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男爵飼い犬に噛まれる




「お父様、溜池の予定地ですけど。まだ移転せずに人が住んで居ますよ」


「何! ジンロンを呼べ!」


「お館様、御呼びですか」


「カラカス村の連中はまだ居るそうじゃ無いか!」


「はい、一応言いましたよ。でも、信用して居ないのです。水が何処から

来るのだ。と」


「アドラよ、そう言う事だ。良いから水を貯めろ」


「はい、分かりました」


 そうだろうな、昔からこの辺りに住んで居たら水が貯まる程、雨も降った事は

無かったのだろう。


 でも、どんなに馬鹿か間抜けでも口元まで水が来たら逃げるだろう。

領主からの通達も有ったのだし。


 もう一度川の上流に行ってから、川底に少し広めに石を敷いて水を

大量に出しても濁らない様にしてから。収納から水を出す。


 ナイヤガラの滝程は出さないけど、結構な水量で川が増水する。

もうそろそろ、カラカス村まで水が行ったかな?


 一度放水を止めて、確認に行く。元々の川の水は少ないけど流れて居るのだ。


 そっと、カラカス村を覗いて見る。

頑固そうな親父が慌てて高い方に逃げて行く。

水が足首から膝上まで届く位は溜まって来た。


『ハル、溺れて居る人が居無いか見回ってくれ』


『ご主人様ぁ~。了解いたしましたぁ~』


 もう随分貯まったな、徐々に増やして行こう。

一時間位時間を掛けて、水を貯める。ダム堰堤の少し低い所からカリペ川に

落水を始めた。

もう、本来のカリペ川水量で大丈夫だろう。

減る様なら足してやれば良いだろう。


 順調に灌漑用水として畑の方に水が流れて行く。



・・・・・・・



 アドラが水を仕入れた所。


フロル王国でアルガス湖からの水で生活をして居る人達は

大騒ぎに成って居た。

アルガス湖の水位が急激に減って居たのだから。


アルガス湖に流れ込む大河メリルも急流に成って居た。

大河メリルは、因みにアルガス王の后の名前だ。

大きな河なので海運が盛んに行われて居た。

その被害は言うまでも無い。


 直、アドラは関知して居ない。



  >>>>>>>>



次の日の朝食後。


「第四回家族会議を開きます」


「お父様、溜池が満水に成りました。畑にも水が行き渡りました」


「そうか、畑に作物を植えても良いのだな」


「只、農業が分かって居る方が居ませんね。マロニー商会さんに、指導できる方をお願いはして居るのですが。王都方面での手配らしいので見つかっても

時間は掛かりそうですね」


「それなら、鉱夫達の引っ越しをしなければいけないな。宿泊施設と言うか

監獄を造らないと犯罪者達だ、札付きの悪い奴も居るからな」


「それなら、自分達で造らせましょう。石材は用意します。作る時に逃げる

恐れが有りますね。私が予定地に塀を造って置きます」


「場所は、此の町に近い所は駄目だぞ。山と畑に近い所が良いな」


 この前作って居た地図に監獄の場所を記入する。


「ああ、其処で良いな。今日でも、一緒に鉱山に行って鉱山技師と奴隷の

監督に会って置くか」


「そうですね、顔繋ぎは必要です」


 準備をして、お父様と俺の馬車に乗って行く。

女性陣は危険なので連れては行かない。


 ロボット四体と、男爵の直属の騎士兵士が護衛に就く。

何時も道理に、ハルがステルスモードで上空にて警戒。


 鉱山までは一日掛かる距離だそうだ。行きは上り坂なのでやや時間が掛かる。

本来はカリペ川沿いに上って居たけど溜池や畑が出来たのでコースが変わった。

溜池の底に沈んだカラカス村がお昼の休憩地だったのだ。


 俺の馬車はお父様の馬車よりは軽い、隠して居るけど車軸にはベアリングも

使って居る。転がり抵抗も小さい。馬にも優しい馬車です。

もう少し時間に余裕が出来たら、電動自転車の様に魔力アシストの馬車を

作って見よう。


「アドラよ、この馬車はどうした事だ。揺れないな? それにしても、広い畑が出来た物だな」


「そうですか?私の生まれた村には変わり者の鍛冶屋さんが居ましてね。

色々な変わった仕組みを考えて色々な物を作って居ました。

それを、教えてくれました。でも、私が十五歳の時に爆発事故を

起こしまして・・・」


「そうか、惜しい方を亡くしたのだな」


 作り話だけど、亡くなったとは言って無いぞ。


 特に問題も無く、休憩地である新カラカス村に到着した。

村が水没する事を、予め言って居たけど信用しなかった村人達。


 信じて居たら、建物を解体移築が可能であった。


俺は、村ごと収納して移転が出来るけど。けどしない。

奇跡の乱発は身を亡ぼす。


 領主の好意で、新しい建材が搬入されて新築の家が建てられて居た。

俺の財布からだけどね。(涙)


