入り婿のお仕事
今日は朝から、馬車でモーガン伯爵領まで出かける。
馬車も山賊に襲われて車軸が折れていた物だ。
最近修理が終わって居た。予備にもう一台は欲しいな。
モーガン伯爵領までは、三日ほど掛かるそうだ。
今回はハルが居無いので、斥候のアインスが馬で先行して居る。
まあ、露払いだな。
特に問題も無く、三日が過ぎて伯爵領に到着した。
前に見たバイロン辺境伯領の領都バイロニアよりは一回り小さい様な。
やはり、辺境伯の方が普通の伯爵よりは一段上なのかな。
特にあそこは、魔物から人々を守る役目が有る。
重要拠点なのだろう。
伯爵の住まう城に到着。
急ぎの用事なので色々な儀式は省略だ。
カリペド男爵の義理の兄が伯爵だった。父親は七十代なので隠居の身だった。
直ぐに軍議が始まった。
カリペド男爵も伯爵軍の一部隊に成る。他にも伯爵の配下の貴族が沢山居る。
カリペド男爵は、前伯爵の子供なので少し地位は高い様だ、儀礼的だな。
モーガン伯爵の合図で会議が始まった。
「皆の者、忙しい中集まって貰って感謝する。先日、北のガードナー辺境伯爵
より、伝令が王都迄来た。ガルバー帝国が侵攻をして来てドリガー砦を破られた。
ガードナー辺境伯軍も壊滅したそうだ。今わかって居る情報は残念ながらこれだけだ」
・・・・・・・
「ご報告申し上げます。応援に行って居た北方軍からの伝令です」
「良し、報告しろ」
「はい、帝国軍は何者かに攻撃を受けた模様です。追い立てられて
北に逃げ帰って行きました」
あれから三日程経つから、伝令がやっと此処まで来たのか。
早馬を飛ばして三日なのか。ご苦労様です。
「帝国兵を攻撃した者は分からないのか?」
「はい、私も見て居ましたけど、姿が見えないのです。最初に帝国兵が
フロル王国に攻撃をして来ました。光る光線が走ると一瞬で数十名が殺されました。その攻撃と同じ物の様ですが、帝国兵を攻撃した光線は数倍の威力が
有りました」
「おい、誰か聞いた事は無かったか?南のバイロン辺境伯領でも似た事が
有ったと。下手人はまだ見つかっては居なかったな。王家直々に探して
居る様だな」
「 「 「おう、聞いた、聞いたぞ。アルザックス王国の軍隊も
二万人程を一瞬にして壊滅させたそうだぞ」 」 」
「その男を探したら報奨金を与えると言う話だぞ」
「嫌々、俺が効いたのは王様の孫娘を嫁にやるとよ。すげーだろ」
「 「 「 「わいわいがやがや」 」 」 」
「チョット静かにしろ! 今回の帝国軍を追い返したのが同じ人物なら
王様の差し出す報酬はどんなものに成る?孫娘全てを出しても追い付かないぞ。王城で王様も頭を抱えて居るぞ。ハハハ」
「でも、良かったな。全てが解決したのだから。今日は祝勝会にして解散
しょうか。食べて飲んでくれ」
戦争は回避したので、重要な会議は無くなった。
伯爵も戦争に出兵しなくて良くなったので料理や酒位安い物に成った。
俺達は、お父様と義理の兄伯爵と個別の話し合いに。
「義兄さん、紹介するよ。アドラだ。俺の娘の旦那に成った。養子と
言う事にしてくれないか」
「アドラと言います。よろしくお願いいたします」
「ほう、君が有名なエルフ美人姉妹を手に入れた男か。良かったな。大事に
しろよ。所でその容姿と名前は、フロル王国では少々有名になって居るぞ」
「ドキドキ!」
「私はね、宰相様とは懇意にして貰って居る。君は宰相様に会って居るよね」
「はい、一度お会いしました」
「その時の用件でね、皇太子様の正室様がご懐妊されてね。そのお子が
男子だったら、君を探し出して報奨金を渡したいと思って居る様だ」
いやあ、会いたくないな。絶対に関わり合いたくない。
「あの時の薬草の代金はマロニー商会から頂いておりますから宜しいですと
お伝えください」
「いやはや、君は欲が無いなあ。フロル王国皇太子に男児誕生。国民皆が
待ち望んで居る事だよ。慶事だよ。喜んで受け取りなさい」
「アドラよ、義兄さんに君の事を話して置いた方が良いよな」
「仕方ないですね」
「義兄さん、アドラが犯人なんだ。下手人だよ、全ての。マニストから始まり
