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此処は何処?

新作です。

他の作品を放置しながらの浮気作です。

既存作品も読んで下さる方が居ます、ありがとうございます。

気が向いたら又書きますけど、マンネリ化ですね。




―ガンッ、ガンッガッ、ピシッ―


・・


「イテッ」


 顔面の右頬の辺りに何かが当たって居る。

寝て居たはずだが。痛みで目が覚める。

目を開けたら、顔の前に何かが有る。


 焦点が有って居ないがぼんやりと見える。

先の尖った棒状の物が見える。

先端が右頬に当たって居るのだ。痛いはずだ。


 両手で掴んで前に押すが中々重い。

良く見ると。角の様だ、根元は動物の頭から生えている。

頭には兎の耳が有る。角が生えた兎なのか ?


 地球には居なかったはずだが。

角を捕まえたから、今度は後ろに逃げ始めた。

逃がすかよ、角から手を放したら。後ろに下がって助走をしてから

再度突進をして来るつもりだろう。


 させるかこの野郎。


 数十分は攻防戦をしただろうか。腕がパンパンだ。

握力も無くなって来た。丸い棒なら掴みやすい。

でも円錐形の角は掴み難い。ズルズルと手で持って居る部分が滑り出す。


 -バサバサッ―

 

 大きな鳥が空から降りて来た。

足で角兎を捕まえて持ち去ろうとする。

嘴で、角兎の首に噛み付き首元を肉片に替えて食い千切った。


《レベルアップしました》


「ヘッ」


 間抜けな声が出る

前を見ると、角兎はお亡くなりになった様だ。

鳥は猛禽類の鷲か鷹の様だ。

そのまま両足で角兎を掴んだまま空に持ち上げようとして居る。


角兎の角を俺が持ったままなので、バリア状の穴の開いた所で梃子の原理だな。

角がポッキリと根元から折れて俺の手の中に残った。

その時にバリアの穴が少し大きくなって中に取り込めた。

鳥は、悠々と戦利品を両足で掴んだまま大空に消えて行った。


 俺は放心状態だ。

あのまま寝て居たら、串刺しであの世行だったな。

腕は棒の様になって居る、手の指も固まって居る。

掌を右左でマッサージして解す。


 でも此処は何処だ。リクライニングシートの上でシートベルトをした状態だ。

シートベルトも外せない。廻りを見るけど操作する物が何も無い。


 外を見て見る、草原の様だが首が廻る範囲しか後ろは見えない。

遠くに森の様な木の生えた所も見える。

でも外にも出られない。シートベルトで拘束されて居る。


 嫌な予感もする。

獣の匂いがする様な。

リクライニングシートの廻りを何かが駆け廻って居る。


「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、」


 何だ、犬か?

でもデカい。背の高さが一m以上有る。

頭はもう少し高くてシベリアンハスキーに似ている。

狼だね。先程の角兎が残した血の匂いに誘われた様です。


 ―ドン―


 突然に伸し掛かって来て、角兎が開けた穴に鼻を突っ込んで来た。

俺は、構えていた角を力いっぱい鼻に叩きこんだ。


「ギャン!」


 狼らしき動物は逃げた。

でも数匹はまだ居る様だ。


 他の狼はリクライニングシートの外側を前足や牙で攻撃して居る。

でもダメージは無いようだ。


 最初の狼がやった様に、バリアの穴が開いた所からの攻撃を始めた。

俺もそれを待って居た。

穴は、直径五㎝位しかない。鼻の頭しか入らない。

鼻の穴目掛けて力いっぱい突く。

今度は二十㎝程突き刺さった。


《レベルアップしました》


 今度は脳まで行ったのか? 即死したのか?

