表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/60

年貢の納め時




「・・・」    黙秘権。


「そう、吐かないつもりなのね。私は貴男を気に入って居るのよ。

特に、金貨三千五百枚にはね。フフッ」


「お母様、この男が金貨三千五百枚も持って居るの?」


「そうよ、多分行方不明の大金かしらぁ~」


 田舎の男爵の妻が、ただしエルフだけど。情報量が凄いな。

多分魔力も多いだろう。鑑定魔法も持って居るな。


「あなた達、この男と結婚したい?」


「私は、お父様とお母様の言いつけに従います」


 どちらが姉でどちらが妹かは分からない。一卵性双生児だよな。多分。


「私は、この方が欲しいと言えば付いて行きたいです」


 ほう、従順な考え方か。昔の大和撫子か。


「我が家には息子が出来なかったのよ。特にエルフは妊娠し難いの。

王家の皇太子様、お妃様が又妊娠したそうよ。今度は男子かしら」


 へぇー、王家の内情にも詳しいのか。


「私の血筋なのか、僅かながら未来予測が出来るのよ。美人姉妹が

此の歳迄、婚約もしないなんて可笑しいでしょう。アドラ君が来るのを

今か今かと、待って居たのよ。フフッ」


 此れも、爺の掌なのか?

それともこの先の二世代三世代先を見据えての壮大な計画なのか。

五千万年の時間を考えれば短いけれど。


 エルフ母の包囲網が雁字搦めに俺を縛って来る。


「お母様、婚約結婚となると私の人生を左右します。少し考えさせて

下さいませんか」


「あなた達、アドラ君がお母様って呼んでくれたわ。フフッ。でもね。

アドラ君。貴方は何故此の町に来たの? エルフの美人姉妹を見に来たのよね。

上手く行けば、嫁にして毎晩あんな事やこんな事をと。考えて居たのじゃ無いの。フフッ」


 グググッ!本音を突かれると心が折れそう。


「考える事は分かるわよ。でもね。貴族階級なら政略結婚は当たり前よ。

自分の家系は残したい、国も同じね。王家も同じ事を考えて居るわよ。

アソコは孫が女ばかりですもの。フフッ」


「それにね、私の男爵家には後ろにモーガン伯爵様が付いて居るのよ。その後ろにはね、侯爵よ。宰相様ね。だからね、エルフの美人姉妹には誰も手を付けられないのよ。フフッ」


 エルフ母さん、怖えよぉ~!

