皇位継承十三番目の義兄弟
帝国の皇子様とフロル王国辺境の男爵の娘との婚約は色々波乱も
有りましたが、一応成立致しました。
正式には、モーガン伯爵様に認可を戴ければ終了です。
カリペド男爵が先にモーガン伯爵に手紙を出す様です。
その後、二人を連れて行く様です。
・・・
しかしながら、フロル王国の面々は知りませんが。
ガルバー帝国、国内では帝国存亡の危機が訪れて居ました。
帝国も元は大小さまざまな国の集まりです。
しかし、新兵器が見つかり勇んで出兵したものの、大敗を記し十万もの
人的損害を出して居ます。
十万もの軍隊の内、四名しか帰らなかったのです。
色々な家族構成が有りますけど、四人家族だったとしても。夫や
息子が帰って来なかった家庭が三十万人も居たはずです。
最終責任はやはり皇帝でしょうね。
有力貴族の突き上げは有りますね。此のスキを逃さない高位貴族は。
次期皇太子や、上位の皇位継承者を担ぎ上げます。
内乱の発生は不自然では有りません。
その混乱に火を注ぎ、油を掛けた原因を創った男が居ましたね。
そうですよ、帝国の宝物庫を荒らした者が居ました。
どの国も経済が廻ら無いと国も廻りません。
お金がごっそりと無くなったのです。商人達も少しは待ってくれます。
でも、長期間は待ってくれませんね。
でも、支払いたくても国庫にはお金が無いのです。
お金が貰えない商人は、零細商人では無いですね。
帝国の御用商人達です。以前はライバル関係でした。
でも、商売人です。共闘を始めました。
商人は情報が命です。各地に店を構えて居ます。
商品の販路も帝国内各地に網の目の様に張り巡らされて居ます。
最初は売掛金の回収が出来ない腹いせに、皇帝関係者の悪い噂を国中に
流して居ました。
それを真面目に聞いた民衆が、日頃の鬱憤を晴らす為に内乱状態に
成りました。
一揆ですね。先頭に立って煽る者も居ました。
しかし、冷静に考えれば帝国は北に位置します。
冬は極寒の地です。冬は其処まで来ています。
帝国には四大貴族とそれに繋がる四大商人が居ます。
五番目のやや大きな商人も居ましたが。
例の三号関係の予算に目が眩み、手を出して居ました。
起死回生の目論見は淡く崩れ去り倒産の憂き目に遭いました。
四大貴族と四大商人は、冬を前に一時的に結束しました。
集まった八名の各指導者、馬鹿では無いですね。
帝国の行く末を案じて居たのです。冬将軍到来で共倒れは確実ですから。
其処に至るまでに、皇帝を始め家族一門は全て亡くなって居ました。
フロル王国の十三番目を除いて。
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エイミーさんの縁談了承の為に、モーガン伯爵領に行く日が来た。
時間が掛かったのは、急に行ってもモーガン伯爵の予定も有る。
一番の問題は、リスタル・ガルバー。まあ、今は只のリスタルだけど。
戦場で逃げる為に鎧も脱ぎ捨てて、着の身着のままで収納して居た。
畑仕事をする為の服は与えて居たけれど、伯爵様の面前には着ては行けない。
一応、正装で無いと不味いですよね。
その為の服を作るのに一週間程掛かりました。
異世界に青○とか晴○は無いです。有っても吊るしは駄目でしょうね。
此の世界では、全てがオーダーメイドです。本来なら一か月は掛かります。
領主権限で急がせましたね。その為にね、銀色の硬貨がぁ~!