今度は、体に力が漲って入って来た様な気がする。

角兎の時は、俺と鳥でレベルアップが半分になったかも知れない。


 今度は狼なのでレベルが高いのかも知れない。


 又、三匹目が鼻を突っ込んで来る。

学習能力が無いのだな。

鼻の穴目掛けて角を突っ込む。


《レベルアップしました》


 四匹目が来る。

角を突き立てる。


《レベルアップしました》


 これで狼の気配が消えた。

でも緊張が切れたら、おしっこに行きたくなった。

でもシートベルトが外れない。


 ズボンのチャックも無いのだ。

しょうがない。お漏らしをした。


《自己生存本能を認識》


 ズボンに漏らしたけど。

濡れた様子は無い。どうなって居る??


《スタートボタンを押して下さい》


 目の前に薄い操作画面が表示された。

A4サイズの液晶パネル状の物だ。

左上に赤いスタートと書かれた文字が有る。


 押して見る。

表示画面が変わる。


【全身マッサージ】


【肩もみ】


【腰もみ】


【エアーもみ】


【その他】


 何じゃこりゃあ!!

マッサージ機の表示だ。

嫌、その他のボタンが有る。


 その他ボタンを押して見る。

画面表示が変わる。

マッサージ機の姿が中央に書かれて居る。


【AS-850 異世界仕様】


【取り扱い説明書 01/50】


五十ページも有る。読まないと生き残れないな。


 バリア【装着】【解除】(自動修復中八十%完了)


 角兎が開けた穴を直して居るのか。でも余り強くは無かったな。

強化ガラス位だな。


 シートベルト【装着】【脱着】


ようやくお目当ての物が出て来たな。


 廻りを見て危険な物が居ない事を確認する。

先にバリアを解除してからシートベルトを外すボタンを押す。


「カシュ―」


 静かな音がしてマッサージ機が収納されて行く。

小さく背中辺りに収まる。服も特殊な形で違和感なく収まって居る。

靴は安全靴仕様みたいだ。


 近くに狼が三匹死んで居る、少し離れた所にもう一匹倒れて居る。

最初に鼻に角を突き刺したら逃げた奴だな。

出血多量だった様だ、顔の下に血溜まりが出来て居る。

虫の息だけど慎重に近づいて、止めを刺す。


《レベルアップしました》


 よく考えなくても、此処は相当危険な場所だな。

血の匂いで狼は集まり、猛禽な鳥にとっては小さな動物が動き回って居たら

直ぐに襲われる所。

あの鳥も角兎をその場で食べずに持ち去った事を考えたら雛の餌になるのかな?


 また餌を求めて来るかも知れない。

俺が餌になり得る。

三百六十度見廻しても、近くに隠れる様な所は無い。

太陽は中天に有るから、自分の影を見て南の方に林か森の様な所が有る。

距離的には一㎞位は有りそうだな。


 空からの攻撃を避けるには森の中の方が良いと思う。

それに一番欲しい水を探さないといけない。

食料として狼の肉はどうだろうか、肉食獣の肉は不味いと聞いた事は有る。


 狼の大きさは大型犬より大きくて重さは、七十㎏以上は有りそうだ。

血まみれの狼を引きずっては歩けないな。

先に死んだ狼を見たら透明な粘液質の物に包まれて居る。

スライムとか言う奴じゃ無いのか。


 俺が食料になりそうだ。

走って森の方へ行く。

草原、そう草原なのだ。草丈は短い膝位から足首位しかない。

よく見ると至る所に草食動物が居る。

保護色なのだろう、草色の牛やヤギに似た動物が群れを作って居る。


 動かないと分からない位に草原に上手く溶け込んで居る。

角兎も多い、肉食か雑食なのか。頻繁に突進して来る。

レベルアップしたのか体も軽く、角兎の角を躱しながら、兎の体を角で突いて殺していく。


 レベルが低いのかレベルアップの表示はされない。

十羽位倒して初めて。


《レベルアップしました》


 やはり、狼の方がレベルは高い様だ。

やっと森迄辿り着いた、心配して居た猛禽の鳥は倒して放置した角兎を餌にした様だ。


 今日は疲れた、森の周辺で葛を採取して大木に登って休む。

木の枝に葛を巻いてから。


シートベルト【装着】


バリア【装着】


 これでゆっくり寝られる。

喉も乾き、お腹も空いて居るけど。


読んで頂きましてありがとうございます。

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