三日~四日目
お待たせいたしました。
今日も無事に目が覚めました。
生きて居ると言う事です。
特に異常は無いです、雨はまだ降って居ます。
木の上も木の下も問題無い様なので。降りて焚火の炭を出して。
残り火が有るので小枝を足して焚火を大きくする。
残って居る兎の肉を温めて食べる。
生肉は焚火の上に吊るして燻製にする。
焚火の調整をしながら、角兎の角を頭から剥ぎ取る。
頭蓋骨と角の生え際に、石斧を叩き付けると外れ易い。
これで新たに三本の槍が出来た。
制作本数が増えると中には出来の良い物も有る。
【ロンギヌスの聖槍】
嫌々、比べられないだろう。
この記憶の出没は、ボケと突っ込みかよ!
この世界に来て、水と食料も得た。
武器としての槍も出来た。
水が無い事での喉の渇きからは逃れられた。
食料の確保で飢餓からも。
空は雨雲に覆われて、小雨が降り続いて居る。
雲に隠れているけれど太陽の位置はぼんやりと分かる。
今は、十時頃だろうか。この世界に来て三日目だな。
【時計】
そうだよ。俺は左手首に何時も時計をして居た。
スマホも持って居るけど、直ぐに時刻が確認できる時計は必需品だったな。
マッサージ機の機能で両手共揉んでくれるから。
左手首に付けた時計は邪魔になる。
と言うか、揉まれて挟まれたら痛い。
それで、時計を外して右胸のポケットに入れたはずだった。
どうしてなのか、今は右胸のポケットに重みを感じる。
カ〇オのプロトレック、高度計に方位指針付きで、勿論時計の機能も。
時計の表示板が太陽光発電も行い電池切れも無い。
どうもこれも、異世界仕様になって居る。
時計の廻りに付いて居た、押し釦が無くなって居る。
思念しただけで時計の表示板に文字が現れる。
【高度】 2,015m
今居る所の高度が表示されて居る。
それにしても高い場所に転生した様だ。
塒にして居る大木に登って見る。
【高度】 2,020m
地面から5m位は有る。高度計は機能して居る様だ。
時計の機能は異世界でも使えるのだろうか?
電波時計だったけど異世界には基地局があるのか?
【時計】 【 3 】 【10:23】
表示は。 3 異世界に来てからの日数表示だな。
その後の数字は、多分午前十時二十三分だな。
地面に降りてから、日当たりの良さそうな所の草を刈ってから。
地面に棒を立てる。雨雲は有るけど時々薄日が差す。
お昼になった頃に、棒の影が伸びた所に印の棒を立てる。
でも、可笑しいな?棒の影が時計の羅針盤機能の北では無く南に有る。
此処は僅かながら南半球なのかな?
お昼も近いけど、主食は肉だけだな。
野菜も摂らないと、食物繊維とかは必要だろうな。
けど、無理かな。農家も無いし、店も無いのだから。
せっかく貰った命だから、大事にして生き永らえよう。
水も食料も手に入った。次はどうするか。考えよう。
此処に住み着く。
水も食料も有るから生きられるけど・・
この場所には、動物と魔物しか居ない。
前世では、中年になるまで独身だった。若返って転生したのだ。
出来る事なら、人族の女と結婚位はしたいな。
でなければ。俺の下半身の一部がおしっこをするだけの物になるな。
それだけは避けたい。
この世界の事を知らなければならない。
知る為には、知識を持った人族を探さないといけない。
移動する。
旅をする必要が有るな。現状旅をするには水は有る。
食料の確保だな。道中狩りをしながら? そう上手く行くとは限らない。
日持ちする食料が要るな。
【塩】 【岩塩】
やっぱり塩が欲しいよな。
でも此処は二千mもの山の上、有るとしたら岩塩だな。
山羊とか牛も住んで居るのだから、塩分は何処かに有るはずだ。
取り敢えずは、出来る事をコツコツするか。
昼肉を食べて。肉しかないのです。
薪も居るので、森の中で枯れ枝を探しながら木を伐りまくります。
【罠】 【定置網】
直径十㎝程の木を伐る。間伐する様に伐る、伐る、伐る。
枝を払い、丸太状にして長さ二m程度に切って揃える。
随分慣れて来た、レベルが上がったのも有るのかな?