「村長、予めジンロンが言って居たであろう。水没すると。此れは罰だな。

年貢に足して家の新築費用は差し引くからな。家の新築費用は儂の息子が

出して居るのだ。分かったな」


「ご領主様ぁ~、申し訳御座いませんでしたぁ~」


 何じゃあ! 結局は住宅ローンかよぉ~!


 村人は急な移転なので家が出来るまでは、テント暮らしをして居る。

テントは、領主軍からの貸与である。

そのテントの中でも大型テントが設営されて居た。

そこで、お父様と俺達は昼食を食べて休憩する。

本来休憩が必要なのは重労働をして居る馬達である。


 此れからは、急峻な山登りである。

距離は今までより短いけど時間が掛かる。

前世で一度行った事の有る気がする。日光のいろは坂だな。


 高度を緩く稼ぐ為に、道が折り返しに成って居る。

延々と登って行った先に少し広めの台地が広がって居る。

鉱石の精錬を行って居る場所だな。


 異世界初の鉱石の精錬工場なのか。

感慨深いじゃない! でも整理整頓は壊滅的な職場だな。

お父様は、滅多に足を運ばないのだろう。


 作業員たちのやる気のなさは一目瞭然。

広場の端の方に、木造の二階建ての事務所と作業員の宿舎が建てられて居る。

事務所の一階に入って行く。


 まあ、何と言う事でしょう。

もう、夕方ですけど。昼間から賭け事をしながら飲んで居たのでしょうね。

水では無いでしょう。アルコール臭がしますし、顔は赤らんで居ます。

事務所ですけど、組事務所の賭場状態です。


 一人は、多分此処の最高責任者だろう。

後の五人は部下かな。


 いやはや、鉱山の監督自らが此の体たらく。末が思いやられます。


「アインスとツヴァイはお父様を守れ!」


 嫌な予感は当たります。


「おい!お前ら領主の顔をした魔物が来たぞ!ついでに養子も殺せ!」


 酒盛りと賭博を開帳して居た連中が、手近に置いて居た武器を取り、

襲い掛かって来た。


 でも、無理だよな。素面(しらふ)ならともかく足元が覚束無い状態では。

剣も真面(まとも)には振れないだろう。


 それに、高性能なロボット四体がお父様と俺を守って居る。

それ以上にそいつ等にとっては見えていないけど、スタンガンが控えている。


「パリッ!パリッ!」


 微かな雷光と共に五人は床に倒れ伏す。


 その時に、町から一緒に来た騎士と兵士の内、若い兵士が俺に剣を振るって来る。


「くそう! お嬢様を寝取りやがってぇ~!」


 日頃のうっ憤が溜まって居たのかな。美人のハーフエルフは綺麗だよな。

幼い頃から憧れのお嬢様を、何処かの馬の骨が攫ったのだ。

殺したいほどの憎しみが育って居たのだな。


 でも、お前の嫁じゃ無いだろう!


