王子 ズ 誕生
「シュルツ、今から帝国を纏めに行こうか」
「アドラ様!助けて頂きありがとうございます。でも、兵士が居ませんが?」
「兵士は先程手に入れたからな、心配はするな」
「そうですか?それで、私達はどの様にしたら良いのでしょうか?」
「何もしなくても良いからな、この屋敷で留守番を頼む」
「了解致しました」
「今から、ガルバー帝国をどう治めるか話をして置く。皇帝亡き後の現状は。
四大貴族が居た様だが、一つは滅亡して居る、ストロガノフ家だ。
皇帝の正室を輩出して居た名家だったのが仇になった様だ」
「勢力も一番大きかったので他の三家に襲われた様ですね」
「そうだ、一つだけでは小さいけれど三つも纏まれば大きな力に成る。
後は、情報戦だな。皇帝一族は絶えたと思われて居るが一人生き残って居る。
それを切り札に使う。レプニン家だな。家宰だったら知っているだろう」
「はい、行方不明のリスタル・ガルバー様の、生母アリシア様の実家ですね」
「リスタルを連れて来たらどうなると思う?」
「それは!大事でしょうね。神輿に担ぎ上げるでしょう。間違いなく」
「戦乱の世だ、何も知らない者は平和を望んで居るはずだ。今までは
平和だったのだ、平和な目標が欲しいと思うだろう。それを世に広める」
「今残って居る大貴族でも、レプニン家は大きい方ですからね。他の
二家もリスタル様が生きて居るのなら逆らえないでしょう」
「逆の事も考えられるぞ、リスタルが居なければ何も変わらないのだからな。
消したい陣営も出て来るぞ」
「切り札は、隠しては置けませんね。使って初めて効力を発揮します」
「そうだ、大きな博打だな。切り札を切った時に相手がどう動くか。
見極める事にも使える。勝負に出る、様子を見る。臨機応変にだな」
「それで、何時から始めるのですか?」
「帝国を治める為には、帝都を押えた方が勝ちだ。今は、三家で帝都を
共同で押えて居る。表向きは共同だが何かで綻びが出るかも知れない。
何方に転ぶか、リスタルを連れて来たら直ぐに分かるだろうな。
其処で、敵味方を選別したら良く無いか。フフッ」
「アドラ様、それは悪道なやり方ですなあ」
「戦いに勝つには、戦う前に勝敗が決まった方に行くのさ。負け戦はしないぞ」
「アニキータ・デュク・レプニン様も頭が切れますからね。お気を付けください」
「妹の息子でも、自分が皇帝に成れるなら消す様な男かも知れないな」
「誰しも、欲は有ります。小さいか大きいかの違いは有りますが」
「肝に銘じて置くよ。それでは行って来る」
ガビアン伯爵邸には、俺用の部屋も作って居る。
部屋に入ってから、地下の転移部屋に転移する。
地下には、転移室以外にも軍事作戦を遂行する為の設備が整って居る。
小規模の軍事基地と化して居る。
作戦指令室と命名して居る部屋で作戦を練る。
「ヘラ、現状はどうなって居る?」
「皇帝の住まいだった、帝城に三家が揃って居ます。
ベンケンドルフ家
当主 ネストロ・デュク・ベンケンドルフ 68歳
クラーキン家
当主 ニコライ・デュク・クラーキン 28歳
レプニン家
当主 アニキータ・デュク・レプニン 40歳
ベンケンドルフ家が一番の高齢です。家督相続で揉めそうですね。
クラーキン家は、前当主から家督を引き継いだばかりの若輩者です。
レプニン家が年齢的にも一番脂の乗り切ったやり手でしょうね」
「手持ちの戦力分析はどうなって居る?」
「各家で数万の兵士を確保して居ますが、皇帝派だった貴族の取り込みを
各自で行って居ますので、戦力は流動的ですね」
「それなら、末端の兵士は除外して優秀な将校の引き抜きをしたら良いな。
情報を集めても良いけど、内乱を誘発して戦う様を実際に見た方が良いな」
「そうですね、帝国にはまだまだ、有力な貴族が冬場に力を蓄えて帝都に
進出の機会を窺がって居るでしょうから、それらと戦わせましょう。
戦術戦略に優れた将校や、武勇に優れた将兵は見つかるでしょう」
「帝国も国土が広いからな、攻めて来るのは夏頃だろうな。それまでに
内政を把握して置かないと戦乱が終わった後の収集が付かなくなりそうだな」
「武器や食料の確保も必要ですね」
「武器は俺も作って居るけど、カリペド男爵領でガスラーにも作らせて居る。
