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Chapter.00

 ――オレの心に残ったのは、絶望だった。


『……憎いか? 世界が』


「……世界も……自分の存在すべても、憎いよ」


 深い深い、深層心理の海の中。

 真っ赤な瞳が特徴的な、黒い髪の男が話しかけてきた。


「……でも、もう、どうでもいい。このまま眠りたい。……いなくなりたい」


 呟いて蹲るオレに、男はすっと手を差し伸べる。


「……なに」


『お前に力を与えよう。世界を破壊する、【魔王】の力だ』


「……ッ!!」


 ぶっきらぼうに問いかけたオレの体に、無理やりなにかを入れる男。

 ……痛みなら慣れていた。受けて当たり前だと思っていた。


(本当は、たすけてほしかった)


 からだを、こころを、真っ黒な感情が支配していく。


「あ……ああ……ッ!!」


『解き放て、お前自身の憎悪を。世界を壊す、“呪い”を……――』


 憎い。憎い。赦せない。赦さない。きらい。きらい。壊したい。しにたい。いきたい。

 たすけて、たすけて、たすけてたすけてたすけてたすけて……――


「……そう思う資格なんて、■■にはないのに」


 ……でも、どうしてだろう。呼びたい名前なんて、たすけてほしい人なんて、いないはずなのに。

 どうして……きみの名を、呼んでしまうのだろう……?


「……たすけて……あさ……」


 真っ逆さまに、真っ暗闇に堕ちていく。

 自分も、世界も、何もかも壊れてしまえばいいと……そう、願って……――



 ――それは、伝承を繰り返す異世界のお話。

 少年が辿った、悲劇と希望の物語。


挿絵(By みてみん)

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