ。それに、リスタルの顔も見たい」


「了解いたしました。今日中に相手に伝えて置きます」


 イリナルは足早に部屋を出て帰って行く。

ハルを残して様子を探りたかったが。護衛の任務が有る。

まあ、明日会えるのだ。対面すれば性格も分かるだろう。


 イリナルは皇宮を出てから、直接ガビアン伯爵邸に向かって居る。

出来る男はやはり違うな。人任せにはせずに自分で伝えに来る様だ。


 家宰のドミトリーが、商人のイリナルが来訪して来たと知らせに来た。

会うので、応接室迄通す様に言う。


「アドラ様、レプニン公爵様がお会いに成るそうです。此方に来訪されますが

宜しいですよね?」


「はい、良いですよ。昼食を用意して置きますので。午前中はどうでしょう?」


「その様に伝えて置きます。それから、リスタル様の絵姿を書かれた絵師の方は

何方でしょうか?私もあの様な絵画は初めてで御座います。宜しかったら

ご紹介戴きたいのですが」


 俺が書いたとは口が裂けても言えないよな。まあ、ヘラが書くのだけど。


「それは、秘密で御座います。帝国が平和に成った暁には教えましょう」


「そうですね、落ち着いてからお願い致します」


「それでは、失礼いたします」


 イリナルは、足早に帰って行った。公爵に返答を届けなければいけない。

ハルには、護衛任務を延長させる。

最終兵器は、睡眠を取らない。寝て居たら最終戦争に負ける。

多分電脳が交代で休んで居るのだろうけど。休憩は必要無いのだ。


 生身の人間では絶対に出来ない芸当だな。睡眠不足は致命的な間違いを犯す。

重要な作業中に居眠り等をしたら、絶望的な結果が待って居る。


 それより、公爵様の昼食の用意をしなければ。

幸いな事に、ガビアン伯爵家には優秀な料理人が残って居た。

カリペド男爵家の料理人 兄ボルボ 弟ガルボが造った料理を

食べさせたら、同じ様な物を即興で作ってくれた。


 流石は伯爵家の料理人だ、腕は確かだ。

食材は豊富に収納して居る。出しっぱなしだと腐るので必要な分だけ

調理室に出して置く。

ガビアン伯爵家の家宰も超優秀だと思う。出来ないと家宰の地位には成れない。


 昼食で肉は重いかも知れないが。

魔物牛のブルガ肉は多分、帝国で食した人は居ないと思う。


「ドミトリーさん、此の肉で昼食を造ったらどうでしょうね?」


「料理長のモヴィチに任せますのでご心配は要りません。公爵様もまだ

お若いので、昼食に肉料理でも良いでしょう」


「それでは、宜しく頼みます」


 準備は終わらせたので、俺は愛妻が待つ家に帰る。

本来なら、異世界に来て念願の嫁を貰ったのだ。

ずっと家に居てイチャイチャしたいよ。

でも、未来の事を考えたら準備を怠らない性格だな。


 次の日も早めに帝国のガビアン伯爵邸に出勤だ。

公爵様を迎える準備は着々と進んで居る。

優秀な部下が居ると助かるな。


 十時頃には公爵様が到着された。


「初めまして、アドラと言います。若輩者ですがよろしくお願いいたします」


「儂が、アニキータ・デュク・レプニンだ。此方こそ宜しく。ほう、中々の美形だな。嫁は居るのか? 居なければ、儂の娘はどうだ?」


「はい、嫁は居ます。姉の方を私が娶り、妹をリスタルが貰いました」


「そうか、リスタルも結婚したのか。それなら許婚には言わなければならないな」


「皇族なら許婚は居ますよね。どうなりますか?」


「破談には成らないだろうが。相手方にはリスタルの生死が不明だったのだ。

事情は説明しなければならないだろうな。正室か側室の何方に成るかはリスタルが決める事だろうな」


「色々話し合わなければいけない事が有りますので、リスタルを呼びましょう」


 メイドに、リスタルを呼びに行かせる。


「アニキータ叔父様! お久し振りです。私は無事に帰って来ました」


 叔父と甥は、涙を流しながらの感動の対面だ。

暫くは、そっとしておいてやろう。


 ・・・・・・・


 落ち着いた所で、二人で話し合っては居るが。重要な話が有るのだ。


「お取込みの所申し訳ありませんが、先に重要な話が有ります。今帝国は

内乱状態です。この混乱をどの様に治めるか。お聞きしたいのですが」


「これは済まぬことをしたな。現状は、三人の公爵で帝都付近は治めている。

しかし、帝国全域は治めては居ない。範囲が広すぎるのだ。夏の間には

帝都から撃って出て少しでも治める地域を増やしたい」


「今、軍事力的にはどの様な状態なのですか?」


「儂の手勢が帝都に居る分で三万程だ。後二家が二万人ずつ持って居る。

伯爵クラスが一万人程度を抱えて居るだろうが、どの家が何処に付くかは

今の所分かって居ない。日和見だな」


「そうでしょうね、負けそうな所には行きませんからね。勝てば官軍負ければ

賊軍ですからね。今は様子見の所が多いでしょうね」


「それでも、昔からそりが合わない貴族は居るのだ。皇帝の派閥に公爵派。

その他に別れて居たから大体は、予想が付く」


「リスタルを大将にすれば、皇帝派は味方に付くでしょうか?」


「リスタルは、継承順位が低かったからな。難しいかも知れんな」


「アニキータ叔父様!父の仇を討つ機会を与えて下さい!」


「ほう、リスタル立派に成ったな。戦争で一皮剝けたな」


 嫌ゃ~、童貞を捨てたからじゃ無いかな。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