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平和への準備




 フロル王国宰相エンテムの側近視点。



先程、アルザックス王国からの封書が届きました。

俺達の仕事は、書類の整理が仕事だ。

特に、王や宰相様宛の書類は優先順位が高い。


 アルザックス王国とは戦争中の国である。

過去に、封書等を送って来た事は無い。

大抵は、兵士を使者として前戦に持って来ていた。

どうした事だろう?何か裏が有るのだろうか?


  陰謀に策略。封書に毒物が入って居るかも知れない。

一度宰相様の指示を仰いだ方が良さそうだ。


「宰相様、アルザックス王国よりの封書が来ておりますが?」


「何が目的だろうな?何が入って居るかも分からぬな。魔法省の

鑑定師を呼べ」


色々疑心暗鬼を生ずる、其処で優秀な鑑定魔法の持ち主を呼ぶ。

魔法省の鑑定持ちに調べさせます。

今までに無かった事なのですから。



  ・・・



「アラスター良く来てくれた。早速だが此の封書を調べてくれ」


 アラスター・バロン・ギボンズ、魔法省調査部部長。

鑑定魔法で男爵に叙爵された人物。父親がギボンズ伯爵なのも或る。

今まで間違った事は無い、フロル王国有数の鑑定魔法持ち。


「エンテム侯爵様、何も問題は御座いません。アルザックス王国からですね。

念の為に、おい、アーシャお前も鑑定しろ」


 調査部の部下女性にも鑑定を命じている。

鑑定を命じられた女性も。問題無いと報告をする。

開封するのは、俺の役目だ。


 何時も使って居る、ペーパーナイフで開封する。

中身を見ずに、宰相様に渡す。


 宰相様が中身を取り出して読み始める。

表情から、ただならぬ文書であろう事がうかがわれる。


「王の所に行って来る。アルガ付いて来い」


 アルガとは俺の事だ。

アルガ・ビコント・トテレス。トテレス侯爵家嫡男。

次期宰相候補の一人である。


 王の執務室迄付いて歩く。

途中要らぬ事は聞かない。貴族の嗜みだ。

王の執務室前には、二名の近衛騎士が立って居る。


 宰相の姿を確認した近衛騎士は、王の執務室のドアを開けてくれる。

宰相に続いて執務室に入る。

レンザス王は、執務机を前にして執務して居る。


「レンザス王よ、アルザックス王国から書簡が来たぞ。読んで見てくれ」


 宰相からレンザス王に封書が渡される。

レンザス王が、読み始める。


「エンテムよ、どう思う?」


「そうですな、やはりアイツの性でしょうな。我が国では和議に応じずとも

問題は無いでしょうな。アルザックス王国が攻めて来てもアイツが居れば

大丈夫ですからな」


「そうだな、アルザックス王国もアイツの影に怯えて和議を思い付いたのだろう。我が国の犠牲は独りも無く、二万人も一瞬にして消されたのだ。対抗策も

思い付かないだろう」


「和議に応じるには急がなくても良いでしょう。賢人会に図ってから結論を

出しても遅くは無いでしょうな」


「エンテム、アルザックス王国との付き合い方は色々考えないと行けないな。

アイツが居る間は大丈夫だろうが、居なくなったらどうなる?帝国との

関係も考慮しないと行けない。総合的な判断が必要だな」


「賢人会と将軍達との合同会議を開催して話し合わせます」


「今は俺達が先手を取って居る。慌てる事は無いからな。モーガン伯爵にも

話を通して置けよ、アイツの所に繋がるだろうからな」


 それから、宰相の執務室に帰り指示を受ける。

でも、アイツとは誰の事なのだろう?