完全に逃げ道を塞がれた。


「少しお聞きしても良いですか?」


「はい、何でも聞いて頂戴。フフッ」


「男爵家には男子が居ない、私の立ち位置は養子になるのですか?」


「養子でこの家に来て貰っても良いけど。本音を言えば、貴男の子種が

欲しいのよね。自分の子が居る所を攻撃はしないわよね。守ってくれるわよね。フフッ」


 人間の文明社会なら少ないけど、骨肉の争いは有るよ。

動物の世界では子殺しは当たり前だな。

餌が少なくて、全ての子育てが無理だと判断したら発育不全の子を捨てる。


 障害が有ると分かったら、その時も子殺しは行われる。

動物の世界では弱肉強食が当たり前だ。障害が有れば独り立ちしての生活は

無理だな。社会保障は無いのだから。


 此の異世界も、前世の中世ヨーロッパ程度だから。貴族クラスなら恩給とか

年金も有るのかな。一般庶民は家族が支えるしかない世界。シビアだよ。


 エルフ母さんは、しっかりと未来が見えて居るよ。


『ご主人様、覚悟を決めた方が良いですね。念願のエルフ嫁がハーフですけど

手に入りますよ』


『ヘラに反対されたらどうしようかと思って居たけどね。それと、もう少しは此の世界を旅して周りたかったな』


『親もまだ若いのですから、若夫婦で周ったら良いのでは無いですか。転移が

出来る事を話したら許してくれますよ』


『そうだな、家族に成れば隠す事も無いよな』


「お母様、覚悟は決めました。逃げ道も無いようなので」


「それは、良かったわ。それなら今日から此処に住んでね。若夫婦の為に離れを増築して居るのよ。若い夫婦の夜の夫婦生活は覗かないから安心してね」


 お母様、その一言が一番心配に成りますけど。

絶対に覗かれそうだ。


「それでは、一度宿屋に行って残りの宿泊を断って来ます」


「アドラ君、貴族の仲間入りをするのよ。その様な雑用は執事に言い付ければ

良いのよ。此れからは、身分も違うから勉強をしましょう。フフッ」


 そう言えば貴族にはなりたくは無かったな。失敗したな。

堅苦しい生活が待って居るな。

仕方ないな、郷に入っては郷に従えだな。


 今日から此処での生活が始まれば、俺のボディーガード達の事も

話さないといけないかな。ハルの事は黙って居る。


まあ、可笑しいなと思い始めるまでは、言わないで起きた方が良いな。

此の世界の人達が、SFの世界のロボットは知らないだろうし。

俺も、説明が難しいと思う。


 俺の能力の一部は教えないと困るかな。

収納魔法は便利だし、収納物で日頃から出し入れして居る物を出せないと

不便極まりない。


「アドラ君、色々考える事は後にして夕食にしましょう」


「はい、僕を呼ぶ時は息子に成りましたので、呼び捨てにして下さい」


「分かったわ、アドラ」


 食堂に案内されて、夕食を戴く。ロボット達も一緒だ。

ハルは上空で監視業務に当たらせている。


 男爵領ではお風呂と言う、お湯に浸かると言う文化は無いようだ。

今は夏なので布を水で濡らせて体を拭くだけだ。

ロボット達は、見せられない。裸に出来ないのだ。

有るべき物が付いて居ない。


ワンクラス上の特殊任務に当たらせる者達は、設計から違う様だ。

アンドロイド体で造られる。本物の人間と遜色無い外観をして居る様だ。


今、俺が連れて来た四体はロボットだ。見た目は人間そっくりだけど繁殖は

しない、だから生殖器は付いて居ない。特殊任務には必要な時も有るだろうから、アンドロイドには付いて居る。違いが有る理由だ。


 世の中には色々な仕事が有る。

数百キログラム程度の荷物を運搬する時には、軽トラックで十分だ。

数百キログラム程度の荷物を、大型トラックやトレーラーで運べるけど。

高コストに成る。適材適所ですね。


 俺の護衛には最終兵器も居る。物凄く贅沢な選択だと思う。

爺に思う所が有るのだろうけど。

高性能な宇宙船とロボット七体、何と戦えと言うのかな。


 その様な事を考えながら、ベッドに寝転ぶ。

最近は、宇宙船内の艦長室で寝て居る。高機能なベッドである。

前艦長の最後の姿は極力思い出さない様に寝て居る。

ふてぶてしい神経に成ったと自分でも思う。異世界慣れかな。


 贅沢はしてはイケないな。貴族でも下級貴族のベッド、宇宙船のベッド。

もう、比較して居る自分が嫌になる。贅沢は敵だ。

此の世界に来た頃の、大木の枝の上で寝て居た頃を思い出せよ。

ああ、でもあの時はマッサージ機状態で寝て居たよな。快適だったよ。


 人間楽をしたらいけないな。反省。

夢の中で反省会をして居たら。朝が来た。


 起きてから、井戸水で顔を洗ってから食堂に行く。

昨夜の夕食時に、一日の行動予定を学習させられた。

皆さんお揃いです。


「おはようございます」


 席順は、食堂が南向きに成って居るので男爵が一番北に座る。

お誕生日席と言うのかな。隣の東側に奥様が座り、対面の西側に

俺が座る。お嬢様方はお母様の南側に座る。

姉と妹何方を娶るかは今の所決まって居ない。