 でも、残念な事に憎い俺の体に刃は届かない。

身体能力が全て千の護衛ロボットの前では、若い兵士の剣技はお遊戯ですね。

剣を持った方の手を握られて苦悶の表情を浮かべて居ます。


 でも、どうしていいか分からずにオロオロして居た、残りの騎士と兵士達が

若い兵士と、賭博開帳をして居た現場責任者たちをお縄にして行った。


「お父様、此れは酷いですね。鉱山奴隷達も危険なのでは無いですか?」


「そうだな、管理監督をすべき者達がこの状態では」


 もう夕方だ、此れからは何をするにも廻りが暗くなる。

製鉄の作業員たちも作業は止めて夕食だろう。


『ハル、坑道に居る奴隷達の様子を見て来てくれ。危険な事を

しそうなら殲滅しても良いからな』


『ご主人様ぁ~、了解いたしましたぁ~』


「お父様、この現場責任者に聞きたい事が有ります。何処か空いた部屋は

有りますか」


「その部屋を使ったら良いだろう。そいつはブレットだ」


 色々な相談と言うか密談室が有る様だ。


ゼクスとズィーベンにブレットを密談室に連行させる。

部屋に入って収納に入れる。


『ヘラ、鉱山の坑道と、奴隷達の収容場所が知りたい。勝手に穴を掘って

出て来られても困る。出入り口に蓋をしたら出られないだろう』


『ご主人様、了解いたしました』


 俺は、ロボット二体を部屋に残したまま。外に転移する。

ステルスモードで鉱山入り口に飛んで行く。


『ご主人様、鉱山の入り口を少しは行った所が、奴隷達の収容場所です。

三十mは掘らないと出られません。入り口を塞げば大丈夫でしょう。

でも、ご心配なら山の外側に土魔法で硬化の魔法を掛けたら良いですね』


『ハル、異常は無いか?』


『ご主人様ぁ~、今の所奴隷達は大人しく夕食を食べて居ますよぉ~』


『それなら、良いから帰って来い』


『了解いたしましたぁ~』


 ハルが帰るまでに、山肌十数m上まで硬化の魔法を掛ける。

坑道の出入り口には、御影石製のブロックを二重に置く準備をする。


 ハルが帰って来てから、ブロックを並べる。

密閉をしたら流石に奴隷も息が出来ないだろうな。

少し隙間を開けて置く。ネズミなら出入りが出来るな。


 これで大丈夫だろう。

事務所に帰って。


「お父様、今夜は何処で休まれますか?」


「何処でも良いが、この上二階には儂の部屋が有るには有るが。夕食も

食べたいな」


 先に作業員たちが夕食を食べて居た、食堂に行く。

俺達の分は有るのかな?


 その心配は杞憂でした。兵士の中に此処に到着した時に食堂の係の者に

来た人数を報告して居た様だ。


 人は色々だな。気が利き仕事が出来る奴、気遣いも出来無い、

仕事も出来無い奴。

上司に忠誠心も無く逆らう奴、他人の嫁に横恋慕をする奴。


 前世でも此の異世界でも人間は同じだろう。皆自己中だ。

前世なら、独りでも生きられる。危険生物に出会う確率は低いから。

文明も進んで居て社会保障も充実して居る。


でも、此の世界は魔物が闊歩して居る。

多分独りでは、生き難い世界。


 皆が集まって助け合わないといけない世界。

力を持った人が人々を纏めて、力を合わせる。

貴族社会を築かないと暮らせなかったから、今の体制が合う。


 その仕組みから抜け出す。

個人個人が、バラバラに行動する。

隣国から攻められて居る状況では無理だな。


 夕食を終えて。

小声で。


「お父様、屋敷まで帰りますか?」


「そうだな、帰れるなら帰った方が一番良いな」


 男爵が連れて来ている。騎士と兵士に交代で警護に就く様に指示を出した。


 密談室に入る前に、ロボット二体を入り口に立たせて警護に当たらせる。

男爵と一緒に密談室に入り、男爵を収納してから。

男爵邸敷地の離れに転移する。


 男爵を収納から出して、一緒に母屋に行く。


「お父様、鉱山の責任者達はどうされます?」


「アドラよ、お前が領主の立場なら部下を選ぶ時はどうする?」


 お父様、質問に質問を返す。

俺を試して居る様な。そうだよな、次代が優秀か不出来かで、自分の未来も

決まる。


 貴族なら次代に存続の可能性を託す。


「やはり、信用の置ける裏切らない部下は必須条件ですね。ああ、そう言う

事ですか。身内なのですね」


「そうだ、ブレットは、執事ジンロンの妻ジーナの兄なのだ。ブレットの

弟が鉱山技師だ」


「お父様、お察しします。難しい問題ですね。でも今からは、

お父様に従順で決して裏切らない臣下に成れば良いのでしょう」


「アドラよ、一度裏切られたら中々許せない物だぞ」


「でも、身内ですから、殺すにも心苦しいのでは無いですか?

宜しかったら、数年間私に身柄を預けて貰えませんか?」


「彼らの言動を知って居るのは俺とお前、騎士のアベルとあそこに居た

兵士だけだ。ジンロンには言っても信じないだろう。お前に任す」


「お父様、了解いたしました」





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