「宰相様、賢人会と将軍達の合同会議の準備は承りました。しかしながら。

アイツとは誰の事ですか?」


「そうだったな、この話は極秘に当たる。アルガ、お前だけに話してやるが

絶対に他に漏らすなよ、家族にもな」


 聞いた話は以前から噂話位には聞いて居た話だった。

誰も信用をして居ない話だ。アルザックス王国軍二万人が一瞬にして全滅

した話。帝国兵十万が逃げ帰った話だ。


 それが、たった一人の男が起こした事を聞いた。

その男が我が国、フロル王国に住んで居る事を。

正体も住んで居る場所も秘匿にして置く事を命じられた。


 起こした事の大きさを考えれば、ドラゴン一体、嫌 ドラゴン十体分

以上の働きに成るな。

ドラゴンとは意思疎通が出来ないだろう。

でも、その男となら話が出来る。人間だから。


 フロル王国では、化け物の様な人間が住んで居て。

王国の味方をして居てくれる。

我が国に防衛の為の軍隊が要るのか?でも、居なくなったら。


 その男の年齢も聞いて居無いが、王の娘か孫でも与えれば。

此の国からは、去る事は無いだろうな。

色々な思考が頭の中を駆け巡る。


 そうか、それで賢人会と将軍達の合同会議を開いて話し合うのか。

俺も自分に与えられている、宰相の執務室の片隅の机で書類を作る。


 賢人会は、四名の賢人と呼ばれる方達を総評して呼ばれる。

此の国の政務を司る宰相様エンテム・マルキ・オタル。

オタル侯爵54歳


魔法省のバージル・マルキ・アバネシー。アバネシー侯爵63歳


治安維持と国防を預かる国防省ブライアン・コント・エイマーズ。

エイマーズ伯爵32歳 父親が先年に亡くなり家督を継いだ。


商工業の管理をする、商務省カール・ビコント・オルコット。

オルコット子爵45歳 貴族位は低いが仕事の出来る男。



 それと、国防省の下に成るが。軍隊の指揮を受け持つ将軍達。

フロル王国の国軍は三軍で編成されて居る。

北部と東部に南部だ。


 フロル王国の北部軍は、去年の帝国侵略で全滅して居る。

北部軍を率いて居た将軍もその時に戦死。


 新たな将軍はまだ、選定されて居ない。

多分、本来なら軍隊の序列から選ばれる、しかし北部軍は全滅。

人材が全く居なくなったのだ。


 残った二軍から再編したら良いのだろうが。

例のアイツが居るのをフロル王国は宛てにして居るのだろう。

今回の会合でその話も出るだろう。


 東部軍の将軍は、サイラス・コント・バグウェル。バグウェル伯爵48歳


 南部軍の将軍は、ダン・コント・ベイカー。ベイカー伯爵53歳


 賢人会の定例会は月初めに開いて居る。

今は三月の中頃、次回までには時間が有る。

アルザックス王国からの書簡問題は延ばす訳にも行かない。


 緊急の賢人会議と軍議と言う名目で招集する事にした。

宰相様の指示より数日の後に開催にこぎ付けた。


「皆さま、忙しい中お集まり戴き有難う御座います。本日お集まり

戴いたのは、隣国アルザックス王国から和議の申し入れが有りました。

詳しくは、宰相様お願い致します」


「数日前にアルザックス王国から封書で届けられた。使者を送って

来なかったのは、様子伺いだと思う。和議と言っても今までの経緯いを

考えたら難しいだろうからな。およそ千年前からの諍いだ。はいそうですか

とは、行かない。其処で皆に集まって貰った訳だ。忌憚のない意見を

聞きたい」


「私からの捕捉です。今回の和議、或る男が引き起こした騒動が元に

なって居ると思われます。宰相様、その男の名前は如何致しますか?」


「そうだな、年齢住所不詳で呼び名は、ア様で統一しよう」


「宰相様、了解いたしました。そのア様が去年起こした事件を皆さまは

ご存じだと思います。再度確認の為に申し上げます。マニストでの

魔物殲滅にアルザックス王国軍二万人を全滅。帝国兵十万を追い返す。

