養子の水汲み
ダム湖は水が貯まって初めてダム湖と呼ばれます。
水が無いと只の窪地です。
ダムの用途は、河川の水量の調整が主な仕事です。
畑が有れば灌漑用水に使います。
当初の予定、カリぺ川の水量が少ないので畑を作っても作物が育たない。
灌漑用水ですよ。畑を作る所まで水路を作らなくてはいけません。
ダム湖が満水に成って水がオーバーフローして、カリぺ川に落ちます。
カリぺ川に、護岸工事を施し小さな堰堤を作り、灌漑用水用の取水口を設けます。
畑の広さは一枚が一ヘクタール程に広めに作ります。
最初から、圃場整備済の広大な大農場を目指します。
網の目の様な水路を造って行きます。
畑には、例の肥料と石灰を混ぜて栄養分とpH値が満点の土作り。
後問題は、農家の方が皆無だと言う事ですね。
それと、作物は、何を植え付けるか。
・・・・・・・
朝食後に。
「第三回家族会議を開催します」
「お父様、溜池と畑は完成致しました。水は溜まって居ませんけど」
「そうか、完成したか。畑を耕す人が居無いな。入植者が居たら良いのだが」
そうだよな。何処かに悪い領主が居て悪政を敷いて居て。
税金も沢山搾り取られる、作物も日照りとか病気の蔓延で採れない。
税金も払えない。となると、夜逃げ確定だよな。
その様な領地が落ちていないかな。希望的観測だが。
「お父様、何処かの領主が悪政を敷いて居て、領民が逃げ出して居る
様な領地は無いのですか?」
「有るぞ。戦争も有る、天気が影響しての飢饉も有る。領主の悪政も有る。
その様な領地から逃げ出したい民は沢山居る。でも、何処に逃げる。
逃げても、受け入れてくれる心優しい領主が居ると思うか」
そうだな、情報が無いのだ有っても、商人の口述位だ。
数か月遅れの情報は、信じて行って見たら違って居たなんて日常茶飯事だろう。
「それにな、アドラ。別の領地に移住するには領主の許可が居るのだ。
例えば、お前の様に養子になるとか、嫁に行くとかだな。
黙って許可も無く領地を出ると、首謀者は縛り首になる。その他は
奴隷に成るな。家の鉱山にも沢山居る」
「お父様、私は鉱山の事は素人です。奴隷たちが鉱石を掘って居るのですね。
山の中でどの様に掘って居るのですか?」
「儂も、詳しくは無いぞ。鉱山技師を雇ってやらせて居るだけだ」
そりゃあ、貴族が好き好んで鉱山には行かないだろう。
中には好きな貴族も居るかも知れないが。金がザクザク出れば俺は行きたいですね。
「鉱山は危険な所なのでしょう。事故とかは無いのですか?」
「有るぞ、毎日の様にな。奴隷の損害数報告が毎日報告されるからな」
危険な職場で有るからの奴隷だよな。
犯罪奴隷達の処刑の場でも有るのだろう。
何時の時代でも、石川五右衛門は居る。
前世なら、罪の多寡に関わらずに憲法、法治国家としての見た目は維持しないと
いけない。刑務所だよな。莫大な税金が継ぎ込まれて居た。
此の世界では、粗、弱肉強食だな。力が全てだろう。
国同士でも、国内の内乱でも、勝てば官軍負ければ賊軍に成る。
人を保護する法律も無い、ましてや生活保護も無い。
刑務所や監獄に入れて貰えるのは、身代金が貰える貴族や金持ちだけだな。
収監した罪人や捕虜を食べさせるだけでも、ボランティア活動では出来ない。
でも、此のカリペド男爵領なら出来るだろう。
「お父様、鉱山の収益はどの程度有るのですか?」
「グッ! 婿殿よ、それを聞くか。我が領の収益の柱が鉱山経営だ。しかし、
最近はジリ貧状態だ。山の中に有る鉱山、深く掘るほどに鉱石の搬出が難しくなる。坑道が長く成れば事故も多く成って居る」
「アドラの収納に有る金額の方が、家の金庫より多いと思うわ」
「お父様、それなら暫く鉱山経営は休んで、農業に力を入れたらどうですか?」
「あら、アドラが休業補償をしてくれるのよね。フフッ」
「私の手持ちで足りるのですか?カリペド男爵領の年間の運営費は幾らですか?」
「一番お金が掛かるのは兵士と衛兵だな。今現在百名は居る。一人当たり
年間金貨二~三枚は居るからな」
此の世界でも軍事費は必要だな。金貨三百枚か。
三億円か、昔の府中の事件か。
それ以外にも、この屋敷の維持費に、執事にメイド等の人件費も要るな。
カリペド男爵領の年間予算は金貨五百枚位かな。
多分俺が持って居る、帝国金貨は使えないな。マロニー商会で両替は
出来るのだろうか?
