その2 マチルダの幼馴染という名の下僕
思いつきのこの企画…。
誰だよ!言いだしたの!(オマエダロ!)
言い出しっぺのくせに集中力のなさと
飽きっぽさはレベルマックスです。
でも、「打倒!みつな!」をかかげ頑張ります。
ただそれだけの為に闘志を燃やすぎょうこ
(どんな姉妹だよ!)
では、よろしくお願いします。
参った…。参りました。
絶対絶命のピンチだわ。よりによって一国の王子に捕まるなんて、さて、どうやってこの場から逃げ出そうか!?
捕まれた腕は一向に離してくれる気配はなく、こっちが力をこめて振り払おうと躍起になっているのに、掴んでいる本人はいたって涼しい顔をしている。それがまた腹ただしい。
どうすれば、解放してくれるのか、とっさに考えてみた。
1 不意を突くため、腹に拳
2 不意を突くため、顎に頭突き
3 不意を突くため… 以下同文のような力技
あぁぁ ダメだ、ダメだ!とっさの事でいい案が浮かばない!しかも暴力は王族に対する反逆とみなされてしまうかもしれない。ひー。
一人、心の中で葛藤していると、この王子が怪訝そうな顔つきで私の顔を覗きこむ。
「どうした?いきなり黙って。」
端正な顔をいきなり近づけられ、まじまじと覗きこまれる。薄い水色の瞳を持ち、端正な顔立ちの目の前の男は、さすが王族ともいえるべく、王族特有の気品を放ち、何事にも動じないかのように思えた。
『コンコン』
その時、いきなりドアがノックされ私は反射的に音のした方を振り向く!すわっ!神の助けか!?
「失礼します、チェルンザ商会のお付きの方をお連れしました。」
そう告げられ、その人物を見た瞬間!私は、神に感謝した!
そこに立っていたのは、私の幼馴染のトニア・リーティだったのだ!
トニアは、そこに立ちいつもと変わらぬ爽やかな笑顔をこちらに見せていた。
「チェルンザ商会マチルダの付き人です。」
あぁぁあ トニアがこのピンチを助けに来てくれたのね!さすが、持つべきものは、幼馴染!
ごめんね、ごめんね、昨日裏の山の木苺摘みに行こう!って渋るトニアを無理矢理連行したあげく、
途中、飽きちゃって『疲れた。先に帰るから、トニアは籠いっぱいに摘んだら帰ってきて』って置き去りにして帰ってごめんね。
ごめんね、ごめんね、もうわがまま言ったりパシリに使わない事にするよ。……3日間ぐらい。
にこやかな笑顔をこちらに浮かべたまま、見目麗しい私の幼馴染は一瞬で私と私を取り巻く状況を理解したのだろう。
「失礼。間違えました」
と、言い捨て、にこやかな笑顔のまま、いきなり迂回したかと思うと、あろう事か今来た道、つまり扉の向こうを全速力疾走で走って逃げだしたのだ。
その姿、脱兎のごとく。
ちょ… おま……
………トニアァァァァァ―!!!!!
お前何しに来たんだよ!!!!
おおかた、私を訪ねてきた所を『マチルダは城に行った』と聞きつけて、興味本位で追いかけてきたのだろう!
トニアは昔からそうだった。私の後をついてまわり、何をするにも一緒だった。けど、何かトラブルに見舞ったときは、必ず、いち早く安全な場所に逃げ、高みの見物を決め込むのだ。
おのれ〜 トニアめ! 私がトニアの立場ならこの場を見たら逃げだすさ!けど、トニアは私を置いて逃げてはいかん!
なぜなら、トニアは私の幼馴染という名の下僕であり、舎弟であり、パシリなのだ!
それは、17年間の幼馴染生活で築き上げられた二人の関係なのだ!
トニア〜〜!!次に会ったら覚えておけよ〜〜!
「…プッ…」
え?いきなり噴き出す声が聞こえますが、なんか気のせいですか?
「アハハハハハ。」
私の腕をつかんだまま笑いだした王子を見て、ますますトニアに対して怒りを募らせたのだった。
「で?どうする?君に選択の余地はないが。先ほどの素敵なナイトは、急用を思い出したようだが。」
「じゃあ、聞くけど、そもそも『足りない罰金の分は娘をお使い下さい』って何するつもり?」
「それは君しだいだろう。」
年若い娘が出来ることって…。年頃の娘の武器は一つ…。まさか、まさか…。
「まさか…。」
「なんだ?」
「へんたい」
「ちがう」
☆ ★ ☆ ★ ☆
「何…。この異様に広すぎる部屋は!!」
その後、なぜか私は、だだっ広い一室に案内されていた。王子に言われ、部屋に案内してくれたメイドもどこかに姿を消し、私は遠慮なしに部屋の豪華さを、観察し歩いた。
まわりの調度品とやらも品のいい、高価な匂いがする気がする。
うわぁ〜お 成金だった我が家とは格が違うね〜。
その異様に広すぎる一室のベットに嫌でも私の視線がいく。
今、私の想像している事は、さっき、「ちがう」と一言で瞬殺されたけど、それって信じていいものなんだろうか。
あっさり信じて、その後貞操の危機!なんて勘弁してほしい。
どうしよう、どうしよう。
今ならまだ逃げれると心の中で声が聞こえる気がする。
けど、『ここで待つように』って言われている。けど、なんか、この展開やばい気がするような…。
私はいたたまれない気持ちになり、扉のドアをそっと開け、廊下を覗きこむ。…人の気配はなし。
これってチャンスかもしれない。もし見つかったら
「迷子になりました。」って誤魔化せばいいし。
迷っている暇があるなら、外に一歩踏み出そう―。
そう心にきめて、一歩足を踏む出そうとした瞬間。
「どこに行かれるのです?ここで待機するように言われませんでしたか?」
いきなり聞こえてきた声に心底びっくりした。ヤバい。けど、まだ踏み出していないもんね!セーフだもんね!逃げ出す気持ちなんてこれっぽっちもないもんね!
って、無理矢理言い張る事を決め、声の主を振り返る。
そこに気難しい顔して立っていたのは一人の青年だった。
年はマチルダよりは上だろうが、長めの黒髪を一つに束ね、服は襟元までかっちりと着こみ、メガネをかけ、風貌からとても賢そうに見える男の人がたっていた。
私が思うにメガネって賢そうに見えるマストアイテムよね。
それが、私の彼に対する第一印象だった。
本当はこの先も、考えてましたが、
この時点で燃え尽きました。爆
読んでくださってありがとうございます。
誤字脱字→みつなまで
苦情→みつなまで
続き〜最終話→みつなまで
を希望している作者です。
では、ありがとうございました。
アディオス!!