立ち木も利用して、丸太を立てて壁を作る。
直線状に丸太の壁を草原の方に構築して行く。
所々に斜めに倒れ止めを施して、短い杭を地面に打ち込んで止める。
夕方まで頑張った。十m程度の木壁が出来た。
今日は非常に疲れた。筋肉痛だ。
夕肉を食べて休む。焚火の始末をしてだけど。
木の上に昇って、マッサージ機画面を出す。
スタートボタンを押すが。
【魔力及びエネルギー不足】
役立たず!!
不貞寝してやる!
・・・・・・・・・
異世界生活四日目。
今朝も何事も無く無事に朝を迎えた。
天気は相変わらず小雨が降って居る。
今日も樵生活をするか。
今朝も相変わらずに朝肉です。飽きて来たな。
食料が無い時の事は忘れてしまうな、調味料が無いのもね。
直径十㎝位の木を選んで伐る、伐る、伐る・・・
杉に似た木が一杯生えて居る。石斧の手入れをしながら。伐る、伐る。
枝を払う、払う、払う。同じ事の繰り返し。
枝の小山が出来て居る。薪は十分に出来た。
昼まで一生懸命に木を伐った。
昼肉を食べてから。木柵作りをする。
森の入り口から草原方向に、ラッパの形に柵を作った。
試運転をして見ようかな。
ラッパ状に広がった柵の草原側に行く。
角兎発見、追いかけて来ます。
森の方に逃げます、ラッパの吹き口は細いですね。
数羽ですけど、一列に並んで追いかけて来ます。
はい、お待たせしました。
蜻蛉切を構えます。ロンギヌスの聖槍は予備にしますので木柵に立て掛けます。
一羽ずつ順番にサクサクと突き刺します。
カツオの一本釣りの様に、突き刺した角兎を後方に放り投げます。
前に置くと邪魔になります。作業するがの如く、刺す放り投げるを、繰り返す。
途中で蜻蛉切の穂先が、外れそうになり。
慌ててロンギヌスと取り換える一幕も有ったけど、何とか耐えきった。
ラッパの口を、丸太と木柵を蔦で括って閉じる。
今日はもう良いだろう。筋肉痛も始まった。
途中何度かレベルアップのお知らせもあったけど。
角兎の後ろ足を二羽ずつ蔦で括り、前後に分けて肩に架ける。
右の肩と左の方に架けたら、四羽ずつ運べる。
効率が良いのだ。
【収納しますか?】 【はい】 【いいえ】
目の前にマッサージ機のモニター画面が現れる。
「どう言う事?」
思わず声が出た。
収納は左手の袖口に、ちっちゃな物が有るには有る。
神の嫌がらせの様な物がね!!
とても角兎が入る様には思えないけど。
でもダメ元でも構わないか。
【はい】
ポチと押す。
ドサ、ドサ、胸の前にぶら下がって居た二羽の角兎が足元に転がり落ちた。
角兎の足を括って居た蔦が、綺麗な切断面を見せて切れている。
背中に居るはずの二羽の角兎は消えた様だ。
【収納庫】 【時間停止機能】 【解体機能】 【収納庫分別機能】
【選別分離機能】
【角兎二羽】 【蔦】
物凄く高機能な性能だな。
しかしながら、背中に乗せないと収納出来ないのか。
それとも念じるとか言葉を発するとかなのか?
それから色々試しましたよ。
誰かが見て居たら、絶対に、119番、するだろう。
結論から申し上げますと。
収納物を背中に乗せる。地面に収納したい物を置いてから仰向けに寝る。
背中がその物に触ると収納出来る。
【角兎 十五羽】 【石 十一個】 【薪 五束】 【蔦・葛 十本】
背中から収納に入れた物が表示されて居る。
長さや大きさが背中より大きな物は入らない様だ。
工夫すれば入るかも知れないが。今は良いだろう。
夕肉を食べて今日は寝よう。
頑張り過ぎもいけない、疲れた。
木の上に昇ってから、マッサージ機状態にして寛ぐ。
本来のマッサージ機能が出来そうな気がする。
マッサージ機の表示を出して、スタートボタンを押す。
全身マッサージを押す。
魔力とエネルギーが充填されたのか。軽快に動きマッサージをしてくれる。
知らぬ間に、熟睡モード。
お読みいただきありがとうございました。