王都に来る途中でアルザックス軍を壊滅。つい最近は隣の伯爵領での大金
行方不明事件。三日前には、帝国軍の遁走だよ。此処だけの話にしてよ」
「ななな! 何だってぇ~!! 全ての事に関わって居るのか! それは
どうしたものかな。その上、王家に男児でも生まれたら。ドドドどうする」
「伯爵様、どうもしませんよ。此処だけの話ですからね」
「義兄さん、もう一つお願いが有ります」
「これだけの話を聞いたら、もう聞けないぞ」
「嫌、俺の娘の嫁入りの件だけど」
「そうか、姉は此奴が盗ったのだな。妹の方か、妹も美人だ。誰もが欲しがって
居たな。俺が、皆握りつぶして居たからな。今からでは少し難しいな。王家に
王子でも居たら一番良かったのだけどな。皆諦めて仕舞って。結婚したからな、年頃の子はもう居無いぞ」
「義兄さん、貴族で無くても良いですよ」
「そうか、探して置くよ」
「お願いします」
それからは世間話をしながら話し合った。
その日は、一晩御厄介になる事に。
『ヘラ、帝国兵はどうなって居る』
『まだ必死に北上して居ます。脱落した物はハルが・・・』
『そうだな、野放しにしたらフロル王国民が殺される。でも生き残って
帰国出来た者は、屈強で運も有る軍人に成るな。一番危険な兵士に成る。
排除すべきかも知れないな』
俺は、駆逐艦アルカイックに転移する。
操舵室に行って。
『ヘラ、帝国兵はどの位生き残って居る?』
『今現在、八万五千六百二十三人生きて居ます。殆どが疲労困憊状態です。
でも、元気で逃げている強者も数百人居ますよ』
『長時間のマラソン大会の優勝者だな。カリペド男爵領は人材不足だからな
優秀な人材を手に入れるチャンスだな。今から回収に行って来るよ』
鑑定を片っ端に掛け捲って、優秀な人材探しをする。
今走って居る連中は体力だけは化け物だ。なにせ三日三晩走り続けているのだ。
後は、知能や見た目と体格かな。
容姿も選択基準に成る。俺の審査だけだけど。
帝国とフロル王国では、言葉が違う。俺は此の世界の言語が全て分かる気がする。
爺さんが何かしたのだろう。
言葉の違いは、ヘラが色々脳内をいじくってくれる。
それに、反抗心を無くし従順で俺に忠誠を誓ってくれる人材にしてくれる。
体力の有りそうな(健康な)人材百名を収納した。
残り八万五千五百二十三人は、カリペド男爵領の肥やしに成って貰った。
ハルが広域に電子レンジ攻撃を加えて全ての死体は炭化した。
それを全て収納した。
駆逐艦アルカイックに戻り、帝国の帝都周辺まで行って。
三号の改造に関わって居た。帝国の魔法工務院アガフォン・レオンチェフを
荷車と一緒に収納から出した。彼一人では大変だろうと思い後三名を付けて。
荷車を引く馬を二頭オマケした。
これで、皇帝に報告する部隊が出来た。
それから、ガルバー帝国に損害賠償請求を出して、賠償金を貰いに行く。
俺には外交交渉を行う人材は居ない。
だから、仮のフロル王国、外交官アドラですよ。
アガフォン・レオンチェフの記憶と、有る方の記憶を頼りにガルバー帝国の
宝物庫にやって来た。頑丈な建物で扉も頑丈です。
警備員は居ませんね。宮殿の奥まった所ですから盗賊も入れないでしょう。
それが、安心安全の落とし穴ですね。
世の中には色々な特殊技能を持った輩は居ますからね。
フロル王国のとある子爵邸の大金行方不明事件は、ガルバー帝国には伝わって
居なかったのでしょう。
宝物庫入り口の扉を収納します。中に入って扉を元に戻します。
ガルバー帝国が出来て何年位なのかな、長い歴史が有りそうな宝物庫です。
鑑定も駆使して目ぼしい宝物を収納します。まあ、殆どですけど。
金貨や銀貨が良いですね。現金は使っても名前も書いて居ませんからね。
足が付き難いです。
でも、有名な宝物は出所が分かりますからね。
収納内で肥やしに成りましょう。
最後に請求書を書いて宝物庫内に置きます。
帝国兵十万人が粗一か月間のフロル王国旅行に掛かった費用分ですね。
約、三百億円は貰いたいですね。
帝国と王国とでは為替の差が有るのかな?
