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慰安旅行




 今朝の朝食は、バイキング形式である。

前の日の朝食後に、ふと気が付いた。


食生活に余裕が出来たカリペド男爵領。

朝昼晩と食事を摂る様に成って居る。男爵、一応貴族である。

見栄も有るだろうな、食事の量も多く成って来た。


 まあ、此れも俺のお財布事情が関係はして居る。

それと、鉄製品の品質向上ですよ。欲しい方が居るのですね。

今までの出荷量を考えて出荷して居ます。


 需要と供給ですね。前世も異世界も変わりません。

欲しい商品が少ないとお金を積む方は居ます。

前世なら、札束で頬を叩きますね。此処では、金貨をぶつけられるのかな?


 そんなこんなで、カリペド男爵領は好景気に沸いて居ます。

食料自給率も僅かながら上がって居ます。

作物に因っては輸出も可能に成って居ます。


 そこで冒頭のバイキング形式ですね。

食事を余らせても、食べ残しでは無いです。手を付けて居ませんから。

使用人が余った物を有効活用出来ます。


 その朝食後にお母様が。


「今日は何だか背中がゾクゾクするわね。嫌な事が起こらなければ良いけど」


 お母様は、僅かながら予知能力が有ります。正夢に成らなければ良いのですが。


『ご主人様ぁ~! 変な人が山から下りて来ているよぉ~!』


『ヘラ、確認してくれ』


『ご主人様、先頭を歩いて居るのはどうも女性の様ですね』


 