どれも、ア様お一人で行った様です。我が国を助けてくれた物と思われます。

それを、踏まえてこれから先の我がフロル王国の軍備をどうするか。

意見をお願い致します」


「アルガ、それだけでは分かりにくいだろう。魔法省のバージル殿

一人の魔法使いが、一瞬で二万人の兵を殲滅出来る物だろうか?」


「宰相様、結論を言えば儂でも出来ないじゃろう。色々な準備をして

其処に敵軍をおびき寄せる。可燃物と爆発物を仕掛けて準備をすれば、

二万人は殺せるかもしれん。だが、あのような大穴は無理じゃ」


「儂も同感だな。あの頃に大量の可燃物と爆発物の原料を買い占めた

者は居なかった。商品の動きで値が上がるから直ぐに分かる」


「バージル殿とカール殿、助言有難う。ア様は、どの様な魔法を使ったかは

今の所分かって居ない。でも、現実に大穴が残って居る。実際に起こしたのだ。

それでは、会議を続けよう」


「ア様が居る限りは、アルザックス王国との和議は必要無いのでは無いか?」


「儂も、ダン殿の意見に賛成だな。今までも軍事訓練の様な戦闘だったのだ。

ア様が、内情を知らずに起こしたのだ。今まで通りで良いのでは無いか?」


「将軍二人の意見が同じなら、和議は必要とは思わないが。アルザックス王国

全ての国民貴族たちが、我が国に恨みを持って居ないと言えようかのう?」


「儂も、バージル殿の意見には賛成じゃな。今回も二万人が亡くなって居る。

その家族の事を思えば、正式に戦いはしないと言う確約は欲しいと思うぞ」


「お互いの国には、色々な柵が残って居るだろう。やはり書面にて確約

するのが一番だろうな」


「俺も、軍人の一人として国は守らなければならない。その為には犠牲も

必要だろう。でも、平和に解決出来る方を選びたい」


「それでは、皆様方は、和議は必要だと言う事で良いのですね」


「 「 「 異議なし」 」 」


「では、次の議題です。フロル王国北部軍をどうするか。去年帝国軍に

全滅させられて居ます。今現在は、帝国の様子は分かって居りません。

メイスン伯爵が辺境伯として北の守りを固めて居ますが。帝国が攻めて

来たら心許無いですね。此れも、忌憚のない意見をお願い致します」


「此れも、ア様が居る居ないで大きく変わる問題じゃな。ア様に全て

負んぶに抱っこじゃあ。居なくなった時にどうするのじゃ?」


「バージル殿のおっしゃる通りだな。何もせずにぬくぬくと暮らしてして居たら足元を掬われるぞ」


「北部に東部、南部軍を合わせて六万の軍隊が居た。今は東部と南部だけだ。

常備軍四万だけ。北部軍二万を直ちに復活させる事は無理だな。東部と南部

から、五千を引き抜いて一万の軍隊を編成するのが良いのでは無いか?」


「それは、以前から国防省ブライアン殿が計画をして居たな。しかしながら、

ア様の関係と、帝国の国内事情で保留にして居たのだ」


「それなら、宰相様の決断だけで実行されても良いのでしょう?」


「ああ、今日の会議で決まったら王の決済を仰げば決まる事だ」


「後は、予算関係じゃな。戦死した者達への補償と、北部の被害に

対する補助も必要じゃろう」


「バージル殿の心配は良く分かるぞ。だが、もう済ませている。

或るお方が、帝国から賠償金を貰って来ているからな」


「あの帝国が良く出したものじゃな?」


「そこは色々と有ったのだがな。ワハハ」


「軍事力に経済力を持つか。中々の人物だな」


「女にもモテそうだな、中々の物を持って居るそうだ」


「何じゃそれは?」



  >>>>>>



 フロル王国で重要な会議が開かれた事は知らない。

アドラは、帝国内での情報収集に勤しんで居た。



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