帝国と貿易をして居たら使えるだろうけど、お互いに戦争をして居る国同士で
商売をして居るのだろうか?
「お父様、少しお聞きしますけど、帝国金貨はフロル王国で使えるのですか?」
「嫌、帝国金貨は使えないぞ。金の含有量が王国金貨と比べると少ないのだ。
鋳つぶして、王国金貨として作り直しても割に合わない。帝国と取引をして居る
商人なら交換もしてくれるだろうが。交換比率は要相談だろうな」
「商人と言えば、カリペド男爵領の御用商人とかは居るのですか?」
「居なければ、鉄も売れないし困るからな。居るぞ。義兄さん所の商人だな。
王都にも店を構えている大商人だ。マロニー商会だよ」
何だよ、マロニー商会なら無理難題を少々は言っても良いかな。
「マロニー商会は、定期的に此の町に来るのですか?」
「大体、月に二回位かな。製鉄に炭が居るからな。この辺りは雨が少ないから
木も育ちにくい、林も森も無い。炭作りは出来ない」
前世なら、製鉄はコークスが主流だったな。大昔なら炭でたたら製鉄かな。
此の世界でも石炭は有るだろう。無いのかな?
「お父様、マロニー商会が来る日が分かったら教えてください」
「マロニー商会の出張所が有るから行って見たら良いぞ」
「貴方、私が場所を知って居ますから、一緒に行きましょう」
「アンジェラ、分かった一緒に行こう」
一度離れに帰り身支度をする。
一応、貴族の仲間入りをした身です。恥ずかしくない恰好をして
お出かけですね。
ちゃんとした生地で、オーダーメイドのお洋服ですよ。
四体のロボット達にも馬子にも衣裳と言う出で立ちで警護役をさせて居ます。
念願の自分専用の馬車も作って見ました。
畑の水路造りの合間に、例の山賊を収納から解放する時に使った。
倉庫内に有った、過去の遺物を再利用させて頂きました。
オリハルコンとかオリハルコンかオリハルコンですね。
非常に軽くて強度も優れた異世界金属ですね。
見えにくい様な所にさりげなく板バネ、リーフスプリングですね。
それから、大きな野生の牛が居ましたね。胃袋が頑丈なのです。
空気を入れても中々破れません。エアーサスペンションです。
一応、坂道を下り過ぎてもいけませんのでブレーキは標準装備に。
斥候役のアインスに御者を任せて居ます。
後の三体は、馬に乗って護衛任務です。
ハルは、何時もの様にステルスモードで上空での警戒任務を。
領主館から、マロニー商会の出張所まではそれ程遠く有りません。
大きな街では無いのです。
鉱山町です。主に鉄鉱石が多い様です。
鉱石も重いです、山で製鉄してから運んで来て倉庫に保管して居て。
有る程度の量に成ってから、鍛冶屋が多く集まる町に運ぶそうです。
そうです、前に来た事の有る倉庫街です。
マロニー商会カリペド出張所と店先に名前が書いて有ります。
木造の二階建て店舗です。
一階が店舗で、鉱山で使う様な道具類が展示して居ます。
その他には、前世のホームセンターですね。
色々な物を売る商魂逞しい店です。
「御免下さい」
「あら、お嬢様いらっしゃいませ」
四十代後半位の、茶髪のおば様が店番をして居ます。
【鑑 定】
名前:キャロル (マロニーの妹)
年齢:55
種族:人間(白人種)
職業:マロニー商会カリペド出張所 所長の妻
状態:良好
【能力値】
(生命力) : 74/75
(魔 力) :13/15
(体 力) :55/58
(筋 力):58
(攻撃力):45
(防御力):48
(素早さ):33
(知 能):78
(器用さ):86