ハルの視点での画像が表示される。

そうだな、華奢な姿は女性の様だ。頭には頭巾を被って居るので顔は見えない。

もう年末なので気温は低い。コート姿に頭巾を被って居ても不思議では無い。


 その女性の後方を少し離れてもう一人が付いて来ている様だ。

同じ様な格好だけど身長は随分高い。

ハルが異変と感じる様に二人の雰囲気は普通では無いな。


 此のカリペド男爵領の町に入るには、南に有る正門から入るのが正式である。

西と東にも門が有るけど、農作業とかに行く為の仮門だ。

特に東門は農家の為だけだな。

西門は冒険者達が利用する。朝晩が主流だ。


 鉱山が有った、山向こうから降りて来たのだろう。

カラカス村を抜けて、陸のアルカトラズ前を歩いて居る。

お昼頃には、西門に到着するかな。


 前世なら、不審人物を見つけたら警察が尋問をするな。

此の世界なら、巡回をして居る兵士の仕事かな。

ハルの事を教えるつもりは無いので監視はヘラに任せて、俺は俺の仕事をする。


 不審人物たちは、九分九厘カリペド男爵領に用事が有るのだろう

王都迄行くのかも知れないけど、王都迄なら別の道が有るには有るのだ。

カリペド男爵領を通過するには少し回り道に成る。


『ヘラ、不審者の監視は宜しくね。俺は、馬車でもいじくって居るから』


『ご主人様、多分貴方様に用事が有るのでは無いですか。山脈が平らに成ったとかで』


『だったら、エルフ様達だろうか?それなら嫌だなぁ~。お母様に丸投げで』


 と当初はそう思って居た私がバカでしたね。


 案の定、西の門番の使いが領主館に来ましたよ。

お二人のエルフをお連れして。

俺も、馬車制作室で作業中にも関わらずに緊急呼び出しを。


 領主館に行きました。

応接間にて。


「母さん、犯人は此奴です」


 二人のエルフの前に、お母様に突き出されます。


「ほう、こ奴が姉の方の旦那で下手人か。どうしてくれるかな」


「母さんと言う事はお母様のお母様ですか。アドラと言います宜しくお願い致します」


「ほう、ふてぶてしい奴じゃのう。だから、山を平らに均しても知らんぷりか」


「えッ! 山の頂上付近には誰も住んで居無いから大丈夫だと。お母様に

お聞きしましたよ」


「誰がじゃあ! アドラが勝手に削ったのが悪い!」


「そんなあぁ~。そうですか。血が赤いのも太陽が東から昇るのも全て

私が悪いのです。煮るなり焼くなりお好きにどうぞ!」


「憎たらしい奴だな! 開き直ったぞ!」


「それで、どうしろと言うのです。山を元に戻したら良いのですか?」


「それより原因が知りたいのじゃ。何で山を削ったのじゃ」


「ああ、それですか。この辺りは西の山に遮られて雲が来ません。

だから、雨が降らないのです。そこで山が低く成ったら雲が此方迄来て

雨が降らないかなぁ~と思いましてね。今山を削って居る最中です」


「何と恐ろしい事を考える餓鬼だな。そんな事をしたら山の西側にも

影響が出るじゃろうが!」


「では、雨が降らなくなったのですか?」


「嫌、今の所何も無いがのう」


「お母さん、何も無いのなら何故此処に来たのですか?」


「そうですよ、僕たちの結婚にあれ程反対して居たでは無いですか!」


「それは、二十年も前の話じゃろ。我々エルフは淡泊じゃからのう。フハハハハ」


「ところで、アデリーナよ。お前達には子供は出来たのか?」


「はい、お父さん。女の子が二人居ます。双子で十八歳に成りました。

二人とも今年結婚しましたよ」


「ナッ! 何じゃとう! もう子供を造ったのかぁ~」


「そうですよ、普通の人族は遅かったら子供の顔も見せられませんからね」


「良いじゃ無いか。アンネリ、無事に育って結婚も出来たのならな」


「アドラ、紹介するわね。私の父でエーリッキ。母は、アンネリよ。アドラ

あの子達にも紹介するから呼んで来て」


「お母様、分かりました」


 アンジェラとエイミーにリスタルを呼んで来る。


「えっ! この人たちが、私達の御婆ちゃんとお爺ちゃんなの?」


「ピキピキ !」


 部屋の温度がマイナス二百七十三度まで下がった様な。


「 「誰がぁ~お爺ちゃんと御婆ちゃんだってぇ~!」 」


「エイミー!! あれ程言ってはいけないと言ったのにぃ~!」


 それから、暫くは爺さんと婆さんにエルフの仕来りをしっかりと

体に刻まれたエイミーで有った。南無阿弥陀仏。


 その後は二十年振りの積もる話もあったのだろう。

暫くは領主館で過ごす様である。


 家族なので俺の秘密もバラされて、帰りは送って行く事に成った。


『ヘラ、駆逐艦アルカイックは大きすぎないか?搭載機にはステルスモードは

付いて居ないのかな?』


『搭載機は三機有りましてそれぞれが違う機能を持って居ます。偵察用の

機体にはステルスモードが標準装備になって居ります。三機共、搭乗員の

定員は八名です』


『それなら、搭載機で飛んだ方が良いな』


『了解いたしました。準備をさせて置きます』



[第七回家族会議を開きます]