帝国金貨三万枚で三百億円位にはなるのかな。俺の懐に入るだけだけど。
勘の鋭いエルフ母にはバレそう。
請求者名は、フロル王国国王 レンザス・フロルで。
代理人はフロル王国、モラハン・コント(伯爵)・グアキル 署名捺印
ホアキル・バロン(男爵)・グアキルのお父様ですね。
俺の嫁を襲った罪は恐ろしいのですよ。
でも、モラハン伯爵は俺との接点は皆無です。
帝国から、何れは何かアクションが有るでしょうね。
お楽しみに(笑)
帝国から帰って、駆逐艦アルカイックは元の山脈内に隠す。
今夜は、モーガン伯爵邸で一泊してから。
次の日には帰途に就いた。
念願が叶って、異世界で嫁を貰った。
此の幸せに水が差されない様に、一生懸命に今の生活を守るぞ。
例え数百万人を殺しても、自己中だよな。
帰りの道も何事も無く無事に到着した。
行と同じでアインスを先行させた。今回は上空にハルが居る。
問題が有っても、問題は分からない内にハルとアインスが解決する。
帝国と言う憂いは無くなった。通常の生活がカリペド男爵領に戻った。
大部分の領民は帝国の侵攻は知ら成っただろう。
知り得たのは、彼方此方に出かける商人達だけだろう。
俺は、俺の仕事をする。
ダム建設だ。夜間工事だけどね。
それも、家族の監視付きで (涙)
でも、家族の監視(見学、物珍しさ)も三晩め位に成ると飽きて来る。
得に男爵は昼間に仕事が有るのですよ、忙しいのです。
来なくなりました、入り婿の私はダム建設が仕事ですからね。
駆逐艦アルカイックを使って、ダム堰堤の止水板としての鋼矢板を
地面に突き立てる為の穴を掘ります。何簡単ですよ。
アルカイックを垂直飛行させます。バリアを張ったまま。
地面に幅十数mの溝が出来ます。深さは岩盤までです。
地面に開いた溝に鋼矢板を立てて行きます。
前世の鋼矢板は、運搬の為に大きさ制限が有りました。
異世界にはその制限は有りませんね。
現場で即、収納内から出せます。
巨大な鋼矢板、幅が十mで長さが二十mを立てます。
作業は随分捗ります。水分が少なめの地方です。
地下水も少なめなのです。
工事現場で地下水が無い、有っても少なめなら随分助かります。
水中ポンプが要らないですからね。
鋼矢板を設置したら、後は埋め戻しに成ります。
埋め戻した土砂が岩盤の様に固く成れば良いですね。
山には沢山の石灰岩が有ります。石灰岩を焼くとセメントの原料に成ります。
焼くには、火魔法です。異世界は異世界の建設方法が有ります。
埋め戻す土に焼石灰を混ぜてから、駆逐艦アルカイックの反重力を利用して
土を圧縮します。異世界工法を色々駆使しながら工事は進みます。
今では、お父様もエルフ母も妹も居ません。
妻と二人で駆逐艦アルカイック生活です。此処なら夫婦生活も覗かれません。
カリペド男爵領の離れでは覗かれる心配が多々有ります。
特に気を付けなければいけないのは、マッサージ機AIですね。
夜の夫婦生活を録画しかねませんからね。
しっかりと、マッサージ機は収納内に仕舞います。
一週間、二週間、三週間と工事は順調に進みました。
ダム堰堤の内側で埋め戻した処に念のために石で覆工板を設置します。
工事前は、地元の人達にやらせようと思って居ましたが。
結構な重労働です、若い労働者で無いと無理ですね。
埋め戻した土にも焼石灰を混ぜて居ますから。コンクリート並です。
でも念のために石を貼ります。俺の、拘りです。
以前伐り出していた花崗岩ですね。ヘラに随分使われましたけどね。
新たに切り出した物を、薄く加工して貼って行きます。
水分が少なめの土地ですから、水が貯まる事は無いかも知れません。
今でも川の水量は細くて真夏ですから、蒸発量が多いです。
町の人達が使う分でイッパイイッパイです。
ダム湖が満水になるには大雨が降るか、使う量を絞って我慢するかですね。
まあ、何処かの湖迄行って収納内に入れて来るでしょうか。
王都の南に有りましたね、大きな湖が。