(感 知):68
(抵抗値):67
(幸運値):66
【スキル】
算術 Lv3 料理 Lv3
マロニーさんの妹なのか。
マロニー商会で職場結婚でもしたのかな。優秀な従業員を繋ぎとめて置く
為の政略結婚なのかな。
「キャロルさん、紹介しますね。夫のアドラよ」
「まあ、お嬢様ご結婚されたのですね。美男美女のお似合いの御夫婦ですね。新しい代に成っても、マロニー商会をよろしくお願いいたします」
「アドラと言います。此方こそよろしくお願いします。所で此の店では
どの様な物を扱って居るのですか?」
「まあ、大抵の物は取り寄せが出来ますので。言って貰えれば良いですよ」
「今欲しい物は、食物の種ですね。麦とかですね。気候的にこの辺りでも
育つ物が欲しいのです。水は用意しますけど」
「この辺りは、水が少ないから食料の生産は不向きでしたね。水が有れば
育つ植物は色々有りますよ。専門の方に相談してみます」
「農家のお知り合いが居るのですね。良ければ此のカリペド領の農業指導を
してくれそうな方は居ませんかね」
「それなら、王都本店の会長に言って置きます」
「よろしくお願いします」
色々なお願いをして店を出る。
これで、農業の下準備は出来た。後は一番の問題水だな。
マニストから王都に行く時に初代国王の名前が付いた湖が有ったな。
確かアルガス湖とか言って居たな。でも魔物が生息して居て危険だとも
言って居た。
まあ、一度行って見たら分かるだろう。
昼御飯を食べる時に、家族には水くみに行って来ると断りを入れる。
嫁は、一緒に行きたそうにして居たが。転移で運ぶ時は収納内だ。
旅の雰囲気は残念ながら味わえない。それかと言って、駆逐艦アルカイックは
大仰だよな。留守番をお願いした。
アルガス湖は広いと言って居たので適当な転移でも良いだろう。
王都の南で上空千メートルをイメージして転移する。
特に問題も無く景色は変わり広い湖面が見える上空に転移した。
今までにも何度か空中に転移した。でも、空中を飛ぶ魔物には遭遇
した事は無かったな。
今上空千メートル。アルガス湖の南の方。
小高い山が見える。湖側は侵食されたのか断崖絶壁状態です。
其処に階段状に数段の棚が有りますよ。翼竜がお休みに成って。
古代ならプテラノドンだったかな。
異世界ならワイバーンとか言って居たな。
俺もハルも空を飛ぶ時には見られない様にステルスモードです。
翼竜も見えて居ないでしょう。
ふと、湖岸を見ると随分前からお漏らしをして居た様です。
ドラゴンのお父様のお漏らしを貰おうと思いましたけど。あの時は
息子さんが居ましたからね。回収をしませんでした。
今回は、他人様のお漏らしです。大量の肥料ですよ。
ステルスモードで肥料の回収を致します。
でも、翼竜さん達は知覚過敏な方ばかりかな。
ギャアギャアと騒ぎ始めました。
仕方なく沖合に避難してから、本来の目的である。
水汲みですね。
収納内の容量試験も兼ねて湖の水を収納します。
しかし、一杯になる気配が有りません。
『ご主人様、そろそろ湖の水が干上がそうですよ』
夢中で収納に集中して居ました。
慌てて少し戻します。湖岸方面を見ると魚がぴちぴちと跳ねて居ます。
可愛そうな事をしたな。君たちは一緒に引っ越しをしましょう。
カリペド領に転移します。
名称はカリペド湖になるのかな。溜池予定地に移動して水を出そうと
します。
「アレ~! 引っ越ししてないよ!」
溜池予定地で水没確定の村には人の歩く姿が。