「議題は何だ?」


「エルフは里から余り出ないと聞きました。折角なので何処か観光旅行に

行きませんか? 行きたい所が多ければ多数決にします」


「あら、良いわね。でも私とエーリッキは殆ど出た事が無いから何も

知らないわ」


「ところでアドラ、行くのなら馬車で行くのか?」


「お父様、馬車で行くと王都に行くだけでも往復で数週間掛かります。

空を飛んで遊覧飛行が良いと思いますが」


「あの、巨大船で行くのか?」


「あの船に搭載して居る小型艇が有ります。それで行きます。一日ですよ。

宿泊が出来ませんからね。男爵領を長く留守にも出来ないでしょう」


「そうだな、フロル王国をぐるりと周る位で良いな」


「私達は何も知らないから、アドラに任せます」


 次の日に朝から観光遊覧をする事に。

領主が不在に成る為に、執事のジンロンさんが留守番役に成る。


 アンジェラは転移が出来るけど、他の人は出来ないので俺の収納に。

行くのは、俺達若夫婦に両親とエルフ夫婦の八人である。

駆逐艦アルカイックに転移してから、搭載艇の偵察用一号機に乗る。

一度アルカイックを格納庫から出して、空中で搭載艇をカタパルトから

上空に射出する。


 機体の形状は長さが十m程度の航空機の大きさで翼は無い。

少しずんぐりむっくりとして居る。

高さは四m程、幅も同じ位だ。


 艇内は、客室用座席が四席ずつ、通路を挟んで二列に並んで居る。

ゆったりとした造りだ。前方に操縦席が有る。

正副と左右に二席。副操縦士は居無いので嫁が座る。

操縦を見て覚えさせる為でも有る。


 本来は、ヘラが操縦するからリモートでも可能なのである。

でも、万が一の時も起きうる事も考えての事である。


 アテンションプリーズと言えば旅行気分も味わえるのかな。


 美女のエルフが四人も居るのだ、ミニの制服を着せたい。

心が読まれたらどの様な態度に出るのかな。

後日嫁に聞いて見よう。


周遊コースは、俺に一任されて居る。

先ずは、俺が最初に来た。マニストに行く。

その後は、例のアルザックス王国軍の殲滅場所。クレーター巡りをしてから。


 その次は、アルガス湖の翼竜生息場所も目玉の観光地だな。

外せないよな。


 それから機内で食事をしながら、フロル王国の王都を空から眺める。

今思い付いた観光コースを説明する。

特に反対は無い、皆行った事が無いのだ。

リクエストのし様が無いのだ。パンフレットもネットの検索も無い世界。


『ヘラ、今のコースで、速度調整をしながら廻ってくれるか』


『了解いたしました。高度は一定の高度を維持します。窓のモニターは

望遠機能が付いて居ますから、見たい所が拡大出来ます』


『中々便利な機能が付いて居るのだな。それと、町や都市の名前を俺は

知らないから、教えてよ』


『了解いたしました』


「カリペド男爵領の皆さま、只今より慰安旅行に出発致します。ごゆっくりと

お寛ぎ下さいませ。窓の外の景色は見たい物が拡大できますのでご利用くださいませ。それでは良い旅を。お飲み物は座席前のコップに出ますのでご自由にお飲みください」


 まずは、フロル王国の西に聳える、嫌少し俺が削った山脈に沿って

南に針路をとる。

マニストまでは、千㎞は有るだろう。時速千㎞なら一時間位かな。

乗客の皆様は、殆どの方が昼間の空の旅は初めてのはずだ。


 溜池の工事の時は夜間作業だったからな。

暫くは、右側の景色は山脈ばかりだ。左側は領主が変わった元モラハン伯爵領

である。


「おい!アドラ! アレは馬車が山賊に襲われて居るのじゃ無いのか?」


 俺も気が付いて居たけどね。此の世界では日常茶飯事なのだ。


『ヘラ、ハルに任せたら不味いかな?』


『余りお勧めは出来ませんね。馬車ごとあの辺りにクレーターが』


『仕方ないなぁ~』


「皆さま、馬車が盗賊に襲われて居る様なので助けに行きます。少し

旅程に遅れが出るかも知れません。ご容赦を」


「アドラ、少々処で無くても構わんぞ。飯より人命が大事だぞ」


「では、行って来ます」


 操縦はヘラのリモートに任せて、転移する。

馬車の直ぐ上空に転移で現れるステルスモードなので相手からは見えない。


『ハルさんや、盗賊達にビリビリを差し上げて挙げなさい』


『ご主人様ぁ~、了解いたしましたぁ~』


「パリパリ!ピシャー」


 少々電撃が強すぎた様だけど。


 十数人の盗賊達と可哀想だけど乗馬して居る馬達共々地面に倒れ伏す。

追われて逃げていた馬車から見えなくなった所で、盗賊と馬達を収納に。


 搭載艇一号に転移で戻る。


「お待たせいたしました。左下に見えます街がサルサ―スで御座います。

人口が約十万位お住みだとか。此の街も我が領と同じで西の山脈の御蔭で

雨が少ない様です。羊とか山羊の飼育で生計を立てて居る様です」


「おい!アドラ、お前偉く詳しいじゃ無いか?」


「はい、色々と文献を見て覚えました」


「その様な本が有ったか?」


「私も知らないわよ」


 くそう、早速墓穴を掘ったか。

でも、上手い具合にマニストが見えて来た。ヘラが速度を上げてくれたのだろう。


「アレに見えますのが、フロル王国の南に有ります。マニストで御座います」


「オイオイ!アレは何だ! 城壁に魔物が取りついて居無いか?」


 えぇ~! 魔物って十年に一回じゃなかったのかぁ~。


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