食料は、今年も豊作だっただろう。帝国で商人を探して売り付けようと
思って居るけどね。帝国にも越後屋は居るかな?」
「ご主人様、前世も異世界にも絶対に居ますよ。野盗に山賊
居ましたよね。石川五右衛門様の辞世の句ですよ。無くなりません」
「四大貴族に付いて居た大商人達の動向は?」
「四人の内一人は、親亀が転けましたから子亀も一緒に逝きました。
残りの三人は、それぞれの派閥で商売をして居ます。
ベンケンドルフ家は、ニコライ 32歳が御用商人です。
クラーキン家は、ロイヒテン 28歳ですね。同級生だった様です。
レプニン家は、イリナル 52歳が付いて居ます」
「レプニン家の、イリナルを標的にしたら良いのだな」
「初対面では相手も警戒するでしょうから、此処の家宰を間に入れましょう」
「良しそれじゃあ、明日から始めようか」
今日は、店仕舞いをして家に帰る。
転移は便利だよな、出張とかしなくても毎日奥様の所に帰れるのだ。
帝国からカリペド男爵領の家まで一瞬にして帰れるのだから。
多分距離的には千㎞は有るだろう。
カリペド男爵領の家は、養子の身分で離れに住んで居たけど。
やっと新しい新居が完成して居る。
石工達には任せないで自分で作った。俺には秘密にしたい所も有る。
地下には、駆逐艦アルカイックの搭載艇を格納して居る。
逃げる時には便利だろう。収納して転移すれば良い。
搭載艇内に転移する様にして居る。其処から、自宅内に転移する。
「アンジェラただいま帰ったよ」
「あら、貴方お帰りなさい。今日も帝国に行って居たのよね」
「そうだけど、変わりは無かった?」
「今日、伯爵様の所からお父様に知らせが有った様だから、何か有った見たい」
「夕食の時に教えてくれるだろう」
二人で、母屋に向かう。食事の時は皆で揃って食べる。
食堂に入ると、全員が揃って居た。
「皆揃ったな。今日は目出度い知らせが有ったぞ。皇太子様に王子が
生まれたそうだ。数週間前には誕生して居たのだろう。遠いからな」
そうか、アレが効いたのだな。男児誕生か、でもこの世界では大きくなる迄が
大変だろうな。子供の死亡率も高いだろう。
「アンジェラとエイミーは、何時頃になるのだ?」
「 「お父様!その様な事は聞いてはいけません!!」 」
「貴方!エルフは社会情勢や子供が誕生しても育てやすい環境も選ぶのよ。
それにね、今はお腹の中で数億にも及ぶ種の中から優良な物を選んで居る
最中なのよ、じっくりと見守って挙げなさいね!」
それはまた、貴重な話を聞いたぞ。
優秀な子供を産む為の想像を絶する様な事が出来るのだな。
でも、長い期間を掛けて居たらお父様の寿命が尽きないのか?
「お母様、長い時間を掛けると私もお父様も寿命が尽きる様に思いますけど。
健康で生まれて来たら良いと思いますから。早めが良いと思いますけど・・・」
「アドラ、貴方の魔力量なら多分エルフより長生きしそうよ。でも夫は普通の
人間だから、早ければ六十年位かしら。でも大丈夫よ死ぬまでには孫を見せて
挙げるから安心しなさい、あ な た」
お父様の顔色がネオンサインの様に変わって居る。可哀想だけど仕方ない。
でも、リスタルの子は早めが良いな。帝国の未来だから。
「お母様、色々出来る様ですけど。男女の産み分けも出来るのでしょうか?」
「出来るわよ、カリペド男爵領で男の子を産んでもね。アドラなら分かるでしょう。とんでもなく優秀じゃ無いと立身出世は厳しいわね。それより女の子なら
優秀な男を摑まえるだけで済むのよ。どちらが良いと思う。フフッ」
やはりそうだったのだな。エルフ侮る(あなどる)莫れ(なかれ)。教訓だな。
でも、今子供を造っても戦乱の世では無いな。カリペド男爵領は。
帝国は荒れて居るけど、今から治める。
アルザックス王国は、和議の方向に進んで居る。
問題は無い様に思うけど、エルフのシックスセンスが邪魔をするのか?
・・・・・・・
アドラが子供の事で悩んで居る頃。
「エンテムよ、どうしたら良いと思う?」
「どうにもこうにも、正室に男児は有難い事ですな。しかしながら側室に
双子の男児はどうしますぅー」
「借りが増え過ぎたら、返す物が無いでは無いかぁ~!」