カリペド男爵領も、御多分に漏れず俺の財布が頼りなのです。
不労所得なのですが、金庫とか宝物庫に落ちて居たのを拾いました。
そうですよ、無人でしたしね。情状酌量の余地は有りますよね。お巡りさん。
時間が掛かった分、畑仕事は捗りましたよ。
最初の作付けは麦を植えて見ました。農業指導者のバルトロさんのお勧め
ですね。中世ヨーロッパ社会の定番パン食の基本です。
この辺りの緯度は北緯33°です。前世日本なら九州中央部から四国、
紀伊半島南部位かな。
北海道なら、種蒔から収穫まで十か月程掛かる様です。
植物もやはり生育には気温が影響するのでしょう。
カリペド男爵領なら、半年ほどで収穫出来そうです。
と、俺も思って居ました。
モーガン伯爵領までは、新しい馬車で行きました。
俺が最初に作った物は四人乗りです。
今回は、六人乗りを造りました。
工夫した事は、サスペンションは勿論ですが。ゴム製のタイヤは
この異世界では目立ちます。車輪の直径を大きくして。
外周部をハニカム構造にして弾性を付けました。
使った金属はオリハルコンですよ。惜しげも無く。
極薄にして使って居ますから量的には少ないです。
外側にはカバーを付けて分からない様にして居ます。
木目迄付けて木製の車輪ですね。でも、オリハルコンは摩耗しません。
前世なら、石橋さんもダン○ップさんも倒産しますね。
摩耗しないタイヤ、夢の様な物です。
それは、全ての製品に当て嵌まります。壊れなかったら。
買い替え需要は有りませんから。
異世界の道路事情は最悪ですからね。未舗装が当たり前です。
大都市に行って初めて石畳が登場します。
でも、お金が有れば維持管理も出来ますけど。
戦争が頻繁に起こる異世界です。軍事優先です。
大きくなった馬車には、馬を四頭にして居ます。
動物虐待もしませんよ。お前達山賊から鞍替えして良かったな。
帝国さんの馬も沢山居ます。馬車と共に。
でも、馬達も歳を取ります。繁殖も考えて行かなくてはいけませんね。
雌馬も、購入するか。
今回も、ロボット達四体と最終兵器の護衛付きです。
馬車内は、お父様と俺にハーフエルフ姉妹とリスタルです。
その為の六人乗り馬車です。
幾ら新型の馬車でも、四馬力に増えてもやはり三日は掛かりますね。
でも、何事も無く無事にモーガン伯爵の館に到着しました。
「久し振りです、義兄さん。娘の夫探しを頼んで居ましたけど領内で
見つかりました。無理を言いましてありがとうございました」
「それで、この男がエイミーの夫か?」
「はい、訳ありですけどね。多分大丈夫だと思います」
「訳ありか? 訳ありと言えば王都からマロニーが来ているぞ」
「マロニー商会の会長がですか?」
「多分、アドラ絡みだと思うがな。エイミーも急ぐだろうが、マロニーの
話を先に聞きたいな。皆で来てくれ」
モーガン伯爵の後に付いて密談室に付いて行く。
「おぉ~!アドラ君久し振りだね。結婚したそうじゃ無いか。おめでとう」
「マロニーさん、お久し振りです。良い人を見つけました。ありがとうございます」
「それより、今日来たのは色々有ってね。伯爵様も知らないと思いますけど。
帝国が大事に成って居る様です。内紛ですな。皇帝の後継者争いに、一揆と
貴族間の争いです」
「それは、重要な情報ですな。やはり商人の情報網は侮れませんな」
「マロニーさん、皇帝の一族はどうなったのです?」
「アドラ君、君が一枚かんで居るのじゃ無いのかね?」
「マロニー、どう言う事だ?」
「事件の発端は、夏前に帝国軍十万人が我が国に攻めて来た事だ。でも
誰かに追い返された。其処までは伯爵様も知って居ますね。次に
帝国の宝物庫が荒らされてね。財宝が紛失したそうだ。帝国から
フロル王に宝物を返せと、書簡が来た様だ」
「どうして、フロル王国の名前が出て来るのだ?泥棒なら足跡も
残さないだろう」
「それがな、請求書が置かれて居た様なのだ。十万人の帝国兵が
起こした、犯罪の不始末に対する損害賠償らしい。フロル王国
国王の名前で請求書が書かれて居たそうだ。実際にやったのは