 俺的には多分、年功序列だろうなと思って居る。姉からだよな。


 朝食は、パンは定番ですね。それにスープ具材は色々その季節で取れる

食材が入る様です。冷凍技術が有りませんからね。

やはり、田舎らしさが出て居ます。スローライフ万歳です。


 何時かは、食材の提供をして挙げましょう。

食後は、お勉強の時間です。早く貴族の嗜みを覚えないと男爵様のお顔に

泥が付きますからね。


 教師と言うか講師と言うか、お母様と言うか。

人材を王都方面から呼ぶには、時間もお金も掛かりますからね。

お金は私が持って居るのですけどね。出し難いですよね。


 お母様も忙しいでしょうから、奥の手を使います。

教科書、基、貴族の嗜みについて書かれた書籍を読ませて貰います。

隠れて収納してから、ヘラに学習させます。AIは忘れませんからね。

カンニングがし放題なのです。


 前世で此の能力が使えたら、司法試験どころか国家資格全て満点ですね。

米国で司法試験に挑戦されて居る方はお気の毒ですね。


 付け焼き刃を何枚も付けて、貴族の嗜み修業は一週間程で終わらせました。


ハーフエルフの美人姉妹様は、驚かれましたね。

彼女達は分別の付く年齢、多分五歳頃から勉強をしているはずですからね。

僅か一週間で、完璧に覚えるとは思って居なかったはずです。


 やっぱり、持つべきはヘラ様ですね。


 此処で、カリペド 男爵家の従業員でしょうね。

 ご紹介いたします。


筆頭は家宰兼、執事兼、馭者時々厩舎作業される方。

名前:ジンロン・オルコット 年齢:55

  

 妻 ジーナ・オルコット 50歳


 娘 イリーナ・バルキン 32歳 メイド兼家政婦


 息子 クリス・オルコット 28歳 馬丁兼料理人

 息子の嫁 キャロル・オルコット 28歳 メイド


 メイド セシル 19歳 山賊に襲われて居た時に居た方。


 あの時に護衛が見当たりませんでしたが。五名の騎士兵士が居たのですが。

俺達が到着する前に無念にもお亡くなりに。

足止めが功を奏してお嬢様方は逃走に成功したのです。


 お亡くなりに成れた方の中に、娘 イリーナさんの旦那様も居ました。

人口も三万人程度の小さな町です。領主館で働く方も少ないです。

兵士も少ないでしょう。

でも、隣国との戦争も有ります。


 兵を率いて行かなくてはならない時も来るでしょうね。

平和な日本で暮らして居た俺にとって争いは嫌だな。

出来る事なら戦争の原因を知らない身だけど。戦争が起こる前に、

相手国に行って話し合いかな。

 

 話が出来ない相手なら先手必勝だよな。

俺の身内には被害者を出したくは無い。

最終兵器を持ち身としては。


 それよりは、今現在の置かれた立場で俺に何が出来るか。

此れからの未来を楽で優雅な生活を送りたい。


『ヘラ、此処で暮らして行く上で今一番の問題点は何か有るか?』


『そうですね、水では無いでしょうか。誰でも幸せに感じる事は。

食事ですね、この辺りは乾燥して居ます。雨が少ないのです』


『そうか、食料自給率が低いのか。西の山脈を削れば雨雲も来るかも知れないけど、飛んでもない工事だよな。他にも悪影響が出るかも知れないな』


『山脈を削る事は出来ますよ。ハルに数十発の反物質爆弾を降らせたら

山脈は更地に成りますね。駆逐艦アルカイックで山脈を削らせたら魔力も

補充出来ますよ。爆弾の様な音も出ないので隠密裏には出来ます』


『山脈を更地に変える事は可能と、しかし、その後の気象変動は未知だよな。

百年以上の気象情報の蓄積が有っても予測不能だろう。やはり、現実的には

地下水が有るかを調べて井戸掘りかな。それとも川の上流にダム建設か』


『川に水量が有れば、ダムが一番現実的です。でもこの世界の工事工法が

問題ですね。規模にも依りますけど』


『そこが問題なんだよな。俺がやれば一週間程度で出来るだろうけど。

誰かに見られたら怪しさは満点だ。例の隣国の二万人殺しと隣の伯爵領での

大金行方不明事件を思い出す奴も出て来るだろうな』


『ドラゴンのブレスで山が崩壊して川に土砂が流れ込みダムが出来た。

ダム製作の流れ的には誤魔化せますが、ダムは洪水調整の役目です。

維持管理が出来て初めて運用が出来ます。堰堤の開け閉めとかがですね』


『この世界には古代の遺跡が有るけど、この時代の人達は知って居るのかな?ダムの水量調整のバルブ的な物を古代遺跡から発掘してきたとかは使えないかな?』


『それなら、初めて発掘したと言えば良いのでは。ツタンカーメンの墓の様に』


『誰かを犠牲者にしたら良いのだろうな。誰か探すか?考古学者は居るのかな?』


『此処のお母さんに聞いたら知って居ませんかね。長生きのエルフを』


『お母さんに年齢の話は禁句じゃ無いかな?』


『母親に聞き難かったら、嫁に聞きなよぉ~』


『ああ、その手が有ったか』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