ドワーフ拉致監禁事件
どうやら、ドワーフと接近遭遇した様だ。
でも、今は朝の五時だ。ドワーフだって寝て居たのだろう?
『ヘラ、朝ご飯を食べてから行くよ。映像と音声記録は撮って置いてよ』
『ご主人様、了解いたしました』
最近の食卓は随分と変わった。
畑で採れる物の幅が広がったのだ、色々な種類の作物を試験栽培し始めた。
葉物野菜が一番成長するのが早い、レタス系にキャベツ等だな。
根菜類は、時間が掛かるだろうな。
それでも、翼竜の糞は良く効くようだ。でも、他領に知られても真似が
出来ないだろうな。保管して居る倉庫なら盗れるだろうけど。
食事も終わったのでアンジェラと一緒に駆逐艦アルカイックに転移する。
練習の成果が出てアンジェラも転移が出来る様に成った。
でも、俺の転移は魔力を使わない。アンジェラの転移は魔力を使う。
距離に応じる様だが、オマケに燃費が悪いのだ。
色々検証の必要が有るな。
転移室から、操舵室に行く。
モニターには、綺麗に削られた山肌に開いた洞窟が見える。
鉱山の採掘用の坑道だな。崩れない様に木材で補強がされて居る。
一目見て、素人の作では無い事が分かる出来栄えだ。
坑道でも有るけど、この場所を寝泊りが出来る様に改造して居た様だ。
前世で昔に見た事が有るな、蟻の巣穴を観察する様にガラス張りのケースを。
坑道を少し広めて、木製のベッドや棚が置いて有る。
ドワーフでも人族でも、就寝中に叩き起こされたら怒り狂って居ただろうな。
モニター画面の一つにその時の様子が映し出される。
パジャマらしき物を着た、見た目五十代位の如何にもなドワーフらしき
人物が寝ぼけ眼をこすりながら起きて来て、ビックリ仰天で慌てだす光景が
映し出されて居る。
そりゃあ、俺でも同じ状態なら慌てるだろう。
背の高さも低くは無いけど横幅が有る。髪の色も実際の色は分からない程に
汚れて居るのだろう。赤茶色をして居る。多分風呂に入る様な生活は、
して居ないだろうな。
ドワーフ側から見たら、駆逐艦アルカイックはステルスモードなので、
見えて居ない。寝て居て起きたら突然に目の前の岩盤が無くなって
広大な広場が出現して居るのだ。段差も五m程有る。
落ちたら、怪我はする位だな。
原因不明の不可思議な現象を目の辺りにして居たが。
突然の事でも、戸惑いと怒りは起こった様だ、何を言って居るのかは最初聞き取りにくかったが。
「神よ! 俺が何をしたと言うのだぁ~!これは試練なのかぁ~!」
暗闇の空に向かって吠えている。
この状態の所には出て行けないな。今現在姿は見えない。
多分坑道の奥の方に出入り口とか鍛冶場等が有るのだろう。
今接触を計れば、自分の寝床を破壊したのが俺だと疑われかねない。
実際はそうなのだが。増してや、アンジェラと一緒に現れたら。
前世で有ったよな。高速道路で煽り運転の末に暴力を働いた男。
恋人と共に間抜け面を晒した男。
怒り心頭のドワーフの前にハーフエルフを連れて現れたら。同じだよな。
火に油を注ぐ処の話では無くなるな。
『ヘラ、ドワーフとの出会いは最悪の結果だったな』
『そうですね、坑道を発見して駆逐艦アルカイックを急停止させたのですが
間に合いませんでした。この辺りがエルフ達の生息域南限なのですが。一人だけ
鉱石を掘り進んで居たのですね』
『どこの世界にも変わり者は居る様だな。でももう無理だな、見られたし』
『意識を失わせてから、収納して従う様にしましょうか?』
『そうだな、でも腕の良い鍛冶師なら。余り、心はいじりたくは無いな。
閃きとか独自性が壊れそうだな』
『一度捕らえてから、鑑定を掛けて確認したら良いのでは無いですか』
