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21/36

・ようこそマク・メルへ

再告知

 前話の投稿をミスっていました。

 話が飛んでいるなと思われた方は、1話戻って下さい。ご不便をおかけしてしまい、申し訳ありません。

 丘からマク・メルの崖を見つめて統星とプラチナの到着を待つと、やがてカラスのような黒い影が空を八の字に踊った。

 返事としてこちらは鏡の破片を持って、朝日を向こうへと反射させる。


 それからすぐに俺は中枢へと下りて、魔大陸に浮上と移動の命令を出した。

 大地がグラグラと揺れた。


 これで地上の勢力の介入を受ける前に、安全な空の上へと離陸出来たはずだ。

 降下作戦の成功にホッとため息を吐いて、俺は螺旋をたどって地上へと戻った。


「レグルスッ、連れて来たよーっ!」

「オ疲レ様デス、レグルス様(*・ω・)」


 モニュメントを離れて花園を抜けると、段々畑の坂道をニアが歩いて来た。

 その頭上では統星が気持ちよさそうに空を泳ぎ、そしてニアの肩の上には、映像装置越しではないプラチナの姿を見つけた。


「は、初めまして、神様……。天国に連れて来てくれて、ありがとうございます……」

「いや、だから神様じゃないってば……。統星、誤解解いておいてくれもよかったじゃないか……」

「ハイ、レグルス様ハ、マク・メル、ノ正統ナル支配者デス(*´ω`*)」


「じゃあ、やっぱり神様ですか……!?」

「だから違うって……」


 統星はおかしそうに俺たちのやり取りに微笑んでいた。


「だけどここって、天国みたいに綺麗ですよ……? 本当に、天国じゃないんですか……?」

「嬉シ……。天国……ソレハ最高ノ、賛辞デス(u_u*)」

「よかったね、ニア! あのね、プラチナちゃん、ここはニアが管理してるんだよっ、全部!」


「全部、ですか……凄い……」


 プラチナはグルリと周囲を見回して、大きく目を広げて、美しいマク・メルの大地とニアに目を奪われた。

 まだ新しい生活への実感が沸いていないようだった。


「プラチナ」

「はい、なんですか、神様……?」


「だからレグルスだって」

「わかりました、レグルス神様ですね」


「ちがーうっ! 俺はただの人間だと、何度言えばわかるんだよ……。いや、そうじゃなくてさ」

「はい……?」


 俺は小さなレディの前に膝を突いて、花園で摘んできた白薔薇を捧げた。

 一応これでも元王子だ。こういうのは慣れている。


「もう大丈夫だよ。もう誰にも君に酷いことはさせない。これから俺たちと一緒に暮らそう、このマク・メルで」

「ぁ……神、様……。わ、わたし……もう、平気なの……?」


 プラチナは泣き笑いを浮かべながら白い薔薇を受け取って、それを小さな胸に抱いた。


「もちろんだよ。ここには俺と統星とニアしかいなくて寂しくてさ。プラチナみたいなかわいい家族は大歓迎だよ」

「うわ……っ」


「うわっ、なんだよおい、統星!?」

「だって、うわぁ……レグルスって素でそういうこと言っちゃうんだ……」


 言いたいことはわかるが俺は元王子であり、バリバリの元王太子だ。

 王族っていうのは、こういう役回りをする人間なんだよ。


「大事なところなんだから水を差すなよ……。ってことで、俺は神様でも、レグルス神でもない。君の新しい家族だ」

「家族……。レグルス……お兄ちゃん……?」


 その期待混じりの弱々しい一言に、ズキュンッと来た。


「あっ、ずるい! だったらあたしのこともお姉ちゃんって呼んで! プラチナちゃんみたいなかわいい妹が欲しかったの!」

「えっと……統星お姉ちゃん?」


「プラチナちゃん!」


 泣き笑いを浮かべる少女を統星が抱き締めると、鳴き声は痛ましい嗚咽に変わっていた。

 ……さて、そろそろお兄ちゃん神は後始末に入るか。


「あ、ちょい待ち! ねぇレグルス、マク・メルの針路……これでいいの? 方角、あっちだっけ?」

「ああそれ? まあちょっとね」


「ちょっとって、なんか嫌な予感するんだけど……?」

「統星たちは気にしなくていいよ。終わったら元の起動に戻すから」


 俺は後始末のために2往復目の道を歩いた。

 これからすることは、プラチナや統星が知る必要なんてないからな。


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