この領の隣、モラハン伯爵がやった様だ」
「そんな、馬鹿な。帝国の帝都迄行くのに何日掛かる。モラハンが
軍を率いて領を出たら、俺の領地を通らないと出られないぞ」
「だから、国王もそんな事は信じて居ない。所で、アドラ君。君が
持って居るのだろう。金貨は使っても名前は書いていないけど。財宝は
見る人が見たら分かるからな。それと、帝国金貨はフロル王国では使えないよ」
「マロニーさんなら、金貨を使えるのですか?財宝は格安でレンザス王に
進呈いたしましょう」
「やはり、アドラお前か!」
「伯爵様、今しばらくお待ちください。隣のモラハン伯爵は領地替えに成ります。
ガードナー辺境伯爵一族が居なく成り守り固めですね。帝国との国境沿いの辺境伯となります。モラハン伯爵の領地は貴方様の物に成りますよ。」
「なッ! 何だとぉ~! 誰が決めたのだぁ~!」
「王様に決まって居ますよ」
そうか、俺の思惑にレンザス王は乗ったのだな。
まあ、金銀財宝でモラハン伯爵領を買い取ったみたいな物だな。
モラハン伯爵は、レンザス王に嫌われて居たのだろうな。
麻薬を取り扱う裏の仕事だからな、レンザス王も後ろめたい所が有ったのだろう。
しかし、北の辺境伯。冬は寒いだろうなお気の毒様です。
「お父様、伯爵領二つ分は結構な領地に成りますね。領地経営は大丈夫
ですか?」
「こら!アドラ、親子でコソコソ話すな! お前がやるのだ! カリペド男爵領が今どうなって居るか知らないとでも思って居たか!」
ゲッ! 俺のスローライフを返せぇ~!
「ついでに言いますけど、カリペド男爵では領地が釣り合いませんから
子爵が用意されるのでは無いでしょうか」
「嫌ぁ~、俺はカリペド男爵領が一番良いのだよ。アデリーナも出たがらないからな」
「お前が行かなくても良いのじゃないか。アドラに行かせたら」
『ご主人様、レンザス王の手玉に取られない様にしましょう。今回は辞退
されたら良いのでは無いでしょうか。それと、勝手にされない様な大きな
杭を打ち込みたいですね』
『そうだな、まあ、今までは俺が此の世界を勝手に振り回して居たからな。
大きな杭かぁ~、何が良いのかな?』
『ご主人様、今回は言葉での忠告をマロニーさんに言って、国王に伝えて
貰ったら良いのでは無いですか』
『よし、分かったよ』
「お父様、今回は辞退されたら良いのでは無いですか。私も領地経営は
初めてです。空いた土地なら、王国の直轄地にしたら良いのでは無いでしょうか」
「おお、そうだなお前も田舎暮らしが好きなのだな。マロニーさんそう言う
事なので、レンザス王には断って貰えないだろうか。義兄さんもそれで
良いでしょう?」
「まあ、儂は何もして居ないのだ。張本人のアドラが良ければ文句は
言わんよ」
「じゃあ、私も帰ったら宰相を通じてレンザス王に言って貰うよ」
「マロニー宜しく頼んだよ」
マロニーさんは、密談室を出て行った。
「待たせて済まなかったな、君がエイミーの夫になるのかな?」
「はい、リスタルと言います。よろしくお願いいたします」
「君は訳ありだと聞いたが?どう言う事なのだ?」
「伯爵様、宜しければ。私から説明いたします」
「アドラか、言って見ろ」
「はい、リスタルは帝国兵の生き残りです。十万の中での優秀な兵士です。
三日三晩走り続けて逃げ延びて居た、兵士達の中から特に見た目と体格
それに魔力の多さを見て決めました。此のまま逃がしたら将来に憂いを
残します。出来たらフロル王国で欲しい人材ですからね。そこで、
九十六人を連れ帰りました」
「九十六人とは、中途半端では無いのか?」
「はい、当初は百人でしたが。色々訳ありで今は言えません」
「それは、聞くまい。リスタルは、帝国に帰る気は無いのかね?」
「マロニーさんでしたかね。あの方の話を聞いてもう、父は亡くなって
居るでしょう。私の母は、私が生まれる時に亡くなったと聞いて居ます。
もう、帝国には身内は居ないと思いますし。フロル王国でこの様な
美しい妻を娶れました。此処で永住をします」
「フフッ、美しい妻」