『そうだな、坑道だから、ハルは苦手だろうな。何か捕らえる方法は無いのか?』
『ハルを上空から監視させて坑道から逃げたらハルに捕まえさせます。まだ、
坑道内に隠れて居る様なら、ロボット達に追跡させましょう。武器はパラライザーとスタンガンで仕留めます』
『俺は、出口の方で待機するからな。ロボット達を突入させたら此の坑道は
塞いで置くよ』
「アンジェラ、ドワーフを捕まえて来るから此処で待って居てくれよ」
「貴方、分かりました。お気を付けて」
ヘラとハルの事は、まだ、アンジェラに知られたくは無い。
坑道内にロボット四体を入れてから穴を土魔法で塞ぐ。
穴掘り名人だろうから、強固に強化魔法を掛けて置く。
俺も空中を飛行して山の反対側に行く。
やはり、簡易な山道が作られて居る。此れなら、坑道の入り口は直ぐに分かるな。
ハルが上空から監視して居るから逃げて居ても分かる。
何も報告が無いと言う事は、まだ、坑道内に居るのだろう。
それから、三十分程待って居たら。
ロボット達が坑道から姿を現した。ズィーベンが気を失ったドワーフを
背中に背負って。
ドワーフも結構な目方が有ると思う、ロボットも見た目道理の重さが有る。
二足歩行だから、軟弱な地面なら沈み込むかも知れないな。
早速、鑑定をしてから収納する。
【鑑 定】
名前:ガスラー
年齢:525
種族:人間(ドワーフ種)
職業:フロフラ村住人 鍛冶師
状態:良好 (昏睡状態)
【能力値】
(生命力) : 98/98
(魔 力) :165/170
(体 力) :100/105
(筋 力):88
(攻撃力):87
(防御力):88
(素早さ):55
(知 能):68
(器用さ):86
(感 知):58
(抵抗値):87
(幸運値):55
【スキル】
短剣術 Lv3 格闘 Lv4 腕力強化 Lv5 錬金術 Lv3
【マスタースキル】
土魔法 Lv3 火魔法 Lv3
『余り大した腕前じゃ無いな。それでも一応錬金術が出来るのだな。
それにしても此奴は臭いなぁ。体を洗わないといけないな』
『浄化をしてから、記憶を改竄します。連れて帰って村の鍛冶屋にしますか?』
『お母様が、捕まえたら扱き使うとか言って居たから。連れて帰っても良いのじゃ無いか。駄目なら何処かに置き去りだな』
『了解いたしました』
よく見たら、ロボット達は此奴の道具類や着替え等を持って来ていた。
坑道の入り口や道を無かったように塞いで置く。証拠隠滅である。
此奴が有名人なら、捜索隊が結成されるだろうな。
暫くは、収納内で寝かせて置こう。捜索の手がカリペド男爵領まで及べば
何処かの山の中に放置したら良いだろう。
駆逐艦アルカイックは、夜勤専用なので格納庫に仕舞う。
俺と、アンジェラは離れに帰る。
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その頃のフロル王国、宰相の執務室では。
マロニー商会のマロニーさんが宰相にアドラからの荷物と帝国の宝物を
渡して居た。
「宰相様、此れがアドラからの荷物です」
「何だろうな?」
宰相はゆっくりと木箱を開ける。(玉手箱では無かった(笑))
“宰相様、私事アドラは、地位も名誉も要りません。田舎で妻と二人で
ゆっくりと過ごせば良いと思って居ます。騒がしいと隣の国に引っ越しますよ”
「おい、此れは挑戦状だな。何もするなと言う事だろうな。しかし此の金属は
何だ、見た事が無いぞ」
「宰相様、宜しければ拝見させて貰っても良いですか?」
「ああ、お前は簡単な鑑定が出来たな」
「コッ、此れは! オリハルコンミスリルの合金インゴットですな!
此の重量、これだけで。金貨千枚には成りますよ」
「何だとぉ~! オリハルコンだとうぉ~! おまけに文字が書いて有るのだぞ。この世で加工が出来ないオリハルコンに文字が掘って有ってその上、ミスリルまで混ぜて有ると言うのかぁ~!」
「宰相様、そう興奮しない方が良いですよ、血圧が上がります。でも実際に
合金に文字も書いて居ます。疑いようは有りませんよ。出来ましたら魔法省で
確認をなさったら宜しいのでは御座いませんか」
「そうだな、魔法省に行って鑑定が出来る奴を呼んで来い」
「了解いたしました」
宰相の部下の一人が魔法省まで使いに走る。
魔法省から鑑定が出来る者が来るまでの間に帝国の宝物を見せる。
「ほう、此れは見事な物だな。流石に帝国だな。でも、今は帝国も混乱の極みだな。色々な宝が流出して居るかも知れないな」
「そうですな、宝と言えば、人材も宝ですからね。良い人材がフロル王国
にも流れて来るかも知れませんね」
「帝国は寒い国だからな、暖かい南の国に住みたいと思って居る人は多いと
思うぞ。皇帝が居た時は祖国を見捨てると思われて居たから。皇帝が居なく成れば、心は南の国に傾くはずだ」
「コン、コン、魔法省のアーシャです」
「おう、入れ」
「失礼いたします」
「此れを鑑定してくれ」
「はい」
アーシャが鑑定を始める。数分後。
「此れは! オリハルコンミスリルのインゴットですね。重さは一カロです。
紛うこと無き、本物で御座います。でも、文字が書き込まれて居ますね。
文献では、現代の技術では傷一つ付かない金属だと聞いておりますが?
何方が造られたのでしょうか?」
「アーシャ、君は深く立ち入らない方が良いね。それから、此処に広げて有る
宝物も鑑定して記録を作ってくれるかね。他言は無用にな」
「はい、了解いたしました」
「ところで、マロニーよ。アレの事はどうしたら良い」
「何もしない方が宜しいかと。するならモーガン伯爵とアレの父親に
便宜を図る程度で宜しいかと思います。例えば、税の減免ですね。宝物を
税の替わりに現物支給したと思ったら良いのでは無いでしょうか」
「しかし、宝物もだがオリハルコンミスリルの値打ちが金貨一千枚としたら
モーガン伯爵の年間の税金の二年分位には成るぞ」
「それなら、王都からモーガン伯爵領までの道路整備とかはどうでしょうか?
カリペド男爵領で産出する鉄を運搬するにも楽に成ります」
「そうだな、それが一番良いかも知れないな。それと、小耳に挟んだのだが
カリペド男爵領の畑には翼竜の糞を肥料として使って居るらしいな」
「いいえ、私は初耳ですが?」
「お前が紹介した農家の男が言って居たらしいぞ。作物の成長が飛んでも無く
早いらしい」
「そう言う事が有るのですか? でも翼竜の糞を誰が採取出来るのですか?」
「そりゃあ、アレにしか出来ないだろう」
「翼竜の目を盗んで糞を採取する事は出来ますかね。昔聞いた話ですけど
数代前のアルザックス王国国王が、翼竜を飼いならせば翼竜に乗って戦争が
出来ると意気込んで、翼竜の巣の卵を盗んできて育てたそうですよ。
でも、飼育係には懐きましたけど、他の者が近づいただけで食べられたそうです」
「確かに戦争で翼竜に乗って空を飛べたら勝てるな。しかし飼いならせなかったら、始末が悪いな。我が国でもアルガス湖に住んで居る翼竜を討伐する為に
軍を出した事は有る。千人程で行ったのだが駄目だった。それ以来辞めて居る」
「翼竜でそれですか。本物のドラゴンならどうなりますかねえ。十年毎に
姿は見掛けますけど襲っては来ませんからね」
「翼竜はブレスを吐かないけど、千人でも駄目だったな。ドラゴンは絶対に
無理だろうな。勝負にもならないだろう」
「ひょっとしたら、アレなら勝てませんかね」
「いやあ、それよりアレがマニストに現れる前にドラゴンを見たと言う
者も居たそうだからな。ドラゴンとお知り合いかも知れんぞ」
「なるほど、ドラゴンと友達だったと言っても不思議では無いですね」
「まあ、そんな事は無いだろう。ハハハ」
「それでは、宰相様。宝物の鑑定も終わった様ですので私はこれで。
これからもよろしくお願いします」
「マロニーよ、此方こそ頼むぞ」
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その頃、カリペド男爵領に一人?の女性が旅姿で訪れようとして居た。




